中学校1年生の、「正の数・負の数」単元の最後に仮平均の学習が入っています。
小学校では、平均は、全ての数値を足して、データの数で割ると教わっています。
それが根強く、なかなか、仮平均の良さに気づかせることが出来なかったり、教えこみになってしまっていました。
今年、導入を変えたら、生徒の理解がとても良くなりました。(テストで出したら、9割が仮平均を使って正答、誤答した生徒も仮平均の設定はできたが、計算をミスしたため減点でした)
嬉しくて、皆さんに紹介してみたくなりました。聞いてください
ねらい
仮平均の良さに気づき、仮平均を使って平均値を求めることができる。
子どもに提示する問題
5人の生徒が数学のテストを受けました。点数結果は以下の通りです。
A:56点 B:64点 C:44点 D:76点 E:?
(Eの点数は生徒が授業内の発言で決める)
このテストの平均を出しましょう。
授業の発問と流れ
T:あるクラスで数学のテストをしました。点数は次の通りです。
C:Eは何点なの?
T:ここは、みなさんが決めてください。そして、先生と、どちらが早く平均値を求められるか、競争しましょう。皆さんはタブレットの電卓を使ってもいいですよ。先生は使いません。
C:じゃあ100点。
T:じゃあ、計算するよ、よーいドン!
平均68点じゃない?
C :(電卓つかって)ほんとだ!
C:じゃあ75点だったら?
T:じゃあ計算ね、よーいドン!(黒板で15÷5をこっそりやって)63点?
C:えー、なんでそんな速く当たるの?
T:もちろん、秘密があるんだよ。先生はどんな計算をしたか考えてみましょう。
皆さんは秘密分かりましたか?
子どもからでてきた予想は次のようなものでした。
- AとB、CとDが、なんかペアに見える(これが最初でなかったので、ヒントはペアと教師が話しました)
- 60が真ん中?
- AからDの平均がちょうど60でならせられるね。
- あ、もしかしてEの点数からならした60点引いて、余分な点を5人で分けて計算してるんじゃない?
- 先生の15÷5ってそういうことか!
こんな風に秘密を解き明かしました。
そこで、「じゃあE君が50点だったら?点数が60点より低いけれど…」と問い返しました。
子供たちは話し合い、
「ここでマイナスを使うんだ!(-10)÷5=-2をみんなに分けてあげれば出来る!」
と気づきました。
ペアを崩したら?
ここで、教師は次のように子どもたちに問い返しました。
T:でも、これって、AとB、CとDがペアで(平均60点)になるから成り立つんよね。Aさんが違う点数に変わったらできないいんじゃないの?
C:どういうこと?
T:例えば、Aを50点に変えてもできる?
C:そしたら、CとDだけペアを保っておいて、残りの3人(A,B,E)を60点から、どれだけ高いか低いかを考えて、5で割ればよい。
T:皆さん分かりましたか?もう一度、隣りで話し合って確認してください。
…
T:確認できましたか?○○さんもう1回説明してくれる?
C:(説明)
T:じゃぁ、Cの点数も変えたら?
C:5人を60点を基準にして、どれだけ高いか低いかを考える。それで、合わせて5で割ればいいね。
T:みなさん、すばらしい。この60点を基準にしてというのがポイントです。
この基準にした点数を、仮平均といいます。仮に60点を平均としたら、A~Eの人が仮平均とどれだけ点数が違うかを考えて、余分な分を割ってあげます。そうすれば、小学校みたいに、たし算をたくさんしなくても解くことができるのです。
ここまでいいかな?
さて、最後の質問です。仮平均って60点じゃなきゃだめ?
C:今回は60点の近くで点数が固まっているからそれでいいけど、70点とか80点とかやりやすい点数を決めてもいいんじゃない?
T:じゃあ、この問題で、仮平均を自分で60以外の数字にして計算してみよう。同じ平均点がでるかな?
まとめ
仮平均の考えを子どもに見つけてほしいので、「秘密を解き明かそう」という名目で、子どもに活動をさせました。
・ペアを崩したが、60を意識すれば計算できるように気づかせた。
・最後に自由に仮平均を設定させ、同じ答えになるか確認させたこと
で、仮平均の計算の仕組みを理解することがで来ました。
棒グラフを用意しておくと、より「ならす」という意味では分かったかもしれませんが、今回の授業では必要ありませんでした。
もしよかったら試してみてください。
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