「主体的」で「対話的」で「深い学び」の授業を目指して(この3つの姿ってなんだろう?)

算数・数学教育

文部科学省 初等中等教育局 教科調査官 水谷尚人先生の講演を聞く機会がありました。

演目は「『主体的・対話的で深い学び』実現に向けた算数・数学教育の実践について」です。

そこで、学んだことを今日は残しておこうと思います。

学習指導要領で目指すこと

最初に水谷先生がおっしゃっていたのは、

学校で学んだことが、子どもたちの「生きる力」となって、明日に、そしてその先の人生につながってほしい。

これからの社会が、どんなに変化して予測困難になっても、自ら課題を見つけ、自ら学び、自ら考え、判断して行動し、それぞれに思い描く幸せを実現してほしい。

そして明るい未来を共に創っていきたい。

学習指導要領には、こうした願いが込められています。

とのことでした。確かになるほどです。ここからは、学力をつけることだけが目標でないことが読み取れます。

では、「生きる力」を育むには、授業でどうすればよいのでしょうか。

「生きる力」を育むために

「何を学ぶか」だけでなく、目指すのは「何ができるようになるか」を明確にすること。

そのために、「どのように学ぶか」を考えることがです。

その視点として

  • 「主体的な学び」になっているか
  • 「対話的な学び」になっているか
  • 「深い学び」になっているか

という視点で授業を考える必要があります。

よくある間違いは、「主体的な学び」をしているからよい。「対話的な学び」をしているからよいではありません。

「主体的な学び」と「対話的な学び」の中で、子どもがどのように学びをして、「深い学び」をしているか(教師からすれば、どんな深い学びが表出させるか)を考えていく必要があります。

「主体的な学び」「対話的な学び」「深い学び」の視点

「主体的な学び」の視点として

学ぶことに興味や関心を持ち、自己のキャリア形成の方向性と関連付けながら、見通しを持って、粘り強く取り組み、自己の学習活動を振り返って次につなげる「主体的な学び」を実現できているか。

を授業中の子どもの姿から、考えなければなりません。

具体的には、

・見通しをもつ姿
・粘り強く取り組む姿(見通しをもてるからねばりづよく取り組めるはずである。分からないとうーん…。と考え続ける姿ではないので注意)
・よりよい解決をしたり、新たな問いを見出す姿

が「主体的に学び」をしている子どもの姿になります。
すなわち、授業改善の視点として、

・どうしたら、見通しを持って取り組んだり、粘り強く考えたりすることができるだろうか。
・どうしたら、振り返る内容を充実させ、次に生かせる気づきに導くことができるだろうか。

となります。
そのために、教師は、

・興味・関心を持たせる工夫

・次の学習につなげるために工夫

を手だてとして講じる必要があります。

「対話的な学び」の視点として

子ども同士の協働、教職員や地域の人との対話、先哲(教科書や辞書を読んで、自分自身との対話)の考え方を手掛かりに考えること等を通じ、自己の考えを広げ、深める「対話的な学び」を実現できているか。

を授業中の子どもの姿から、考えなければなりません。

具体的には、

よりよい考えに高めたり、事柄の本質を明らかにしたりする姿

になります。

すなわち、授業改善の視点として

  • どうしたら、グループ間の議論を深め、様々な視点で考えを深めさせられるだろうか

となります。

そのために、教師は

・生徒の協働から、自己の考えを広げ、深めるような場面の設定をしているか
・そのなかで、様々な視点で考えを深めさせるにはどんな手だてを講じるか

を考える必要があります。

「深い学び」の視点として

習得・活用・探究という学びの過程の中で、各教科の特質に応じた「見方・考え方」を働かせながら、知識を相互に関連付けてより深く理解したり、情報を精査して考えを形成したり、問題を見出して解決策を考えたり、思いや考えを基に創造したりすることに向かう「深い学び」を実現できているか。

を授業中の子どもの姿から、考えなければなりません。

具体的には、

・新しい概念を形成しているか
・より良い方法を見出しているか
・新たな知識を、既習の知識と統合し、発展的に考えることができているか

になります。

すなわち、授業改善の視点として

どうしたら、(内容の必要性や意味が分かるようにし)、既習の知識と新しい知識をつなげ、深く理解したり、考えを形成したりできるだろうか

となります。

そのために、教師は

・新しい知識を子どもがしっかりメタ認知するための手だて
・既習の知識と新しい知識を繋げるための手だて
・既習の知識と新しい知識をつなげ、統合的・発展的に考えさせるための手だて

を考える必要があります。

数学的な見方・考え方を働かせて、「主体的な学び」「対話的な学び」「深い学び」を実現しよう

「中学校指導要領 第3 指導計画の作成と内容の取扱い」(p76)には、次のことが書かれています。

1 指導計画の作成に当たっては、次の事項に配慮するものとする。

(1)単元など内容や時間のまとまりを見通して,その中で育む資質・能力の育成に向けて,数学的活動を通して,児童の主体的・対話的で深い学びの実現を図るようにすること。その際,数学的な見方・考え方を働かせながら,日常の事象を数理的に捉え,算数の問題を見いだし,問題を自立的,協働的に解決し,学習の過程を振り返り,概念を形成するなどの学習の充実を図ること。

つまり、数学的見方・考え方を働かせながら、数学の授業を実施しなさいと言われています。

数学的見方・考え方とはなんでしょうか。

水谷先生は、

「難しい問題、未知の問題に直面したら、あきらめる」のではなく、問題をどのように捉え、どう考えを進めていくのかを思いめぐらせられるようにする!

ことが必要と述べておられました。

指導要領解説数学編(P23)における下図ですね。

大切なのは、問題解決する経験を増やし、「見方・考え方」を豊かにする。(「主体的な学び」「対話的な学び」「深い学び」の3つの柱に働きかけるようにする)のが大切です。

最後に変えて:「変わらずに大切にすること」

変わらずに大切にしなければならないのは、「主体的・対話的で深い学び」の視点から、授業をよりよくしていくことは、知識の習得をおろそかにすることではありません。

主体的・対話的で深い学びの視点からの授業改善を進めることで、子どもたちの「知識及び技能」「思考力・判断力・表現力」「学びに向かう人間性」をバランスよく育んていくことができます。

スーさん
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