教育実践論文を書き出して、8年ほどになりました。
1年に1つは自分の授業を振り返る機会として執筆しています。
研修で、論文執筆のポイントを聞く機会がありました。
書くときに、自分の授業を振り返ることはもちろん、せっかく読んでいただけるので、読者が分かる論文を書き上げたいですよね。
今回は、論文執筆のポイントをまとめたいと思います。
ぜひ論文を書く途中、書き上げた後の推敲段階で、見直していただいて、より読者に伝わる論文を書き上げましょう。
注1:あくまで、私の勤務している自治体が主催する論文大会におけるポイントです。自治体ごとに大きな差異はないと思われますが、重視しているポイントが違うかもしれません。
注2:学会の査読論文は、また違う物です。そちらの書き方は他のページをご覧ください。
論文評価の観点
- 課題性
今日的な教育課題として解決する価値があるか - 独創性
独自の仮説を検証するために、効率的な手立てや新たな教材をつくり上げているか - 熱意
子どもの成長に情熱を注ぎ、真摯に取り組んだ研究か - 科学性
主題から結論までの論述に一貫性があるか - 完結性
研究主題に対する結論が論理的に述べられているか - 発展性・実用性
さらにこれからの課題が述べられているか - 体裁・表現
言葉や語句の使い方、段落構成の仕方などが適切か
ポイント1 「研究主題と副主題の設定」
研究主題と副主題の中には以下の3つの要素が入っていることがポイントです。
- 目標に迫るための手だて
- 研究の目標となる目指す子どもの姿
- 研究の対象・領域
こんな感じになります。
「○○することで、△△する子どもの育成」
-第 ×学年 ××科「××」の単元を通して-
○には手だて、△には目指す子どもの姿を書いていきます。
<例>
ICTを活用し、視覚的支援のできる教材・教具を用いることで、関数について考えを広げる生徒の育成
―中学校第2学年数学科「比例・反比例」の単元を通して―
ポイント2 「理論構成」
研究の目的に客観性と具体性をもたせて説得力のある論文にしましょう。
そのために
- 主題設定の理由と仮説のつながりが明確になっていること
- 目指す子ども像と仮説、手だてに一貫性があり、分かりやすいもの
になるように整頓して書いていきます。
特に主題設定においては、
- 対象となる子どもの姿
- 学習指導要領の引用
- 校内研究の方向性
を踏まえて主題を設定すると、客観性を備え、研究のねらいが明確になった主題設定ができます。
この主題をもとに、具体的な仮説と手だてを講じることで、首尾一貫した論文が書けるようになります。
ポイント3 「実践内容の書き方」
手だての有効性を検証し、仮説の妥当性を証明することが大切になってきます。
そのために、
- 抽出した子どもの変容が、実践の前後で分かるように書く
- 手だてを取り入れた際の授業記録やワークシート、振り返りカードから、授業内の発言、つぶやき、記述などの抽出時の姿を具体的に取り上げて、変容を時間を追って細かく記述する。
よく間違うのが、教師の主観的判断で、生徒の変容を断定することです。
つぶやき、記録をしっかりとり、客観性を備えた資料を作りましょう。
ポイント4 「資料の添付の仕方」
抽出児童・生徒を中心に、資料を添付していきます。
その際に
- ノートやワークシート、話し合いの記録、写真など、「ここに注目してほしい」というところが分かるアンダーラインを
- 文字の大きさやコピーの濃度は適切か
- 資料の内容をと見込まないと理解できない資料は×
―本文を読んだだけで、内容が分かるようにするのが基本です。資料はあくまで補助
コンクールに応募したくなったら(2024.02.16更新)
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もしよかったら、書いてみませんか?
こちらに、コンクールについて記事をまとめてありますので、ご覧ください。
最後に
今回は、教育論文執筆に際してのポイントを羅列してみました。
論文を書く前、書いてる途中、一度書いて推敲する時、逐次見直して、方向性がブレないようにしたいですね。
また、指導案を書く時のポイントとリンクして論文を書いていくと、また首尾一貫した論を構築可能です。
指導案、教育論文は両輪です。
どちらでも共通した、構想や手だてを講じて、首尾一貫した文章を書いていきましょう。
【指導案の書き方についてはこちらをご覧ください】
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