先日、東京大学薬学部教授 池谷裕二先生の講演を聞きました。
脳科学の観点から、授業を見直してみました。
どんなことをすると、「わかる・見える・楽しい」と脳が喜ぶ学習になるのでしょうか。
一緒に勉強していきましょう。
⇓講演の中で紹介された書籍はこちら もっと詳しく書いてあります⇓
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脳から考える学習の流儀
脳は寝起きが一番活動が低く、寝る直前に活動のピークを迎える。
*勉強は朝型がよいというのは間違い。夜型(特に寝る直前)の方が効率がよい。
ただし、徹夜はよくありません。
なぜなら脳は、寝ている間に記憶を整理するからです(レミニセンス現象)
記憶が整理されることにより、記憶が取り出されやすくなります。
結果、テストの点数が上がることにつながります。
眠れないときは・布団に入って横になり、部屋を暗くしてじっとしているだけでも効果があります。
睡眠と同じ効果が得られます。
昼寝も効果的です。
15分程度の昼寝でもレミニセンス現象が起こり記憶が整理されます。
昼寝を取り入れた学校もあると昔ニュースで取り上げられました。
脳科学的には、正しいのです。
脳は不器用
よくマルチタスクなんていいますが、脳は不器用です。
複数のことを同時に行うことは難しいです。
一つ一つ整理しながら、進めていくのが実は効率が最も良い方法です。
脳から考える学習の流儀を子どもの指導に生かそう!
【脳から考える学習の流儀1】 暗記物は夜にやろう
効率の良い学習は夜型・暗記物は夜 睡眠前は記憶のゴールデンアワー。
<家庭学習の指導>
- 自主学習の計画の立てさせる
その中で睡眠時間を確保する生活習慣の指導(徹夜は結局覚えが悪くなるなど)デメリットを伝えながら計画を立てさせましょう。
【脳から考える学習の流儀2】ルーティンを作ろう
1日の活動をルーティン化することで、学習への抵抗感が少なくなります。
ただし、ルーティンが定着するのに平均66日かかるといわれます。
三日坊主でできなくなるといいますが、本当に習慣化(ルーティン化)するには2か月以上必要なのです。
無理なくできることを見つけ、習慣化していく必要があります。
<生活習慣の指導>
- 感情に左右されずにやるべきことを実行できるルーチンをつくる。
例)家に帰ったらすぐ宿題に取りかかるなど
<授業改善>
- 1時間の授業をルーティン化する。
授業のパターンを決めるということです。
【脳から考える学習の流儀3】 同時に複数のことを行わない
先ほども書きましたが、脳は、同時に処理を行うということがとても苦手です。
教師として、子どもにマルチタスクさせないようにしていきたいですね。
<授業改善>
- 発問・指示の出し方
→1つの指示で1つの行動
→板書などで指示や発問を見える化しておく。
- 今やっていることがわかるようにする視覚支援。
【脳から考える学習の流儀4】 学習したら休憩する
- 一定時間学習したら休憩する(例:45分学習して10分休憩)
*ただし、休憩中は何もしない… レミニセンス現象
先ほども書いた、レミニセンス現象が起こる時間を確保しましょう。
<延長授業の戒め>
- 授業は、時間どおり始め、時間どおり終わることを心がける
→子どもにしっかり休み時間を与えて、脳を整理できる時間を与えること!
