【中1 文字の式 教育論文】「数が大きいのはどっち?」(2022.11.06追記)

学会・研究

中学校の最初の難関。

文字の式。

生徒は、文字の大きさって、どのように認識しているのかな。

場合分けについても知ってほしくて、授業を組み立てました。

ぜひ、みなさんの声を教えてください。

単元名、授業名

文字式と言葉の式の橋渡し -第1学年「文字の式」-

「数が大きいのはどっち?」

単元の目標

  • 項や係数の意味を理解し、計算したり、文字式の意味を読みとったりすることができる。(知識・技能)
  • 具体的な場面と関連づけて、式が何を意味しているか考えたり、表現したりすることができる。(思考力・判断力・表現力等)
  • 文字を用いることの必要性と意味を考え、生活に活かそうとすることができる。(主体的に学習に取り組む態度)

本時の目標

代入する値によって、式の値の大小が変わることを理解する。

提示した問題「2xと3x どちらが大きいか考えよう」

本時の目標の達成のために工夫したこと

生徒が、主体的に取り組むために

生徒が主体的に問題に取り組めるようにするために、場合分けが必要なことを伏せ、問題を提示した。

授業の最初の5分で、

  • 2x、3xのxには、それぞれ同じ数を代入して、数比べをすること。
  • 代入する値によって、必ずしも3xが大きくならなくなるという見通し。

の2点が生徒の言葉で確認がなされ、クラス全員が何をするべきか、どんなことが起こりそうかに気付き、本時の見通しをもつことができた【資料1】

【資料1】問題提示場面の対話記録
T:2xと3xどちらが大きいですか。
生徒全員:3xの方が大きい。
T:なぜですか。
生徒A:3の方が大きいから、xに何を入れても大きい。
生徒B:xに何を入れても良いって、Aさんは言ったけれど、2x、3xのxにはどちらも同じ数を代入するんだよね。
生徒C:あれ、マイナスが入ったら?
生徒B:マイナスって何?負の数?
生徒A:あ、僕が言ったことおかしい。
生徒D:小数が入るとどうなる?
T:じゃあ、xに数を代入して、確かめてみよう。

数直線を利用し、帰納的な推論を一般化するために

生徒からは、x=-10,-0.1,0,65,80,540を代入しようと意見が出た。

代入した結果をグループ分けすると、生徒たちは

「xに正の数を代入すると、2x<3x。xに負の数を代入すると、2x>3x。xが0のときだけは、2x=3xになる。」…①とまとめた。

生徒にもっと実感をもたせたいと考え、

「これって、もっと小さな小数や分数でも、すごく大きな数でも成り立つの?」

と尋ねた。

生徒は、

「なると思う。実際に代入してみる。」

と計算に取り組んだ。

計算が終わったところで、

「数直線に代入した数を入れて、結果をまとめてみよう。」

と伝え、黒板に書かせることにした【資料2】。

数直線から、

「大きな数でも、小さな数でも0を境目にして、①のような結果になっている。正の数、0、負の数の代入で大小関係が変わるんだね。」

という意見が出て、代入する値に応じて2xと3xの大小関係が変わることを一般化することができた。

【資料2】数直線の板書

友達の考えを知って、より確かな学びにするために

本校では、googleドキュメントの同時編集機能を利用して、ipadから【資料3】のようなワークシートに振り返りを記入している。

同時編集できるので、自分の振り返りを書き込みながら、友達の振り返りを見ることができる。

生徒は、

「Aさんの振り返り、おもしろいね。」

「Bさんの振り返りを見て、xの前の数字を変えてやってみたくなったよ。」

と話していた。

友達の振り返りから、次時への見通しや、意欲を高めることができた。

【資料3】生徒の振り返り

成果および課題

成果

  • 生徒の意見を基に、「何が問題か」、「本時では何をすべきか」が具体化されて、その後の自己解決にスムーズにつながった。場合分けを伏せて問題提示したことは、生徒が目的意識をもって主体的に学習に取り組むために有効に働いた。
  • 数直線を用いて結果をまとめたことは、【資料2】の生徒A、Bの振り返りを見ると、本時の目標を理解していることが分かる。数直線を用いて考えを一般化することができた。
  • googleドキュメントを用いた振り返りは、次時への見通しをもったり、意欲を高めたりすることができた。自ら学び、自ら考えようという態度を育てるために有効に働いた。

課題

  • 生徒によっては、振り返りが「難しかった。」と感想で終わってしまうことがある。

そこで、「今日のテーマは何か」「今日のポイントは何か」を全体で確認し、教師がワークシートに追記してから、「1時間勉強をして思ったこと、考えたこと」を書くようにした。

そうしたら、ポイントを受けてそれぞれの生徒が思ったことや考えたことを書けるようになってきた。

現在は、本時のテーマを全体で確認した後、ポイントについては、友達と話しながらワークシートに書き足すようにしている。

そうすることで、生徒がポイントと感じたことを書き、生徒の言葉でまとめられるようになっている。

この振り返りを授業で提示することで、見通しをもったり、目標意識をもったりして、より主体的な学びができると考える。

そのための手だてを考えていきたい。

コメント頂きました(2022.11.06追記)

白鴎大学准教授 後藤学先生より以下のスライドとコメントを頂きました。

「中学校で最もつまずくのが文字式と言われています。それは,スライドに載せている2つの性質と3つの数に関する種類を,よく区別せずに教えているのが原因と考えられています。ですので,それがクリアできていればよいと思います。」

今回はスライドの容器性に焦点をあてた授業になっています。

実質性にあたる部分と、代入にあたる部分もクリアできるように、別の授業で布石を打ってあります。

こちらの記事をご覧ください。

参考

  • 玉置崇(2014)「わかる!楽しい!中学校数学授業のネタ100 1年」.明治図書.P43
スーさん
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