自分の周りでも、転職したいという声を聞きます。
また、定職に就かなかった仲間もいます。
親としては、子どもが自分一人で食べていけるぐらいは働いてほしい、自立してほしいというのが願いだと思います。
どんなサポートをすればいいのでしょうか。
一緒に考えてみましょう。
大切にしたい考えはこちら!
子どもにとって「働く」とは
自分のクラスの生徒に「働く」ことについてどのように考えているか尋ねたことがありました。
- 大変そうだけどがんばりたい
- お金を稼がなければ生きていけないから大切
などの意見が出ました。
多くの子どもたちが「働く=大人」「働く=お金を稼ぐ」と捉えていることが分かります。
ただ、仕事を通して自分の能力や技術を向上させたり、出会いが増えて人間関係が豊かになるという生き方には目を向けていない感じもします。
一方で、「仕方なく働く」「働きたくない」と答えた子も少数ながらいます。
なかには「頑張りたい」という気持ちと、働くことへの不安な気持ちとの間で揺れている子もいました。
また、「働く」ことについて感じていることを聞くと、
- ホワイト企業とブラック企業の見分け方を知りたい
- 働くってアルバイトも働く?正社員が働くこと?
- 親が大変そうに仕事しているから怖い
- 親ってどんなことを考えて働いているのかな
- 働くって楽しいのかな、めんどくさいのかな
なんて声が挙がりました。
また「就きたい職業があるか?」と聞くと、せいぜいクラスの半分ぐらいの子しか手が上がりません。
手が上がらなかった子に話を聞くと、「昔はユーチューバーとか、プロサッカー選手と言っていたようですが、中学校に上がってもう一回振り返ると、無理だと思った」と話していました。
将来についてより現実的に考えるようになったり、自分自身を客観的にとらえられるようになったりするからだろうと考えられます。
就きたい職業が「ある」と答えた子にきっかけを尋ねると、「好きだから」という回答がありました。
絵を描くのが好きだからイラストレーターになりたい。
数学が好きだから、数学に先生になりたいといったものです。
「好き」でいることは何をする上でも大きな原動力になるでしょう。
「経験・体験」「テレビやインターネット」も上位にあがっています。
これらがきっかけとなって、「感動・憧れ」や自分もやってみたいという気持ちが引き起こされることで、就きたい職業につながっていくことが多いようです
また、家族の影響も大きいです。
一番身近な職業人である親の仕事なども、将来の目標をもつきっかけになるようです。
また、「好きなことがなくて困っている」という回答もありました。
そんな時こそ、初めてのことや、普段ならやらないことに挑戦をして、経験を増やせるとよいですね。
そうした機会を増やすために、保護者はどのようなことをすればよいのでしょうか?
キャリア教育とは?
改めてキャリア教育について確認をしておきましょう。
中央教育審議会からこんな投信がでています。
決して「進路を決める」、「なりたい職業を明確化する」ことがキャリア教育ではありません。
もちろん「○○になりたい」という子どもが思い描くことはよいのですが、そこだけに焦点を当てる必要はないのです。
キャリア発達
先ほどの答申によれば、「社会の中で自分の役割を果たしながら、自分らしい生き方を実現していく過程」とあります。
自分の役割を果たすのは、必ずしも職業の場だけではありません。
子どもたちにとっては、学校での自分、家庭での自分、地域の中での自分があります。
部活動ではこんなことをしたい、友達にはこんな自分でいたい、家族の中では…と様々でしょう。
「自分らしい」生き方というのはもっと大きな話になります。
「自分らしい」って何でしょう。
大人だって簡単には説明できません。
むしろ「自分らしい」を見つける過程こそが大切なのです。
つまり、今の「自分らしい」ことを模索したり、経験したりして、変化し続けることが大切です。
決して「やりたい職業を決める」ことでもなければ、「やりたいことが見つからないことを問題」と感じさせることではないのです。
キャリア教育が目指すのは、「人生という長い変化の過程」を生きていくために必要な能力や態度を育てること、つまり自立して生きていく土台になる力を育てていこうとになります。
子どもの職業観を育てる
子どもの職業観を育てるために、家庭ではどんなことができるのでしょうか。
どんなことが大切なのでしょうか。
一番大切に思うことが
「子供が決めたことを理解し尊重する」
ことだと思います。
子どもが興味をもったことをさらに追及できるように環境を整えたり、より多くの種類の体験の場を提供したりすることを大切にしたいです。
中学生になると、学習習慣を身につけさせたり、習いごとに通わせたりすることにより、能力を引き出したり、伸ばしたりすることを大切にすることを大事にする保護者が増えます。
受験などが差し迫ってくるからと考えます。
いろんな保護者の方と話から話を聞いてみると
- 親族の人の仕事での体験を聞かせてもらっている
