「老後のために、お金を貯めておかないと」
そう言われ続けて、不安になっていませんか?
新NISAやiDeCoなど、国も「貯蓄から投資へ」を後押ししています。年金だけでは不安だから、自分で備えましょうという流れです。
そんな中で手に取ったのが、田内学さんの『お金の不安という幻想 一生働く時代で希望をつかむ8つの視点』です。
この本はどんな人におすすめ?
- 老後のお金に漠然とした不安がある
- これからの働き方に迷っている
投資の本は「ドルコスト平均法で毎月積み立てましょう」といった方法論が中心です。一方、この本は「そもそも、お金はどこから生まれているのか」という根っこの部分を考えさせてくれます。
投資でお金が増えるのはなぜ?本書で腑に落ちたこと

投資で利益が出る仕組みは、大きく2つあります。
- キャピタルゲイン: 株を安く買って、高くなったときに売って得る利益
- インカムゲイン: 株を持っていることで受け取る配当
私はこれまで、この2つが「どこから生まれているのか」を考えたことがありませんでした。本書の説明を、私なりに整理するとこうなります。
キャピタルゲインは、投資家同士のお金のやりとり
株を売買して得をした人がいれば、その分、損をした人がいます。短期の売買だけを見ると、お金が新しく生まれているわけではありません。
インカムゲインは、私たち消費者の財布から巡ってきたお金
会社が商品やサービスを売って利益を出し、その一部が配当として株主に分配されます。つまり、もとをたどれば、誰かがモノやサービスを買ったお金です。
ここで感じたのは、お金が増える根っこには、「誰かの役に立つモノやサービスを生み出す仕事」があるということです。会社の成長を応援する長期の投資は意味がありますが、目先の売買益だけを狙うことと、社会を豊かにすることは別の話です。
※投資そのものを否定していません。NISAなどで資産形成をすること自体は、私も自然な選択だと思っています。
「買わされる時代」になって、日本で何が起きたか

では、なぜ日本では「モノやサービスを生み出す力」が弱まってきたのでしょうか。本書の流れをふまえて、私の理解をまとめます。
「欲しい」を満たす時代
社会科の教科書にも出てくる「三種の神器」(白黒テレビ・電気洗濯機・電気冷蔵庫)や「3C」(カラーテレビ・自家用車・クーラー)の時代、人々は「欲しい」ものを手に入れるために働き、企業はそれを作って売りました。需要と供給がかみ合う、健全な循環でした。
「買わされる」時代へ
バブル期を経て、多くの家庭に必要なものがひと通りそろうと、消費は鈍ります。そこで企業は広告やブランディングで購買意欲を引き出すようになりました。もちろん良い面もありますが、製品そのものの価値より、イメージで売られる面も強くなったと感じます。
そして今
海外の安価な製品が増え、工場が海外に移り、国内の働き口が減る。私自身、MacBookを使い、海外メーカーのスマホを使っていますから、「買う側」としては無関係ではありません。
食料品の値上がりが続くのも、海外からの輸入に頼る部分が大きいことが背景にあります。お金の価値と、国内で「何を生み出せているか」は、つながっているのです。
一生働く時代に、私たちができること

人生100年時代、「60歳で定年、あとは悠々自適」というモデルは現実的ではなくなりつつあります。働き続けることを前提に考えるなら、大切なのは「お金を貯めること」だけでなく、「社会に価値を生み出し続けられる自分でいること」だと、本書を読んで考えるようになりました。
私は中学校の教師です。教育は、人を育てることで、30年先の社会をつくる仕事だと思っています。
小規模校ばかりを回ってきた私は、かつて担任した子が全国大会で活躍したり、高校や大学のリーダーとして紹介されたりしているのを何度も目にしました。私ひとりの力ではもちろんありませんが、その成長に少しでも関われたことは、何ものにも代えがたい喜びです。
これは教師に限りません。日本が高度経済成長を達成できたのは、学校でも会社でも、みんなで協力して目の前の仕事に向き合ったからです。目の前の仕事を丁寧に行うことが、結果として社会の豊かさにつながる——この本から、そんなメッセージを受け取りました。
まとめ

- 投資で得られるお金は、もとをたどれば「誰かが生み出した価値」から来ている
- お金はあくまで手段。大切なのは「どう生きるか、どう働くか」
- 目の前の仕事で価値を生み出すことが、個人にとっても社会にとっても土台になる
「お金の悩みを解決する本」だと思って読み始めましたが、実際は「よりよく生きるにはどうすればいいか」を考えさせてくれる本でした。働き方に迷ったら、ぜひ手に取ってみてください。
「Actual Investors 〜100年変わらない投資の話〜」でも、投資への考え方について、たくさん話題が出ています。合わせてお聞きいただけると、視野がさらに広がるかもしれません。

▼「資産」について、いろいろ考えています。合わせてご覧ください▼



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