新しい学習指導要領に変わって、今まで中学校3年生で扱っていた素因数分解が、中学校1年生に降りてきました。
特に難しいなと感じているのが次のような問題です。
問題①
「154にできるだけ小さい自然数をかけて、12の倍数にするにはどんな数をかければよいですか?」
問題②
「45にできるだけ小さい数をかけて、ある数の2乗にしたいと思います。どんな数をかければよいですか?」
問題の意味を理解するのに時間がかかります。
文章が長く、難しい問題の場合、”例えば”で考えると子どもの理解が促進される場合が多いです。
数学ガールという書籍では「例示は理解の試金石 例示ができると真に理解ができているといえる。」といっています。
”例えば”で始まった素因数分解の授業。
その過程をお知らせします。
⇓オンライン学習でも、素因数分解を取り扱いました。こちらもぜひご覧ください⇓
”例えば”で考えてみよう(問題①の授業)
授業の序盤
上の問題をまず提示します。
「154にできるだけ小さい自然数をかけて、12の倍数にするにはどんな数をかければよいですか?」
ただ、これを読んで意味を理解できる生徒は、ひとつまみです。
もしかしたらいないかもしれません。
そこで、私はいつも
「分からないときは、問題の数を簡単な数に変えて、”例えば”で考えるといいよ。」
と伝えています。
そうすると、子どもは、
子どもの作った問題1
「6にできるだけ小さい自然数をかけて、12の倍数にするにはどんな数をかければよいですか?」
といった問題を出します。
そこから授業の始まりです。
この問題だったら、答えは2です。
$6×2=12$
で12の倍数になります。
これだけではまだ分からないので、2つ目の例えばを作ります。
子どもの作った問題2
「13にできるだけ小さい自然数をかけて、12の倍数にするにはどんな数をかければよいですか?」
これだとどうでしょうか。
$13×12=156$でやっと12の倍数になります。
もう一つくらいやってみましょう。
子どもの作った問題3
「14にできるだけ小さい自然数をかけて、12の倍数にするにはどんな数をかければよいですか?」
これでは、どうでしょうか?
$14×7=84$で12の倍数になります。
授業の中盤
さて、ここからが授業の本番です。
みなさんだったら、次にどのように発問しますか?
まずは生徒に
「なにか気づいた?」
と投げかけます。
そこでたくさん意見が出ればいいのですが、出なかった場合は、次の問い返しをします。
「12の倍数にするには、12をかければ、ぜったい12の倍数になるでしょ。
問題2は確かにその通りになっている。
問題1や、問題3は12よりも小さい数をかけて、12の倍数になっているね。
何が違うんだろう…?」
こうすると、子どもたちは、
「6や、14の中には2が隠れている」
と話しだします。
「隠れているってどういうこと?」
とさらに尋ねると、
$6=2×3$、$14=2×7$と素因数分解をし始めるでしょう。
そして、かけた数との関係性をもう一度考えさせます。
そうすると、かけられる数と、かける数の二つで、$×12$が出てくれば良いことに気づきます。
「$154=2×7×11$だから何が足りないのかな…」
と考えだしはじめるでしょう。
”例えば”で考えてみよう 問題②の授業
上と同じです。
「45にできるだけ小さい数をかけて、ある数の2乗にしたいと思います。どんな数をかければよいですか?」
の数字の部分を簡単にして考えてみます。
子どもの作った問題1
「6にできるだけ小さい数をかけて、ある数の2乗にしたいと思います。どんな数をかければよいですか?」
これだったら、$6×6=6^2$にするしかありませんね。
もう少し考えてみましょう。
子どもの作った問題2
「18にできるだけ小さい数をかけて、ある数の2乗にしたいと思います。どんな数をかければよいですか?」
これだとどうでしょうか。
$18×2=36=6^2$となり、解くことができます。
18ではなく、2をかけて、問題を解くことができました。
子どもが作った問題1と2ではなにがちがうのでしょうか。
とりあえず、素因数分解しようという話になります。
私はここから、うまく説明できなかったのですが、子どもが問題②を使って、うまく説明をしてくれました。
書いた式変形は以下の通りです。
$$18×□=2×2×3×□$$
$$=(2×3)*(2×□)$$
左の( )が6になる。右の( )が6にして、つまり6の2乗を作ればいい。□には何が入る?
そうすると、子どもたちはピンときました。
では最初の問題。
「45にできるだけ小さい数をかけて、ある数の2乗にしたいと思います。どんな数をかければよいですか?」
生徒は解答までたどり着くことができました。
まとめ
いかがだったでしょうか。
問題で提示された数字を、簡単な数に変えて問題を考えることでイメージがわきやすくなります。
そして、いろいろな数で問題を考え、共通点や相違点を見つけることで問題解決の糸口が見えてきます。
子どもの声を上手く取り上げ、練り上げていきたいですね。
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