初任の頃、
「めあてと課題は違う!」
「児童はいま、共通の課題をもっていない。だから話し合いがちぐはぐするんだ」
って良く言われました。
算数の授業だと、先生の授業最初の言葉が
「今日のめあては繰り上がりの足し算の筆算をやるよ」
と伝えたりします。算数・数学において、めあて・課題ってなんなのか。
今日はそんなことを一緒に考えてみようと思います。
こんなコメントをいただきました
算数の授業してると、「導入」で全員の既習事項」を揃えたいと想起することに時間が掛かり過ぎる私です💦
— きーちゃん先生@経験を学びに変えて楽しく生きる方法 (@kiichan_teacher) March 25, 2023
時間で区切る、シナリオを作る、プレゼンを作るなど工夫ができますか?(あまり授業準備時間かけられません。)
みなさんはどう考えますか?
めあてと課題の定義
自分は、めあてと課題という言葉を明確に分けて使います。
たくさんの授業を参観させて思うことなのですが
めあて=課題ではないということです。
とりあえず私は
めあて⇒今日やる学習活動
課題 ⇒学習活動の中で、生徒がぶつかる新しい課題
と、とらえています。
例えば、
小学校1年生の簡単な足し算を例に教材研究をしながら考えてみましょう。
1) 3+6
2) 3+8
この2つの問題ですが、小1の児童が最初に習うのはどっちでしょうか。
答えは1)⇒2)の順番です。
ではそれぞれ何が違うのでしょうか
1)は、3+6=9 となり、和が一桁です。
2)は、3+8=11となり、和が10と1になります。
これは大きな違いです。
この学習をそれぞれ数図ブロックを使って行うのですが、
教科書では、数をあわせたときに10までの部屋にいれています
ただ、2)の計算だと、10の部屋におさまらず、1こあぶれてしまいます。
そこが違うからこそ、教科書は単元を分けて学習をしているのです。
さて、前フリが長くなりました。
では、この例で、めあてと課題を書いてみます。
「めあて」⇒3+8をできるようになろう
「課題」 ⇒10を越える足し算はどう表せばいいのかな
となります。
めあてや課題という言葉を教師が使わない
さて、ここまで読んでいただくと、「めあて」って、今日の問題を書いただけじゃないかと思ったかたもいると思います。
私だったら「10をこえる足し算を考えよう」と最初に板書する
という先生もいるかもしれません。
私はこのやりかたをしません。
理由は
問題も書かずにめあてとして、「10をこえる足し算を考えよう」って書く。これってネタバレしすぎじゃないですか?
ここを児童が見つけることが、授業として大切だと思うのです。
課題も同様です。先生が「ここが今日の課題だよ。何て言ったら児童はなにも考えなくなります。
授業の実際
自分だったらこんな授業をします(1年生もったことないので空気違うかもしれませんが)
T 「Aさん、Bさん、足し算の問題つくって出して」
A 「2+3は?」
全員「5!」
B 「5+5は?」
全員「10!」
T 「すごいね。じゃぁ先生の今日出す問題はこれだよ。5+8は?」
13と即答する子もいるでしょう。わからない子もいるでしょう。できればわからない子がなぜわからないか、その気もちを聞き出したいものです。
こんな風に尋ねてみます
「13って答えた子もいたけど、わからないよね。わからない子はなにに困っているかわかる?」
「AさんやBさんの問題と今日の問題は何が違う?」
この発問は、いままでの問題と違うところを顕在化させることで、児童全員に問題意識をもたせているのです。
これを聞くだけで児童はきっと
「答えが10をこえるから、どうかけばいいかわからないと思う」
「答えが10(のへや)で収まらないから、答えが出せない」
ということでしょう。
この言葉が大事です。
児童のこの言葉をしっかり板書します。
そして、「みんなどう?ここが今日新しく出てきた疑問だね。みんなで解決しよう。」と伝えます。児童が今日考えなければならない「課題」を共有することができました。ここにきて自力解決をさせるのです。
まとめ
いかがだったでしょうか。授業で児童が共通の問題意識をもって、自力解決に取り組み始める姿が浮かんだでしょうか。
・児童の言葉で、課題を作り上げられるように、いままでの問題と今日の問題を比較する発問をする。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
また、リクエストがありましたら教えてください。
参考文献
今述べた、いままでの学習と違うところを「既習とのズレ」と表現されます。筑波大学附属小学校でも大切にされている授業の導入方法です。
年間6冊ほど、東洋館出版社から「算数授業研究」という雑誌が発売されています。この本を読んで、勉強させてもらいました。気になったかたは1度手に取ってみてください!自分の実践のバイブルになっています。
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