教師は副業は基本的にできないのは、皆さんご存知だと思います。
ただ、先生以外の仕事も経験してみたい、他の環境で自分を試してみたい!なんて思う方もいらっしゃるのではないでしょうか?
自分もそうでした。
自分は学会に所属して、大学の先生に指導を受けながら研究もすることで、教師と研究者の二刀流を目指しています。
そうすることで、学校だけでは得られない経験を得ることができると思っているからです。
ただ、先生のみんながみんな、研究が好き!という人ではないのもわかります。
他に道はないかと転職を考えている人もいるでしょう。
転職まではいかないとしても、他業種で働いてみたい!と思っている人もいると思います。
そんな時に「一定の期間、他職種に従事する研修」があることを見つけました。
学校から一度離れ、1年ほど、他業種(飲食など)の会社にで働くという研修がありました(ちゃんと県の教育委員会が認めている公式な研修です。)
1年かー、長いな。給料もどうなるんだろう。下がるのかな?
なんて思ってしまいました。そんな時、下記の本が図書館で目に止まったので借りてきました。
ここには、先生をやりながらも他業種で自分を試してみる、高める方法が書かれていました。
「プロボノ」って知っていますか?
調べたら、ちょっとワクワクすることが書いてありました。
今日はこの「プロボノ」の仕組みとメリットについてお話をしたいと思います。
そもそも「プロボノ」って?

「プロボノ(Pro Bono)」とは、ラテン語の「Pro Bono Publico(公共善のために)」に由来し、専門的なスキルや知識を無償で提供する社会貢献活動を指します。
もともとは弁護士が無償で法律サービスを提供することから始まりましたが、現在ではIT、マーケティング、デザイン、経理など、さまざまな分野の専門家が参加しています。
例えば、ITエンジニアが、企業のホームページ立ち上げを支援したり、自分の本業でマーケティングを仕事にしている人が、ある企業のSNS運用について無料で相談にのったりするという活動があります。
従来のボランティア(例えば、地域の清掃活動)とかだったら、資格等関係なく、だれでもできます。
ただ、専門的な知識や経験などを使って、ボランティア活動をするといいのでは?と始まった活動です。
「プロボノ」のメリット

さて、プロボノを求めている企業は、何かしら困り感を抱えています。
その企業の中で、働くということは、自分にとってもメリットが出てきます。
課題解決の引き出しが増える
企業で起こる問題は、学校で起こる問題と同じ性質の問題もあれば、別の性質の問題もあります。
そこで、企業はどうやって問題解決を図っているのか。
それは、学校にはない合意形成の方法があったり、別の視点や人脈を使った解決方法があったりするかもしれません。
いろんな解決方法を見て実践をする中で、課題解決の引き出しが増えてきます。
これは本業の仕事でもきっと生きてくるはずです。
未知の仕事の知見が得られる
職種が変わるので、仕事の内容・雰囲気がぜんぜん違います。
その中で働くというだけで、新しい知見が得られます。
そこから本業でも、新しい視点で仕事をしたりアイデアが出てきたりします。
環境を変えるというのは大きなメリットになるでしょう。
学んだ知識を生きたスキルに昇華できる
現在、学校では子どもの支援する方法、特に特別支援の方法について注目を浴びています。
けれど、特別支援の視点って、学校だけでとどまってよいのでしょうか?
私の妻は会社員なのですが、その同僚の話を聞くと、「ADHDっぽい同僚さんだなぁ。」なんて思うときがあります。
妻はテレワークです。電話でいつも仕事の指示をしていたのですがうまく仕事の伝達ができないので、悩んでいました。
そこで、「文章で、箇条書きで、チェックリストを付ける形で仕事の指示を送信する。それを同僚に印刷して持っていってもらうのはどうか?」と提案しました。
そうしたら、同僚さんの仕事の漏れが激減したそうです。
こういった支援の方法は学校ならではです。
先生だったら実践しているでしょうし、「学校で学んで塩漬けになっている知識」を活かせる場が出てくると思います。
新たなスキルを身につける必要性に気づく
先ほど、特別支援的な手立てが会社で生きてくるという話をしました。
逆に、学校では今まで考えたことがなかったけれど、会社で必要とされたスキルを、学校に逆輸入することができたら活躍するスキルがあるかもしれません。
タイムマネジメントスキルだったり、上司と部下の関係づくりだったり・・・。
違った組織に属することで、見えて来なかったものが見えてきます。
アンラーニングのきっかけになる
「アンラーニング(unlearning)」とは、これまで身につけた知識、常識、価値観、習慣などを意識的に手放すことを指します。直訳すると「学びほぐし」「学びの解除」などと言われることもあります。
現代社会は変化のスピードが速く、過去の知識や経験が通用しなくなる場面が増えています。そんな中で、過去に成功した考え方や行動パターンに固執すると、柔軟に対応できなくなります。
学校にDX化が進んできていますが、企業と比べたらどうでしょうか?
働き方についてもどうでしょうか?
学校の常識は社会の非常識(逆もまた然りですが)の部分に気づくことができるチャンスです。
学校と企業を相対化することで新しい気付きを得ることができます。
自分の意外な強みに気づける
別の場所で働くことで、教師として仕事をしていて、気づかなかった強みが、別の場所だったら際立つことがあるでしょう。
これは保護者会の全体会で喋る機会があったときに、ある保護者から「先生の説明はわかりやすい」と言われたことがありました。
保護者いわく「先生の説明はわかりやすい。以前、娘の看護学校の説明会に行ってきた。看護学校の先生は、看護師上がりの人なので、先生ではないんだけど、その説明がわかりにくいのなんの。それに対して、中学校の先生はみんなわかりやすい。」とおっしゃってくれました。
「分かりやすく話す。」「短く、簡潔に話す。」は教師の基本です。
けれど、それは学校では当たり前だけれど、外に出てくと、そうではないんだなと言うことに気付かされました。
相手に伝わるように話すことができるのは、とても大切なことです。
教師の「わかりやすく話す」スキルは、どこに行っても役に立つことを知りました。
そんな自分の気づかなかった「強み」を発掘できる瞬間になることでしょう。
異なるバックグラウンドを持つ人と協力して働くためのノウハウが得られる
当たり前ですが、先生をしながら、他の業種の人と働くということはほとんどありません。
私達が一緒に働くのは、教師、児童生徒・保護者です。
どうしても、教員目線の見方から外れることは難しくなってしまっています。
また、学校と企業では、そもそも対象への見方が違います。
費用対効果」的な側面だったり、「人的リソース」の話だったり(教員は、無償で働き続ける一面がありますが)、学校とは違った見方をして動いています。
別の企業や、様々なバックグラウンドを持つ人と一緒に働く中で、先生とは違った見方、思いを持つ人と出会います。
そんな人たちと関係を作っていく中で、「相手に伝わる」ようにするにはどうすればいいか、「自分の思いと相手の思いをうまくすりあわせるのはどうすればいいか。」と考え、自分を変えていく必要があります。
自分が変わるきっかけになります。
プロボノを探す方法

