啓林館の教科書(令和5年)では、文字式の表し方(×を省略するなど)を学習したあと、「文字式でいろいろな数量を式に表す」こと「文字式がどんな数量を表しているのかを考える」ことを行っています。
具体的には、
①「代金とおつり」を文字式に表す
例:1000円出して、1個x円のチョコレートを5個買ったときのおつり 答え:1000-5x
②速さ・時間・道のりについて、文字式に表す
例:時速5kmで歩いたときの、x時間歩いたときの道のり 答え:5x
③割合
例:a円の品物を2割引きで買ったときの代金を文字式で表せ 答え:0.8a
④次の文字式は、どんな数量を表していますか?
例:動物園の入場料は大人a円、子どもb円です。a+bは何を表していますか?
答え:大人1人と子ども1人の入場料の合計
という順番で学習を進めていきます。
今年は、ちょっと引っかかって、①,④を先に取り扱い、その後②、③のトピックを扱うという順番で学習をすすめました。
今回、わたしがひっかかった部分をお伝えしようと思います。
問題意識

この式(文字式)は、おつりの金額を表すとともに、おつりの求め方を表していると考えることができる。
ー啓林館.「未来へ広がる数学1」.P65
と、①の問題の直後に書いてあります。
そこをさらっとやって、通常なら、速さの問題や割合について文字式で表すことを考えるのですが、この1文がとてもひっかかりました。
文字式は「おつりの金額を表す」と「求め方を表す」と2つの意味があると明示しています。
それなのに、文字式の読み取りについては、トピックの一番最後にちょろっと取り扱うだけなのです。
数学の文字式において、文字式が何を表すかを解釈できる力はとても重要だと考えます。
みなさんも、数学の答えが書いてあって、なんでこんな式が立式できるんだ?と理解できなかったことが一度や二度ではないはずです。
問題文から文字式を立式できるのはとても大事ですが、文字式そのものが何を表しているかを理解できることも同じくらい大事だと考えます。
今回は、次のような流れで授業を構成しました。
授業の流れ

①「代金とお釣り」を文字式に表す
例:1000円出して、1個x円のチョコレートを5個買ったときのお釣り 答え:1000-5x
④次の文字式は、どんな数量を表していますか?
例:動物園の入場料は大人a円、子どもb円です。a+bは何を表していますか?
答え:大人1人と子ども1人の入場料の合計
②速さ・時間・道のりについて、文字式に表す
例:時速5kmで歩いたときの、x時間歩いたときの道のり 答え:5x
③割合
例:a円の品物を2割引きで買ったときの代金を文字式で表せ 答え:0.8a
という順番で2時間構成で行いました。
付け加えとして、
②速さ・時間・道のりについて、文字式に表す
例:時速5kmで歩いたときの、x時間歩いたときの道のり 答え:5x
追加:家を出て、時速5kmでx分歩いて、途中から時速4kmで歩き、駅まで行きました。x+yは何を表しますか? 答え:家を出てから、駅につくまでの時間
x/5は何を表しますか? 答え:時速5kmで歩いた時間
のように、式の意味を読み取る問題も一緒にやっていきます。
文字式を立てる、立てた文字式がどんな意味か読み取る、この往還が大切だと思うのです。
特に、「速さ・時間」の問題や、「割合」の分野は、普通の数値計算でもつまづきの多いところです。
いろんな具体例をもとに、文字式の立式を試みてみましょう。
「例えば」で始める文字式の立式
先ほど書きましたが、割合などの立式は難しいです。
そこで、「たとえば」という言葉を使って、具体例を考えさせます。
先ほどの問題を取り上げてみましょう。
③割合
例:a円の品物を2割引きで買ったときの代金を文字式で表せ 答え:0.8a
「立式、ぱっとできないよね。例えば、何円の品物で考える?」
そう聞けば「100円」とか「200円」って子どもは言います。
「『例えば』計算しやすい100円で考えよう」
と言えば「『100×0.8=80円』と計算できる。」と生徒はいうことでしょう。
そこで、「じゃぁ最初の話に戻るよ。今回は100円じゃなくて何円で考えるんだった?」と繋いでいくことで、a×0.8と立式がしやすくなるはずです。
最後に

この話は、結局のところ、次に学習する「代入」のことにつながってきます。
この学習の次に「文字には様々な数字が当てはめることができること。」を学習していきます。
そうやって、文字式で表すことや、文字式がどのような数量を表すかの学習からさらに一歩踏み込んだ「代入」の学習につながることを念頭に置きつつ、「文字式で表すこと」の指導をしていきたいですね。
皆さんは、どのように授業をされますか?ぜひコメントで教えてください!

文字式についての指導案は、他にもあります。合わせてご覧ください!
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