【脳から考える学習の流儀5】 学習場所を整える
- 学習の場所を整える
→余計なものが見えない方が学習効率がよい。
最近は、学級目標の掲示も黒板の上ではなく、教室背面に掲示する教室も増えてきました。
発達障害の子も含め、気が散らないような環境づくりはとても大切です。
<教室環境を整える>
- 学習に必要ないものは目に入らないように掲示や机上整理のさせ方を工夫する。
→必要のない学習道具は机の中にしまわせるなどしていきましょう。
【脳から考える学習の流儀6】 困難を与えよ
- 望ましい困難を与える… ツライ方が定着する。
→ わからないままもやもやさせると脳が考え続ける。
<授業改善>
- 「わかりましたか?」と聞かない。教師が答えを言わない。
→8割すっきり2割もやもやぐらいかな。
→ 考え続けることを評価するとよいかも。
【脳から考える学習の流儀7】 テストをしよう
- テストを取り入れよ
→覚えるだけでなく、それをアウトプットするのが大切
→ 学習の失敗…テスト勉強法 → ストレスに強くなる
これは、ブログを書いていてもそうです。
本を読んでインプットするのはとても大切です。
さらに、定着するために、考えを自分の言葉で直してみると、自分の理解度が分かります。
学習でも一緒です。
テストは、自分の定着度を確認する機会として位置づけ、子どもたちにどんどんアウトプットできる機会を設けましょう。
<家庭学習><授業改善>
- テストは結果を図るものではなく、考え(出力し)続けるものとして活用する。
- 暗記させるものほど、テスト勉強法がよい。
- テストから学習をスタートさせてもよい。
【脳から考える学習の流儀8】 良い姿勢と表情
- よい姿勢とよい表情
→ 脳は表情より姿勢に強く反応を示す。
*「楽しい→笑顔になる」より「笑顔をつくる→楽しくなる」の方が強い
<授業改善>
- 姿勢をよくして授業に挑む指導を。
→ 形から入ることも大切。
*極端なことを言うとガッツポーズしながら学習する、笑顔をつくりながら学習することで脳に楽しいという反応を与え続ける。
【脳から考える学習の流儀9】 ルーティンを作れ
- やる気ではなくシステムに従え
身体が脳の主導権をもっています。
嫌だった仕事や宿題もとりあえる少しやってみるとだんだんやれるようになってきたという経験はあると思います。
やる気になったらやるではなく、とりあえずやることで学習は進んでいきます。
勉強するために、「とりあえず机に座って教科書を開け」という指導は正しいのです。
<生活指導><授業改善>
- まずは感情に左右されずに授業に取りかかれるシステムをつくる。
→ スタンダードをつくり、ルーティン化する。
例)机に座って、英語の音読から始めるなど
【脳から考える学習の流儀10】結果よりもプロセス
結果よりプロセスを重視すると良いと言われています。
目的・目標をしっかりみすえ、それを達成するためにはどうすればいいかをよく考えさせ、実行させます。
結果は副次的な物であり、結果を求め過ぎると、上手くいかなかったときに苦しくなります。
その子その子の学習でも、趣味でも「好き!」を見つけて、その好きを突き詰めると、どんどん上達していきます。
<授業改善・進路指導>
・なぜそれをしたいのか(そこに行きたいのか)を考えさえるより、ただやりたい、好きだと言う気持ちを優先させる
私の学校での取り組み
本校では、学校生活を整えるめあてとして
- 学校という場を清める
- 時間を守る
- 礼を大切にする
の3つがあります。(すこし改変していますが)
このめあてに照らし合わせて以下のような取り組みをしています。
場を清める
授業環境の中で視覚的・感覚的に邪魔なものを極力排除することで集中力が高まる。
【授業中】
- 机上には必要なものだけ置く。
- 机上の教科書・ノート・筆記用具は置く場所を決める。
- カバンは机のそばに置かず、ロッカーにしまう。
- 黒板に集中できるように教室の前面から視界を遮るものを除去する。
【休み時間】
- 机上は何もない状態にする。
- 机上・床とも、消しカスやごみ等が落ちていない状態にする。
- 黒板・ホワイトボードをきれいに消す。
- 黒板消し・チョーク置さ場をきれいにする。
- チョークは長いもの、ホワイトボードマーカーはよくつくものを準備する。
時を守る
集中するとき、休むときなど、時間で区切ることで、活動に見通しをもつことができる。
【授業中】
- 始まりと終わりの時刻を必ず守る。
→ チャイムで始まり、チャイムで終わる。延長授業はしない。 - 授業の中の活動にも時間設定をし、必ず守る。
→ 個人追求5分、グループ協議10分、全体協議10分 など
*タイマーの活用、基本延長はしない。
【休み時間】
・移動教室があるときは、できるだけ早く移動し、移動先でゆっくり休む。
礼を正す
【授業中】
- はじめと終わりのあいさつは、背筋を伸ばして立ち、はっきりと大きな声で行う。
- いすに座るときは、背筋を伸ばし、背もたれにもたれないようにする。
- 話を聞くときは、背筋を伸ばして相手の顔を見る。
- 本を読んだり、ノートに字を書いたりするときは、背筋を伸ばすとともに、本や
- ノートとの距離を十分とる。
【休み時間】
- できるだけ何もせず頭と体を休める。
まとめ
いかがだったでしょうか。
各学校にも大切にしている、学校目標や、生活目標があります。
科学的根拠を基に、生活のめあての手だてをみなしてみると、さらに効果が上がるのではないでしょうか?
ぜひ検討をしてみてください。
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