ちょうど、最近話題の「コンサル時代に教わった 仕事ができる人の当たり前」という本を読みました。
コンサルをしていた著者の仕事術の本ですが、これ、学校にも応用できるなと思ったことがたくさんありました。
今回は、「子どもへの聞き取り」で気をつけたいことをお話しします。
「事実」と「主観」を切り離す
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子どもの話を「事実」と「主観」の2要素を切り離す
よくトラブルになったとき、子どもから話を聞いて、仲裁に入ります。
ただ、小学生はもちろん中学生になっても、「事実」と「主観」を区別しないで話します。
嫌なことを言われた気がする。
絶対あの子が悪い。
子どもの思い込みが強くて、なかなか真相がはっきりしないということがよくあります。
まずは「周りの見ていた子」に「事実」と「主観」を分けて聞く
そこで大切にしていることは、「周りの見ていた子」の話を聞くことです。
そこで、「何が起こったのか。あなたが見たことと聞いたことだけまず教えて」と伝えます。
次に「あなたはどう思ったか教えて」と聞くようにします。
「事実」と「主観」を分けて子どもが話せるように尋ねるのがポイントです。
子どもの話を途中で遮る回数も少なくなります。そうすることで、お互いストレスが減るはずです。
そして、トラブルを見ていた子、複数に聞いて総合的に判断すれば、あらかた「事実」が浮き彫りになってきます。
事実を整理することで、トラブルになった当事者の話が「事実」と「主観」がごちゃ混ぜになっていても指導をするべきポイントが見えてきます。
トラブルの聞き取りというのはなかなか気が重いことですが、「事実」と「主観」を分けて話してもらうよう促してみましょう。
当事者に「事実」を伝えることで論点を整理する
さて、周りの子から話を聞いたら、当事者の話を聞いて仲裁に本腰を入れていきます。
ここでも大切なのは、事実ベースで指導をしていくことです。
色々、トラブルになるきっかけはあったとはいえ、「手を出す・悪口を言う」ということは、やってはいけないことです。
それは法律でも決まっていますし、エスカレートすれば警察沙汰になります。
そこで、さっき集めた事実を当時者に伝えながら、やってはいけないことを指導をしていきます。
もちろんその上で、どんな気持ちになったのかケアをしつつ、これからどうすればいいのか。我慢できなくなったらどうすればいいのか、子どもの心が晴れるように指導をしていきます。
今回は聞き取りについて焦点を当てていますが、衝動性や攻撃性の強い子への対応はこちらで詳しくまとめました。合わせてご覧ください。
報告する時も「事実」と「主観」を分ける
さて、聞き取りが終わったら、今度は保護者や管理職への報告が必要になってきます。
そこでも大切なのは「事実」と「主観」を分けて伝えることです。
保護者への伝え方
トラブルが起こり、指導をした時に保護者へ電話をして報告します。
電話越しなので、相手にこちらの指導したことを的確に伝えないと、誤解を招いてしまいます。
そこで、「事実」ベースで伝え、その後「主観」を伝えるようにします。
例えば、手を出してしまった子どもAの保護者にはこのように電話します。
「今日の2時間目にAさんが、Bさんの顔を叩きました。Bさんの右目の上が腫れてしまいました。
周りの見ていた子から報告を受けて、喧嘩を止めました。
そこで、見ていた周りの子に話を聞き、なぜトラブルが起こってしまったのかを聞き取りをして、その後、Aさんに話を聞きました。
どうやら、Bさんと一緒に遊んでいたのですが、そこで、Bさんから『ボール投げが下手』とからかわれ、カッとなってしまって手が出ましたようです。
周りの子も見ていて、Bさんがからかっていたということも聞きました。(ここまで事実)
きっと、Aさんも嫌な思いをしたと思います。(ここから主観)
ただ、手を出してしまうのは、これから我慢できるようになって欲しいと思い、『やってはいけないこと、カットなったときは手を出すんじゃなくて、先生に言いにおいで』とコントロールの仕方を一緒に考えました。
もちろん、Bさんの悪口についても話をしました。ご承知おきください。」
こんな感じで報告をします。
子どもたちの思いを先に出してしまうと、親には事実が曲がって伝わることが多いです。
よく、親が自分の子供から主観が先走ったトラブルの話を聞いて、学校に問い合わせがあってこじれるということがないでしょうか?
きっちり「事実」を先に伝えて、保護者の方に間違いなく伝わるようにしましょう。
管理職への報告も「事実」と「主観」を分けて伝えよう
管理職にも相談をしながら、トラブルがおさまるように動いていくと思います。
管理職も現場を押さえていないので「事実」に基づいて報告しないと混乱します。
確定した情報を先に伝え、「ここからは私の主観ですが・・・」と話を展開することで、的確に管理職に内容を伝えることができます。
もし、「事実」と「主観」が自分の中で混線しているなと感じたら、まずは紙に収集した情報を書き取り、「事実」と「主観」に分けていきましょう。
また、時系列にも並べ直すことで、より自分の中で整理をすることができます。
私の経験から
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初めて担任をした年の1学期。小学校勤務でした。
小学生の2人の子供がコソコソと話をしていました。
「Aくん、またパンを買ってくれよ。」とBくんがAくんに頼んでいるのです。
小学生で奢った奢られたの話かなと思って、Bに話を聞くと
「Aが『お小遣いで奢ってあげるよ』と言ってくれたんです。」と言いました。
Aは、「いやBが買って欲しいって言うから、買ってあげたんです・・・。」と話しました。
それぞれの主観が違っています。家庭のことなので、そこまで踏み込めないのですが、「奢った奢られた」ということは間違いない事実だとわかりました。
「パンを買ってもらったことは事実だから、そこはお家の方に連絡するよ。奢った奢られたは、トラブルになるよって学校でも話があったよね」と伝えて2人の子供に承知を得ました。
そこでA、Bの保護者に「パンの奢った奢られたと言う事実があった」ことを伝えました。
それぞれの保護者が子どもに話を聞いたところ、この奢り奢られが恒常的になっていたことが発覚したのです。
もし、私が、「奢ってあげる・買って欲しい」と言う言葉に翻弄されていて、そこを指導していたら、この事件は大きく明るみに出なかったかもしれません。
事実ベースで伝えたことで、子どもの保護者の協力をスムーズに得られて、A・Bにもこれからお金の扱いをどうすればいいかを考えるきっかけにすることができました。
最後に
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今回は、子どもの話を聞く時・保護者や上司に報告するときに大切なことを何度も書いてきました。
- 「事実」と「主観」を分ける
これだけです。
一度自分の話し方を振り返ってみてください。
もし、うまく伝わらなかったなと言うことがあったら、話し方を変えていきましょう。
より上手に指導ができるようになるはずです。
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我が子が先生に指導されて帰ってきたとき、保護者としての心構えも以前まとめました。合わせてご覧ください。
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