第104回日本数学教育学会 全国大会 島根大会で発表した原稿をお届けします。
ご意見・ご感想をお待ちしております。
さらにブラッシュアップしていきたいと思います。
次年度の研究も公開しました。ご覧ください。
要旨
(1)本研究の課題
授業では理解できても,家庭学習になると,忘れた,分からないという生徒がいる.
例えば,「-(-3)がどうして+3になるか(の過程)が分からない.」という生徒がいる.
ノートや,教科書以外を使ってICTを利用してできないかと考えた.
特に映像で残して,話し合いの様子をそのまま振り返ることができれば,生徒にとって今までになかった復習の手立ての一つになると考えた.
臨時休業の日は,各家庭でオンライン授業を実施する.
同じ場にいなくても気づきを共有できる場を設ければ,学びを深められるのではないかと考え,以下の2つの実践を構想した.
(2)研究の構想
- 授業録画をクラウド上にアップロードし,自由に視聴できるようにする.
- 授業の振り返りを,共同編集機能を用いて友達の内容も同時に見られるようにする.
(3)研究の実際(生徒Aの取り組みから)
(2)-1について
夏休みにドリルを課題として出した.
生徒Aは課題の中で
「132にできるだけ小さい自然数をかけて,21の倍数にするとき,かける自然数はいくつですか.」[1]
という問題の解決方法が分からず,授業録画を家庭で見直した.
そこで,生徒Aは,
「154をできるだけ小さい自然数をかけて,12の倍数にするにはどうすればよいですか.」[2]
の問題を解いた授業録画を見直した.
生徒Aは,録画を見て,
「154を素因数分解すると,2×7×11に分解できること.」
「12=2×6.154の素因数分解に6がないから,6を付け加えれば良い.」
ことを見直した(夏休み後の聞き取りより).
録画を見た後の生徒Aの解答をみると,「7を付け加えると21の倍数になる」ことを確かに理解していることが分かる.
授業録画を見直して,躓きを解消することができた.
(2)-2について
台風による臨時休業の折,ZOOMを活用して,「文字式の代入」について双方向型オンライン授業を行った.
授業では
「①縦a ㎝,横b cmの長方形の面積Sとする.面積Sについて文字式に表しなさい.
②a=2,b=3の時,どんな式になりますか.
③S=12,a=2の時,どんな式になりますか.」
の3問を発問した.③の問題を解くと,
- 12=2bとでてきたぞ.(生徒A)
- 12=2bという式がでた.もしかしてb(横の長さ)って6かな.
という反応が出た.
そこで全員に「bっていくつか分かる?」と尋ねると,「2×6になるから横の長さは6cmだね」と全員で理解をした.
これは方程式につながる考えである.
最後,googleドキュメントを使って,全員の書き込みも同時に見れるようにして振り返りを書かせた.
生徒Aは,「〇=△×と3つの文字で表して,面積を表せばよい.」と書いていた.
別の生徒の「3つの文字のうち,2つの文字の値が分かれば,残り1つの値が分かりそう」という振り返りを読んで,生徒Aは,「②,③の問題から,S,bの値が分かっていれば,aの値も求められそう.」と振り返りを付け足した.
振り返りを全員が同時に見られるようにすることで,生徒Aは新しい気づきを得ることができた.
(4)おわりに
授業録画や,振り返りのクラウド化によって,時間や場所に関係なく学習をできるようになった.一斉授業での応用も考えていきたい.
(5)引用文献
[1]明治図書(2021).『サマースクール数学1』.P15
[2]啓林館(2021).『数学1』.P47
2 発表資料
個人情報に関するものは削除したので、見にくい部分があるかもしれません。
ご了承ください。
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