以前の記事で、担任として必要な技術と、授業をするための必要なスキルは違うという話をしました。
今回は、「授業をするための必要なスキル」についてお話をしてみようと思います。
授業で必要なスキルってなんだろう?

授業をする上で必要なスキルってなんだと思いますか?
授業研究や、初任研での指導などで話を聞くことがよくあります。
朝の職員朝礼での校長先生の話題でも、「授業とは?」という話が出てくるかもしれません。
向山洋一先生がいくつも授業論に関連する本を出していて、名著として知られています。(が、私は読んでいません。今度読んでみようと思います・・・。)
今回、「担任学入門 まんがで身につく担任スキル」を読んで、納得いくことがたくさん書いてありました。
授業って、数学や理科、国語などの教科特性があって、授業に必要なスキルは違うでしょ。と思う方もいるかもしれません。
けれど、小学校の先生は、全教科授業をしますよね。(私も小学校の勤務経験があります。家庭科以外は教えてましたよ!)
それでも授業は成り立ちますし、成り立たせています。
授業をする上で必要なのは、「授業をするための基本スキル(以下 基本スキル)」+「教科の専門性」という2つの軸があると考えます。
小学校では、比較的学習する内容が簡単なため、なんとか私でも音楽を教えることができます(もちろん、音楽の専門性があれば、子どもをもっと伸ばすことができたと思います)。
逆に、どんだけ音楽の専門性があろうとも、「基本スキル」がないと、小学生は、話も聞かなくなり、授業崩壊が起こるのです。
つまり、「基本スキル」という土台の上に「教科の専門性」が立ち、素晴らしい授業になるという考えです。
「授業をするための基本スキル」は「学習規律」とも呼ばれるものだと思います。
今回読んだ本では、「基本スキル」を4つの領域に分類し、こんな紹介がされていました。引用します。
授業開始前(A領域)
- 始業チャイム前に入室する
- 笑顔で児童生徒と接する
- 始業前にできることは済ませる
- 始業チャイム後スムーズに本論に入る
授業開始前(B領域)
- 児童生徒の顔を見ながら説明する
- 笑顔で柔らかい声で説明する
- コンパクトで正しい日本語で説明する
- 連続的な説明は10分以内にする
- 説明中も「対話」の工夫を入れる
授業開始前(C領域)
- トーク開始前に内容・時間・役割を示す
- 開始直後に全員の取り掛かりを確認をする
- 常に、全体・チーム・個人の変化を観察する
- コンテントより、プロセスに重点を置く
- 終了時に全員の終了を確認する
振り返り(D領域)
- 振り返りの方法と時間を明示する
- 開始直後に全員の取り掛かりを確認する
- 授業者は沈黙を大事にする
- 片付けなどをしてもいいが観察は維持する
- 終業チャイムを厳守する
ー小林昭文(2024).「担任学入門 まんがで身につく担任スキル」P30.キングベアー出版
さて、皆さんはこれをどれだけ守れているでしょうか?
私が、いろんな管理職の下で働きましたが、どこでも言われたのが、
A1、D5の「始業前に教室に入り、終わりを守りなさい」です。
社会人として、時間を守るのは当たり前です。そして、子供も、その姿を見て、時間を守ることの大切さを知るのです。
先生が時間を疎かにすると、子どもも時間にルーズになります。
そして、子どもの中の授業を大切にする力が弱くなるのです。
他にもB3「コンパクトで正しい日本語で説明する」は、「発問は1回」とよく教えられました。
子どもは長い説明は聞けないです。特に小学生1年生に10分も講義をしたら、苦痛でしょうがないでしょう。
そこで、「発問を短く、それでいて、子どもが内容を理解できるように」といつも指導を受けていました。
これは、どの学校種でも一緒でしょう。
私が苦手なのはD3の「授業者は沈黙を大事にする」の部分です。
皆さん、これはどういう場面か想像できますか?なぜ、授業者は沈黙を大事にするのでしょう?
こんな場面です。
先生が「〇〇について考えましょう。」と指示をします。
子どもたちが、「シーン」としたら、皆さんは、どうしますか?
答えは、先生も「黙っている」のです。
子どもたちは、授業がさっぱりだから沈黙しているのではありません。
先生の発問に対して、回答を考えているから、沈黙するのです。
考えているときに、先生が、さらに話し始めたらどうなりますか?混乱しますよね。
だからこそ、「授業者は沈黙を大事にする」のです。
「授業をする上での基本スキル」を見てわかること

さて、私の経験を踏まえながら、基本スキルを説明してきました。
1つ質問です。
A〜D領域で19の項目がありました。
- 項目を読んで、まず内容と具体的場面を自分の授業経験から想起できましたか?
もし、1つでも、「何を言っているのかわからない」項目があれば見直すとさらに授業力が上がります。
私は、19の項目全てについて、初任研や、そのときどきの管理職、または、授業研の事後検討会で(違う言葉ではあるけれど関連する内容を)指導されてきました。
その都度ハッとさせられましたし、危険信号だと思って、直すように努めました。
もしわからない項目があったら、隣の先生に聞いてみましょう。
隣の先生も忙しいと思いますが、授業を見てもらい、率直な意見をもらいましょう。
きっと、何かがあなたの中で変わるはずです。
最後に

今まで、算数・数学の授業をする上で大切なことを、さまざまな角度で記事にしてきました。
今回は原点に立ち返り、「授業をする上で大切にしたい基礎」をお伝えしました。
これは、どの教科でも、どの授業でも、大事になる土台となる技術です。
これが一定の水準になると、授業の安定感が抜群に増します。
また、授業の信頼感が、先生への信頼感へとつながり、学級経営にも良い影響が出てきます。
前回の記事では、担任で必要なスキルと、授業者として必要なスキルは違うと述べましたが、どちらもあれば鬼に金棒です。
皆さんも一度「授業で必要な基本スキル」を見直してみてくださいね。
学習指導要領で目指す「主体的・対話的で深い学び」のために必要なことについて考えた記事も作りました。こちらをご覧ください。
次は、「担任として必要なスキル(担任スキル)」の話をします。

参考文献・参考HP
参考文献
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