以前、中学校で習う文字式の表し方を誰が決めたのかについて記事にしました。
さて、そもそも、なぜ文字式では×を省略するんでしょうか?
もちろん、「そういうもんだ!」と言ってしまえばそれまでなんですが、ちょっとでも子どもが納得できる理屈を紹介できるといいですよね。
今回は、なぜ「a×b」を「ab」と書くのかをテーマに記事にしてみます。
そもそも「ab」の表記の仕方は慣習である

これを言うと、非難轟々、怒られるかもしれないのですが、「a×b」を「abと書かないといけない」なんてことはありません。
正確には「a×bのことをabと書いてもよい。そして多くの人はabと書いている」のです。
よく学校のテストでは、abと書かないとバツにされますが、実はそんなことはないのです。
まぁ、学校の定期テストは「学校で学んだ知識がどれだけ身についたかを確認する」ためのものなので、バツにされているという事情があります。
教科書の説明をもう少し厳密に書くと、文字式の表し方については以下のようになるのではないでしょうか?
- 2×aのことを、×を省略して2aと書くことが多い。
- a×bのことを、×を省略してabと書くことが多い。
- (2+a)×(a+b)のように()がついた場合も×を省略する事が多い。
- 2×3のときは、省略すると「23」となってしまい「にじゅうさん」と紛らわしいので省略をしない
×を省略するルールの理由

さて、×を省略しても、しなくてもいいというなら、なんでこんなルールができたのでしょうか?
数学史を紐解かないと厳密にはわかりませんが、実際に使っていての事例を考えるとこんなことがメリットとして考えられます。
省略すると楽だから
a×bをabと書くだけで少しだけ楽になります。
長い数式「a×b×c×d×e」のように、掛け算の個数が増えると、「abcde」と書けるのでとても楽になります。
「×」記号は「x(エックス)」や「χ(カイ:ギリシャ文字)」など他の文字と混同しやすい
「×」記号は「x(エックス)」や「χ(カイ:ギリシャ文字)」など他の文字と混同しやすいので、×を省略することで、読み間違いを防ぐことができます。
$x×x=x^2$
あぁ、もう読みにくいですよね。だから×を省略するのです。
こんな2つのメリットがあるのではないでしょうか?
更にいうと、書き方のルールなので、自分で独自のルールを宣言したうえで、議論を進めていくのは全然よいのです。
数学の学術論文になると、そうなってくることがあります。
よくあるのが「2・3を2×3とかく」のは×ほどではないですが、教科書には出てくる書き方ですよね。
これもちゃんと宣言をしておけばいいわけです。
極論「×を+と同じ扱いをする」と宣言をしてしまえば、「2×3=5」と書くことも可能なわけです
あくまで一例です。この宣言に合理性はないのでおすすめはしません。
多くの人が見慣れていないですし、読み手に勘違いをさせやすいからです。
最後に

さて、文字式の表し方を生徒に伝えると、なんでこんな書き方をしないといけないんだ!と言われることがあります。
そんなときに、上記の話をすることで、生徒の納得感が引き出せるのではないでしょうか?
みなさんは文字式の授業のときに意識をしていることはありますか?
ぜひコメントで教えてください!

文字式の授業案をいくつか記事にしています。こちらも合わせてご覧ください。
参考文献
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