【研究授業の視点】算数・数学の授業の6つの視点

教育

みなさんも年に何度か、他の先生の授業を観に行くと思います。

でも授業の視点ってたくさんあって、どんな切り口で見ていけばいいか迷いますよね。

また、人によって授業を見る観点が様々で、協議会のあと、もやもやが残ってしまうということもあるのではないでしょうか。

今回は算数・数学授業で目指すものと、そのための授業の見方を6つの観点から紹介したいと思います。

この観点から、授業を観ることで、授業の”見方”が変わるとともに、自分の授業を振り返るうえでの”味方”にもなると思います。

一緒に考えていきましょう。

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楽しい算数・数学授業を目指して

授業を行う上で、子どもが「楽しい!」と感じることが大前提です。

ただ楽しいと一口にいっても様々な楽しいがあります。

問題が解けるから楽しい、先生から○がもらえるから楽しい…子どもによって様々です。

ここで大切にしたいのは、「考えることの楽しさ」です。

考えることの楽しさ

では「考える」とは何でしょうか。

「考える」とは、「自分で納得できるように問題状況の解消を目指すこと」とします。

授業で教師が「○○について考えてみましょう。」と発問することは少なくないです。

しかし、これでは子どもは楽しく考えるまでにはいかないでしょう。

なぜなら、それは、教師にやらされたという印象を子どもがもつからです。

しかし、「考えてみよう」と言われただけで、考えだす子どもはどれだけいるでしょうか…。

そこが、教師の腕の見せ所です。

子どもがつい考えたくなってしまうような仕掛けを講じたいですね。

授業の仕掛け

では、子どもが、つい考えたくなるようにするには、教師はどこで仕掛ければよいのでしょうか。

  1. 「なぜだろう…?」と疑問をもたせる仕掛け
  2. 「もしかしたら…?」と予想をたてさせる仕掛け
  3. 「こうすれば…」と解決の方針をたてさせる仕掛け
  4. 「それならば…」と解決の結果や、その過程を評価・改善・発展させる仕掛け

が必要です。

ただ、問題を教師が提示する時点で、ある程度、教師による強制力がでてきます。

だからこそ上記の4つの仕掛けで、子どもの「やらされ感」が低減された学びにする必要があります。

教育実践論文では、上の4つの、どれか(または複数)の仕掛けを「手だて」として講じ、子どもの変容を追うことになります。

授業を観る上での6つの見方

さて、以上のことを踏まえて、授業の6つの見方を考えてみましょう。

端緒(きっかけ)

○子どもの「やらされ感」を軽減して問題を設定することができるような仕掛けがなされているか

  • 「なぜだろう?」と子どもが疑問をもたせられる仕掛けがなされているか
  • 「もしかしたら…」と予想をたて出すような仕掛けがなされているか

<具体的な指導>

生徒が課題を具体化するまでの流れを工夫します。

例えば、

  • 不思議さや疑問を感じさせる問題を示す
  • 「予想する」「選択する」「間違い探しをする」ことなどでポイントを明らかにする。
  • 本時の課題として据えるべき意見が出たら、全体で共有するようにする。

ことを考えます。

<留意点>

提示した問題は、本時の目標に結び付いているかをよく考えましょう。

⇒問題の解決過程で子どもが何を学び、何を経験するのかを明確にし、目標との関係を言えるようにすることが大切です。

解決

  • 解決の過程が(この問題を考えてみましょうのような)「活動の丸投げ」にならないような仕掛けがなされているか
  • 多くの子どもが解決に取り組めるようにする仕掛けがなされているか

を見ていきます。

<具体的な指導として>

  1. 解決する前に全体で方針をたてる
  2. 全体で類題を解決する
  3. 解決の途中で「よい考え方」、「困っていること」などを全体に知らせる
  4. 早くできた子どもを情報発信の拠点にする
  5. 解決できない子どもを集め、ヒントを与える
  6. 子どもの状況をレベル化し、各レベルで対応の仕方を準備する

と6つの例が考えられます。

<留意点>

事前に想定した指導として、具体的に(指導案等に)示すことができるかを考えなければなりません。

ここは教師の腕の見せ所です。

共有

  • 単なる答え合わせで終わらないための仕掛けがなされているか
  • 「もっとよくしよう!」という見方で解答の質を高める仕掛けがなされているか

<具体的な指導として>

  1. 異なる解答を比較検討する
  2. 異なる解決方法を比較検討する
  3. 同じ解決方法の異なる表現を比較検討する

いわゆる対話的な学びを深めるところですね。

<留意点>

一人解決が深まらないとき、そこに時間をかけるよりも、一人解決の時間を圧縮し、共有で理解を深めることで、子どもの考えを深めることも有効ではないか?

と考えが上手く深まらなかったときの手だてを考える必要があります。

自力解決できなくても、仲間の説明を聞くことや読むことを通して理解することも、解決と同じように大切にした指導を取り入れることが大切です。

ふりかえり

  • 「なぜ解決できたのか?」と子どもに考えさせる仕掛けがなされているか
  • 他の問題で「活かせるか」を確かめさせる仕掛けがなされているか
  • 「それならば…」と発展させる仕掛けがなされているか

<具体的な指導として>

  • なぜ問題を解決できたのか(解決のツボ)、その発想はどこから導かれたものなのか(ツボの出所)を確認する。⇒汎用性、既習事項との相対化
  • 別の問題に適用する⇒出てきた考えの効力感
  • 問題の条件を変えるなどをして発展させ、新たな活動の端緒をつかむ。⇒サイクル化

<留意点>

振り返った結果に、質の高い内容知や汎用性の高い方法知が意図されているかが大切です。

あらかじめ授業の目標から生徒が振り替えるべき内容を定めて授業を構想しましょう。

「○○について、今日の振り返りを書こう」と指示するのも大切だと思います。

有効性

  • この授業の目標の実現のために講じた仕掛けは有効か
  • 「楽しさ」の具体化はどこに意図されているか

<留意点>

講じたしかけは、「端緒」、「解決」、「共有」、「振り返り」のどことどのように対応するか明らかになっているかを確認する必要があります。

各視点の指導の該当箇所を明確に意識した上で授業案を練り、事後検討会でみんなで検討をしたいですね。

バランス

  • 1授業時間で指導する場合、1)~4)の4つの視点が無理なく適切に位置付けられているか
  • 複数の授業時間にまたがる場合、連続性を保つ工夫がなされているか?

<留意点>

一授業時間の指導に適した内容、目標とはを常に考える必要があります。

指導要領などから、各学年・領域から適切な内容を探しだし、設定する必要があります。。

まとめ

ざっとまとめてみました。

・授業を、「端緒」、「解決」、「共有」、「振り返り」と4つに分けたとき子どもが、つい考えたくなるような仕掛けを講じることができているか
・講じたしかけは、4つの授業場面のどこに位置付けられ、<具体的な指導>の部分とどのように結び付いているかが明らかになっているか
・1時間の場合は、4つの視点が無理なく適切に位置付けられているか
・複数の時間の場合、4つの視点に加えて、授業の連続性を保てるような仕掛けがなされているか

2022年8月に、立教大学 永田潤一郎先生の講演を聞く機会がありました。

そこでの内容を自分なりのふりかえりとしてまとめさせていただきました。

この見方で自分の授業を振り替えると力が付きそうですね。

みんなでがんばっていきましょう!

スーさん
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