「SERVICE GRANT」
こちらが、プロボノのマッチングサービスになります。
今までの企画を見てみると、こんなのがありました。


特別支援の軽謙也、学校で働いている経験そのものが活かせそうです。
こういうところで、一緒に活動を盛り上げることができたら、最高ですよね。
最後に 「学習者として」のマインドで仕事に臨もう

超実践的幸福論で、「転職するのが幸せか、同じ会社で働く続けるのが幸せか?」という話がありました。
この記事を読んでいる人で、仕事をやめようか、とどまろうか?と考えている人は、いませんか?
こんなマインドで仕事をしていたら要注意です。
- だれのせいだろう?
- わたしの何がいけないのだろう?
- どうしてこんなに失敗ばかりするのだろう?
- どうして負けてしまうのだろう?
- どうすれば自分が正しいと証明できるのだろう?
- どうすれば主導権を握れるのだろう?
- どうして私が痛い目にあうのだろう?
- どうして彼らはあんなに無知でひとをイライラさせるのだろう?
- どうしてこんな最悪のチームから逃れられないのだろう
- どうしてくよくよするのだろう?
これは、参考にした本では「批判者」と呼ばれるマインドです。
批判者のマインドでは、誰かに責任を追究するのが大切になり、何が大事なのか、どうすれば解決できるのか。
つまり、より良い方向に仕事やプロジェクトを持っていこうという思考になりません。
この考えでは、良い考えは出ないのです。
それよりも以下のような思考に切り替えてみませんか?
- 何が起きたのだろう?
- 事実はどういうことだろう?
- 全体の見通しはどうだろう?
- この件で何が役立つのだろう?
- 私は何を望んでいるだろう?
- 私は何を学べるのだろう?
- 私は何に責任を持つべきだろう?
- 相手は何を考え、感じ、必要とし、望んでいるのだろう?
- どうすればwin-winの関係になるおだろう
- 何が可能だろうか?何が機能する打オルカ?
- どんな選択ができるだろう?
- 今何をするのが最善の道だろう?
これを「学習者」のマインドといいます。
目の前の問題を解決するのはどうすればいいんだろうと、前向きに取り組むスタンスです。
以前、転職をするかどうかのタイミングについてお話ししました。
プロボノや転職を考えている方は、一度自分の思考を振り返ってみてください。
厳しい言い方ですが、もし「批判者」的な思考が多い場合は、転職対やプロボノをしても、同じ辛い思いをすることになると思います。
結局自分を変えることができないからです。
逆に、「学習者」的な思考で考えていて、どうしても手詰まりな場合、プロボノや転職をすることで新しい道がひらけてくるとおもいます。
学校外での環境で働くというのは得難い経験です。
自分の道をさらに広げる可能性のある出会いがあるかもしれません。
プロボノは、1年単位ではなく、月単位で活動するものもあります。
ぜひ、自分に合ったものを探してください。
最後に、プロボノはボランティアなので、副業申請する必要はないと思いますが、一度、活動を始める前に、上司に相談するといいと思います。
ボランティアで取れる特別休暇などもあります。
上司に伝えておくことで、スムーズに活動ができると思いますよ。
プロボノを通して、さらに自分を成長させられるきっかけができたら最高ですね。
もし、プロボノの経験がある、やってみたいという方がいらしたらコメントをください!

超実践的幸福論を引用した記事もいくつも書いています。合わせてご覧ください。
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