- 工場見学やボランティアに参加したり、地域の工作教室に参加したりと、子どもが経験できる場を用意している
- 子どもがやりたい!といっていることは否定しないでいる。
- 子どもが興味をもったことに対して、分からないことが出てきたら、自分で調べるように促したり、資料を紹介してる。
- 近所の人、周りの大人との関わりをもつようにしている。
- お金や時間など、将来生きていく上で何を大切にしたいか話し合うようにしている
と言ったことを聞きました。
「働く」ことへの失敗談
子どもには、働くことへのマイナスな部分はあまり見せたくないなというのも親心だと思います。
愚痴を言ってしまった
よくあるのが、「仕事行きたくない、めんどくさいと愚痴を言ってしまった…。」といったことです。
ただ、働くことは、楽しいことばかりではありません。
辛い部分も知っておくことは大切です。
ただ、辛い部分だけでなく、同時にやりがいや良い面を伝えることが大切です。
親の価値観を押し付けて失敗した
- 子どもが興味をもった職業に対して、知識もないのに、否定してしまった
- 親の考えを押し付けてしまった
親が子どもを思う気持ちが覗えます。
子どもが夢をもつことはよいことです。
子どもの意見を聞くようにして見守ってあげてほしいなと思います。
何かを伝える場合は、「わたしはこう思うんだけど…。」など親の価値観が全てではないことを伝えられると良いですね。
もし、失敗してしまったなと感じるときは、子どもに反省していることを伝えましょう。
親として知識と経験をもっておけばよかった
- いろんな仕事があるのに、上手く説明できず、身近な学校の先生やお店といったイメージしかもたせることができない
- もっと自分もいろんな経験をしてから仕事に就けばよかった。仕事を始めてから、やりたいことができて苦しんだ。
という話も聞きます。
そんな時は、子どもと一緒に調べてみてはどうでしょうか?
本もたくさんありますし、身の回りで働いている人を探してみるとおもしろいと思います。
親として失敗したと思っているなら、その失敗談を語るのも子どもにとって、大切な経験になります。
やる気の維持が難しい
- 子どもと一緒に進学のことを決めたけれど、本人のやる気を引き出せずに困っている
- 家でのお手伝い。子どもがしたいと言っているのを後回しにしたら、やらなくなってしまった。
そんなときは、子どもと話し合いながら、目標の再設定するのが良いと思います。
始めるのに「遅い」なんてことはありません。
子どもの発達段階や性格に合わせて、目標設定、声掛けの工夫をしていくことが大切です。
大切なのは、子どもの考え方を尊重し、親が歩み寄りながら成長に合わせて働くことについて一緒に話す場をもち続けること。
それが、家庭でできるキャリア教育になってきます。
親が頑張り過ぎない
上のような失敗談を見ていると、「愚痴を言ってしまった」以外は、親の思いが強すぎる感じがします。
「子どもに良いことをしてあげたい。」
「もっと力になりたい、良い方向に導きたい」
という思いが溢れています。
でも、親は、正解を知っているのでしょうか?
きっとそんな親御さんは少ないでしょう。
常に社会は変化し、世の中で重要視されている職業はどんどん変わっています。
話題の生成系AIの存在に代表されるように、辺かのスピードは一段と早くなりました。
見たこともない職業(youtuberとかも入ります)がたくさん生まれ、同時に必要性のなくなった職業も増えています。
だからこそ大切なのは、どんな状況に向き合ったときにもしっかりと自分の道を描き歩んでいける、その土台の力を育てることです。
親は何をしたらいいの?
先述しましたが、大切なのは
「子どもが興味をもったことは否定的なことは言わないようにして、子どもがどんどんやりたくなるように支援をする」
ことです。
ただやりたいことが明確になってそこに向かっていけば安泰…なんてことはありません。
何度でも変わっていいし、失敗してもまた別の何かに取り組めることの方が大切です。
次々に興味が変わってもいいし、途中で投げ出しても大丈夫です。
大切なのは過程なのです。
不安のあまり先取りして将来を決めつけたり、指示ばかりしたりするのではなく、やってみること、自分で考えることをぜひ応援をしてあげてください。
そして何より大切なのは、「親自身がその姿を見せてあげること」です。
つまり、大人になっても、仕事に一生懸命に打ち込む姿、新しいことを挑戦する姿を見せることです、
ときには愚痴をこぼしたって構いません。
「大変だけど、仕事ってこんな面白いこともあるんだよ。」
と伝えてあげることがリアルなキャリア教育です。
そんな親の姿をみながら、子どもは自分の将来像を描いていくことでしょう。
まとめ
- 子どものやりたいことはとことん応援しよう
- 親はいい姿ばかり見せなくても大丈夫!
- 大切なのは、親が、仕事を一生懸命にやる姿や、挑戦する姿をみせること!
きっと親の思いは子どもに届きます。
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