生徒が二次関数の問題を解いていて、よく質問される問題があります。
例えばこんな問題
2つの関数$y=-1/2 x^2$と$y=x-5$について、xの値がaからa+2まで増加するときの変化の割合が等しくなりました。このときの、aの値を求めなさい。
(筆者が作成したか、どこからか借りたかは忘れてしまいました。ごめんなさい)
この問題って、なんで取り上げられているのかなとずっと思っていました。
入試問題でも、頻出の問題です。
今回は、この問題から、なぜ入試で取り上げられるかを、数学的意味を考えてみましょう。
変化の割合を学習する意味

今まで、中学校で「変化の割合」を学習する意味あるのかな?と思っていました。
もちろん、変化の割合の知識を知るのは大切です。
けれども、一次関数では、(変化の割合)=(傾き)です。
これを伝えると、「だから何?」と怪訝な顔をされます。
二次関数になると、変化の割合が一定ではなくなるのですが、「そりゃ曲線だもんな」とやっぱり怪訝な顔をされるのです。
二次関数がU字になると概形がわかっていれば、変化の割合が逐次変化するのも当然だからです。
個人的には、高校の微分をやるときに、変化の割合を導入して、「変化の割合を取るxの幅をどんどん小さくしていくと、微分にもっていけるよね」みたいに授業を流していくのがスムーズなのではと思っていました。
入試から考える変化の割合の意義

解法
さて、最初に取り上げた問題を振り返ってみましょう。
2つの関数$y=-1/2 x^2$と$y=x-5$について、xの値がaからa+2まで増加するときの変化の割合が等しくなりました。このときの、aの値を求めなさい。
まずはこの解き方を考えます。
xの値が a から a+2 まで増加するときは以下のようになります。
| x | a | a+2 |
| y | -1/2a^2 | -1/2(a+2)^2 |
このときの x の増加量は2
y の増加量は計算をして、-2a-1になります。
対して、$y=x-5$の変化の割合は、1です(傾きの値と等しい)
よって、$-2a-1=1$の方程式を解くと、$a=-1$と出てきます。
微分の定義を振り返ると
この計算って、微分の定義を使った計算につなげたいのでは?と思いました。
$$(傾き) =lim{f(a+h)−f(a)}/h (h→0)$$
ですよね。
そこで、先の例を使って、$f(x)=-1/2 x^2$の二次関数の微分を考えると同じ計算が出てきます。
今回、xの増加量が2でしたが、xの増加量をさらに少なくしていくと、傾きがやっぱり、$y=x-5$に近づいていくことがわかります。
だから、微分と変化の割合の計算をつなげたいための練習問題なのかなと思っています。
最後に

数学も、変化の割合とかは、なんでここでやるの?
なんて思う時が(結構あります。)
それでも、いろんな問題を見ていくと、ここに発展させたいんだなと思わされたり、こういうアプローチで考えていくと高校数学とドッキングするのかと気づかされたりします。
そんな教材研究も楽しいと感じています。

二次関数の授業案についてもいくつも書いています。併せてごらんください。





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