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【道徳 指導案 C(18)国際理解 国際貢献 人権週間】新編新しい道徳②(東京書籍)「六千人の命のビザ」を使って

道徳

2025年は12月4日~12月10日までが人権週間です。

学校では、公開授業週間とかぶり、人権をテーマに道徳の授業をすることを仰せつかりました。

ひねったり、凝ったりした授業ではなく、教科書の教材を使って、どーんとやりました。

ちょっと、年の瀬もあり、いっぱいいっぱいです(苦笑)

皆さんはどんな道徳を行ったでしょうか?

2025年12月中旬の実施です。

あらすじ

リトアニアの日本領事館に、何百人ものユダヤ人が日本の通過ビザを求めて押しかけていました。

領事代理の杉原千畝は、外務省に大量のビザを発行するための許可を申請しましたが、返事は「否」

そこで、何日も悩んだ末、外務省からの指示に背き、家族の安全なども気にかけながらも独断でビザの発行に踏み切りました。

これを伝えた時の、ユダヤ人たちの喜びようは電気が走ったようでした。

杉原さんは退去命令でリトアニアを出発する直前までビザを描き続け、多くユダヤ人の命を救ったのだった。

・・・というお話。

ねらい

杉原さんの苦悩を通して、人類愛の精神に基づき、国際的視野の理解に立って、世界の平和と人類の発展に寄与しようとする心情を育てる。

授業の実際

導入:当時のユダヤ人の状況を知ろう

朝の会で、「ホロコーストって知っている?」と聞くと、生徒は全員首を横に振りました。

小学校ではやらないのでしょうか?

ということで、当時の歴史背景の説明から始めました。


「これは、第1次世界大戦後のドイツの風景です。よく小学校の歴史資料集に載っているんだけど何をしているか知ってる?」

ー朝日新聞GLOBE+より

一人の生徒が「お金で遊んでいる!」と答えました。

T:「そうです。当時のドイツはWW1に負けて多額の賠償金を課せられていました。賠償金を払うべく、ドイツはお金を刷りまくって、賠償金を返しました。その結果、この写真のようになったわけです。意味わかる?」

S:「お金の価値がなくなった?」

T:「そうです。ドイツマルクを刷りまくった結果、賠償金そのものは払えましたが、マルクの信用がなくなり、まったく価値がなくなってしまったのです。

パンを1つ買うにも1兆マルク必要。リヤカー満杯に札束をもっていかないと買えないという状態になったのです。

そんなときに、ヒトラーという人が出てきました。ヒトラーは『ドイツ人(アーリア人)は優秀だ!ユダヤ人はダメだ!金は持っているから、ユダヤ人の金を奪ってドイツ人は豊かになればいい!』と言って、独裁政治を敷くようになりました。

日本で言えば、日本人以外にも北海道にはアイヌ民族がいます。沖縄の人もちょっと顔つきが違いますよね。

その、アイヌ民族とかを、排除しようっていうイメージです。

見た目は区別なんてつかないのに、そうやって血筋で、人種差別をしたわけです。

ドイツ国内にいたユダヤ人は、捕まえられてアウシュビッツ収容所などの強制収容所に移送され、殺されました。

ユダヤ人だけでも600万人と言われています。

そんな中、ユダヤ人を助けようとした日本人がいます。杉原千畝といいます。

外交官として、ユダヤ人にビザを出した人です。ビザというのは、日本に来るための許可のようなものです。

日本を通過して、アメリカまで渡るのが杉原千畝さんのところに来たユダヤ人の願いでした。

当時のヨーロッパの状況と、主人公の杉原千畝さんの話を簡単にしました。

この話を頭の隅に置いておいて、話を読んでみましょう。」

(範読する)

感想を教えてください

T2:杉原さんは自分も危険なのに、助けるのがすごい

T3:国外に早く逃げて、自分の身の安全を守るのが大事なのに、残ってビザを発給し続けたのがすごい

T4:ヒトラーってやばいなと思いました。

主発問:「杉原さんの苦悩の末の行動にはどのような思いが込められているのかな?」

T:皆さんが言うように、危険な中、杉原さんはビアを発給していましたね。

外務省からは、ビザを発給してはいけないとも通知が出され、早く国外退去をしなさいと命令も下っていました。

対して、大使館の周りにはユダヤ人がたくさん、ビザの発給を求めて立っています。

いろいろ悩んで、杉原さんはビザを発給しましたが、この苦悩の末の行動にはどのような思いが込められているのでしょうか?

