ちょうど、地元の保健士さんから「認知症サポーター養成講座」を受けませんか?と依頼がありました。
そういえば、認知症関係の教材が教科書にあったなと思い、講座の前日に「注文をまちがえる料理店」を取り扱いました。
実は自分も、認知症の方が周りにはいないので、漠然とした知識しかありません。
どんな授業にできるか・・・。なんて思いながら授業をしました。
様子を紹介します。
主題名
おおらかの気持ちで B(9)相互理解、寛容
ねらい
それぞれの個性や立場を尊重し、いろいろなものの見方や考え方があることを理解し、寛容な心を持って謙虚に他者に学び、自らを高めていく実践意欲を育てる。
教材のあらすじ
小国士郎さんは、認知症のかたが働くレストランを企画し、2日間限定でお店を開いた。
「まちがえてしまうかもしれないけれど、許してね」というコンセプトだ。
小国さんは、認知症のかたと触れ合ううちに、何かしてあげなくては、というよりも「自然でいい」と思うようになった。
このレストランでは、みんなが笑っている。「間違いを受け入れ、一緒に楽しむ。」そんな気持ちをもつことができれば、新しい価値観が生まれるのではないかと思った。
出典:「注文をまちがえる料理店」あさ出版
授業の実際

導入
T:今日は、「注文をまちがえる料理店」というお話から考えていこうと思います。
テーマは、相互理解・寛容です。
今回、出てくるのが「認知症」なんですが、認知症の人が身近な人でいる人いますか?
あ、だれもいないんですね。認知症のイメージってどんな感じ?
S:物忘れがひどい。
S:漫画だと、「ご飯を食べたのに『お昼ご飯はまだ?』と聞いている」
T:あー、なるほど。そういうイメージだよね。自分も実は直接かかわったことなくて同じイメージです。
ただ、若くして認知症になってしまう人もいるよね。君たちのお家の人くらい。
そうすると働くのも大変です。
今回は、そんな人たちが働ける場ができないかと、「注文をまちがえる料理店」というのをやってみたよというお話です。
一緒に読んでいきましょう。
範読する。
感想を教えてください
T:では文章を読んでの感想を教えてください。
S1:高齢になっても働ける場所があるのはいい
S2:認知症の人で料理店を作る発想がすごい
S3:認知症の人でも接し方を変えないでいいことが分かった
S4:認知症の方の意見を取り入れているのがいい。
(店を始めるにあたって、注文したものが間違って届いたほうがいいのではないか。認知症の方がまちがえるような仕掛けがいるのではないかと店のコンセプトで悩んでいた。その中で、認知症の家族の方から、「当事者にとって、間違えるということはとても辛いこと」という意見をもらって、認知症の方が注文をまちがえるような仕掛けはしないという店のコンセプトが決定したことから)
S5:認知症を受けいれる広い心がいいと思った。
問い返し発問「本当にみんなできる?」
T:皆さんの思いはとてもよく分かりました。
みんなの言う通り、認知症の人の働ける場所は必要だと思います。
そして、接し方についても変えなくていいとも思うし、それを受け入れる広い心も欲しいですね。
けれど、それって本当にできる?
あなたの周りの人がそうなったら、受けいれるなんてできるんでしょうか?
S6:病気になってしまったら、僕だったらできない。
S2:きっと意識してしまうと思う
S7:支えようと頑張るけれど、ずっとは難しいだろうな。
ねらいに迫る発問「新しい価値観とは?」
T:みんなの本音の部分がちょっと聞けてうれしいです。
それでも、実際に認知症の方はいるわけだし、一緒に過ごしていくということはこれからありうるわけだよね。
本文の最後に「(認知症の方との交流を通して)これまでにない新しい価値観が生まれるのでは?」と書いてあります。
この「新しい価値観」というのは何だと思いますか?
S2:今のままでは見つけられない価値観
S6:間違いは悪いといった価値観。これは無くしていくべきと変えていかないといけない
S7:間違いを受けれて楽しむというのが「新しい価値観」だと思います。
終末

T:今日は認知症を通して、価値観について考えてきました。
みなさんは、何か新しい価値観は浮かびましたか?
ちょっと話はずれますが、実は夏休みにすぐ学校の近くのホールで、認知症についての講演会があったの知っていますか?
また、Podcastで認知症を雇用している会社について話している番組がありました。
これを聞いても、新しい価値観について、何か気づきがあるかもしれません。
もしよかったら聞いてみてくださいね。では、振り返りを書きましょう。
生徒の振り返りから
- S2 もし身近な人が認知症になったら自分ができる限りの支援をしていきたいし、自分がなったらそうしてほしい
- 斬新なコンセプトのレストランだった。認知症で起こる問題を解決するのではなく、受け入れるのがいいなと思った。
- 全員が全員優しいわけじゃないから(世界が変わるのは、難しい)
- 日衣装でも仕事ができるのがすごいと思った。もし身の回りの人が認知症になったら、普通に対応は難しいかもしれないけれど、(対応できるような)新しい価値観を見つけていきたいと思いました。
- 間違いを受け入れることは人によっては難しかったり、時間がかかるだろうけれど、(相手を)わかろうとしたり、考えることは大切なことだと思った。
授業を終えて

生徒の様子
新年一発目だからか、いつもより意見がスムーズに出てきました。
反面、認知症の想像が膨らまない生徒は、下を向いてしまっていて・・・。
しょうがないですが、難しいですね。
明日の認知症サポーター養成講座で、また何かつかんでくれるといいと思います。
逆にそうやって、生徒の経験を耕していくことが大事なのではないかと思います。
振り返りを見ると、ねらいにせまる振り返りを各生徒も多くいました。
これは、感想を聞いたあと、「本当にできる?」と、問い返したことで、生徒が、自分を振り返ってできないかもな・・・。と思えたからだと思います。
それでも、「新しい価値観とは?」と考えさせたことで、相手の立場に立って考え続けることが大切ということに気づけたのではないかと思います。
中には、「全員が全員優しいわけじゃないから(世界が変わるのは、難しい)」という振り返りもありましたが、これもこれでいい振り返りです。
どこかで、この問題に直面したときに、自分はどうするかを考えてほしいなと思います。
別の切り口からの授業案
関連項目として「社会参画、公共の精神」でも授業ができると指導書では紹介されています。
事後に、別の先生から「『なんで、この物語に出てくる人はこんなに働きたいんだろう?』と問うことで、病気になっても社会を参画したい、そこまではいかなくても、社会とつながりたいという欲求があることがわかるんじゃないかな。そこから、『新しい価値観とは?』と迫っても面白いかもしれないね。」と話をしました。
生徒の考える領域が、他者から社会とスケールが大きくなってしまうため、ここについてはよく教材研究をする必要がありそうです。
ワークシート
ワークシート(注文をまちがえる料理店)最後に

これは個人的な話ですが、ここ2年ばかり特別支援学級の担任をしています。
その子たちの就労に向けて、普通学級の生徒とは違ったアプローチで進路学習をしています。
彼らを理解すること。そして、彼らが働く意義とは。
そんなことも考えてしまう教材でした。
みなさんはどうでしょうか?
この教材を扱った感想をぜひ教えてくださいね。

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参考文献・参考HP
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