T5:たくさんの人が助かってほしい

T6:ユダヤ人を放っておいて、自分だけ助かるのは違う

T7、T8:たくさんの人を助けたい

問い返し:「日本人でも、仲の良い隣人でもないユダヤ人を助けたのはなぜ?」

T:みんなの考えはとてもよく分かった。

でも、先生は腑に落ちないことがある。

もし、日本人が助けを求めていて、それに応じるなら、杉原さんの助けたいという気持ちはとてもわかる。

日本人でなくても、大使館の近くに住んでいる外国の親しい友人、隣人だったら、助けたくなるだろう。

でも、今回は、何も今までかかわりのなかったユダヤ人である。

その人たちを助ける気持ちになったのはどうにもわからない。

みんなはどう?

ここでタイムアップでした

生徒の振り返り

  • ・家族にとっても良い父親でありたかった?
    ・もう後戻りができなくなってしまったから(何日も悩んでユダヤ人を待たせたのに助けないという選択をするのはできない)
    ・なんで最後、(ビザを発給できなかった)ユダヤ人が礼を言っているのかわからない。
    (箇条書きで3つのことが書かれていました)
  • 日本人じゃない、仲が良いわけではないのに何で助けるの?と先生が言っていて、私もなんでだろうと思いました。
  • 杉原さんは誰とか関係なく平等で、人の命を手とも大切にできる人だったんだなと思った。自分の危機を覚悟しながらも人を助ける勇気が本当にすごいと思った。ユダヤ人からも日本外務省からのプレッシャーもあって大変だったと思う。
  • 私も全然知らない人に一生懸命になれるような優しさを持ちたいと思った。
  • 赤の他人を助けることができるのがすごい。僕もできる限り相手のことを考えられるようにしたい。 

ワークシート

ワークシート(六千人の命のビザ)

授業を終えて

問い返しについて

問い返しは、いろんな問い返しができたと思いますが、今回は「日本人でも、仲の良い隣人でもないユダヤ人を助けたのはなぜ?」としました。

ねらいが、「人類愛の精神に基づき、国際的視野の理解に立って、世界の平和と人類の発展に寄与しようとする心情を育てる」だからです。

要は、「世界の平和のためには、人種などは関係ない!」みたいな意見が出るかなと思ったからです。

振り返りを見ると、「確かになんで?」とか、「赤の他人でも助けるのが大事」みたいな意見が書かれていました。

これらの意見ををみんなで共有しながら、私の意見に同調する生徒や、それでも命をとして人を助けるべき!みたいな生徒の意見をぶつけるともっと化学反応が起こるだろうなと思いました。

なかなか発言するまでに時間がかかるのが、このクラスの悩みです。

みなさんはどんな問い返しを想定しますか?ぜひコメントで教えてください。

授業後には、「めちゃくちゃ頭使ったー」という生徒がしゃべっているのが聞こえました。

答えのない問いだからこそ、そんな考え続ける子供の声が聞こえてうれしかったです。

ホロコーストについて

授業の最後に、いくつかホロコーストの関連書籍や映画を紹介しました。

書籍

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映画

さっそく、「アンネの日記を読んでみた」という生徒もいました。

こういうのも紹介すると面白そうですね。

スーさん
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道徳の指導案はほかにもいくつも作っています。併せてごらんください。

参考HP

法務省:人権週間 12月4日~12月10日
法務省の人権擁護機関では、人権デーを最終日とする1週間(12月4日から12月10日)を「人権週間」と定め、昭和24年(1949年)から毎年、各関係機関及び団体とも協力して、全国的に人権啓発活動を特に強化して行っています。
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