教師という仕事に就いて10年が立ちました。
自分は現在、先生を続けることができていますが、時折、仕事辞めたいなー。
なんのためにやっているのかなーなんて不安になるときがあります。
そんなときに、佐藤優さんの「仕事に悩む君へ はたらく哲学」という本が目に止まりました。
みなさんはなんのために働いていますか?
ちょっと立ち止まって一緒に考えてみましょう。
なんのために働くのだろう?終わりのない問いの旅。

お金でしょうか?
やりがいでしょうか?
もちろん、お金、やりがい、家族、他にもいろんな理由で働いていると思います。
ただ、世の中に目を向けると転職のCMを見ていると、年収アップが強調されています。
さもお金を稼ぐことが大事と言われている気さえしてしまいます。
もちろん、お金はあれば困ることはありません。
今、働いていて、月々のお金が足らないのだったら、年収アップを目指して努力するのは大切なことだと思います。
もし、収入で困ることがなくなったら、次は、どうなるのでしょうか?
今度はやりがいに目を向けることでしょう。
やりがいのある職業に転職するということが次の目標になります。
転職が成功したら、今度は労働が少なくて、やりがいのある仕事を目指すのではないでしょうか・・・?
あれ、どんな仕事に変えても、満足することはなさそうです。
そうです。結局は、「何が満たされたら、自分は満足するか」が見えない限り、満足することはないのです。
今回紹介したこの本は、西洋哲学の本を引用していますが、結局は「普通に暮らしていて困らないレベルまでになれば、いいじゃない」といっているように自分は感じました。
つまり、老師の思想である「我唯知足」(我、ただ足るを知るを知る)を言いたいのだと思うのです。
学校でも、同じことが言えます。
テストでいい点が取れたら、次もいい点を取れるように頑張る。
順位が2位だった。次は1位を目指す。
もちろん、上を目指すことはとても大事なことです。
でも、それって、他人と比べていませんか?
2位でも、十分すごいのです。
そこで、自分をまず「よくできた」と満足することができない限り、どこかで無理が出てくる、疲れてくると思うのです。
大事なのは「今、ここ」
なぜ、今の人は、どこまで行っても満足をしないのでしょうか?
それは、現在の社会の変化が目まぐるしすぎるのではないかと私は考えます。
10年前、私が大学生だった頃に、iPhone3が出て、一般の人にスマートフォンが普及しました。
そこではどこにでもインターネットに接続でき、通話はもちろん、テレビ会議等もできてとても便利になりました。
そして、この2年前には生成AIが登場し、今も進化しています。
その中で、仕事にシステムも大きく変わってきました。
常に新しいシステムを取り入れるために、研修につぐ研修で息を着く暇もありません。
また、その反面、これだけ科学が発達したにも関わらず、東日本大震災や、コロナなどで大きな被害を人類は被っています。
明るい未来が全く見通せないのです。
だからこそ、人間は疲弊してしまうのではないでしょうか?
未来が見通せない現代だからこそ、「今、ここ」に集中し、「我唯知足」を見つけるのが大事なのかなと考えています。
今日、これだけ頑張れたぞ。
今日1日、努力して頑張れたぞ。
もし、目標があるなら、「目標に向かって一歩進めたぞ」
そんな日々の成長を感じることができるようにするのが、悩みから自分を解放するために大事なのではないのかなと思います。
「労働から解放されたら、人間は戸惑うのでは?」という指摘

別の視点から、働くことについて考えてみましょう。
働くことは、しんどいということをよく聞きます。
では、労働から解放されたら、本当に幸せなんでしょうか?
ケインズという経済学者が、労働から解放されたらどうなるかを以下のように、批判的に記述をしています。
創造以来初めて、人類は己の本物の、永続的な問題に直面するー目先の経済的懸念からの自由をどう使うか、科学と複利計算が勝ち取ってくれた余暇を、懸命にまっとうで立派に生きるためにどう埋めるか。(中略)余暇と過多の時代をゾッとせずに待望できる国や人々は、多分一つもないと思う。というのも私達はあまりに長きにわたり、頑張るべきで楽しむべきではないと訓練されてきてしまったからだ。特別な才能もない一般人にとって、没頭できるものをみつけるというのはおっかない問題となる。
ージョン・メイナード・ケインズ(山形浩生訳).「孫たちの経済的可能性」(太字は佐藤優)
https://genpaku.org/keynes/misc/keynesfuture.pdf
「働いて稼ぐことが当たり前になった価値観の中では、労働から自由になったとき、人間は戸惑うのではないか」とケインズは指摘しています。
ラッセルも、1日の労働時間は将来4時間になると予想しましたが(以下の記事参照)、ケインズは、労働が少なくなったその時に、人間は何をしていいのかきっと戸惑うだろうとケインズは言っているのです。
これだけ、パソコンやAIが仕事をしてくれても、仕事は減りません。
もしかしたら、暇になることが不安で、どんどん仕事を増やしている人がいるかも知れません。
だからこそ、「働き方改革」なんて旗印が上がっても、仕事は減らないのではないでしょうか?
今一度、なんのために仕事をしているのか、「この仕事はなんのためなのか」考える必要がありそうです。
昔よりも転職しやすくなりました。
リモートワークなどといって、毎日会社に出社しなくても働くことができる時代にもなっています。
何を優先するのか、何が自分をさせるのか。
そんな価値観を整理して、自分の働くことをどうすればいいか考えていく必要がありそうです。
最後に

佐藤優さんは、あとがきの中にこんなことを書いていました。
「頑張りすぎてはいけないが、努力は必要だ。人生に運、不運があっても前向きに生きていれば道は必ず開ける」
ー佐藤優.「仕事に悩む君へ はたらく哲学」.P206
やっぱり、自分が困らないレベルになるために努力は大切だといっています。
また、成功するには、運が必要である。とも述べています。
そして、前向きに頑張ることができれば、きっと悪い人生にはならないといっています。
皆さんは、どうでしょうか?
それくらいの努力を日々続けることができているでしょうか?
そして、不必要に悩みすぎてはいないでしょうか?
三宅香帆は2025年のベストセラー「どく・・・」において、「半身社会」を提案していました。
半分は仕事して、もう半分は、自分の好きなことができる社会にしようと提案しています。(詳しくは下記記事参照)
ある程度は努力して、半身社会が実現できればいいのでは?ということを佐藤優も言っている気がします。
他の本でも限界を見切るということは大事だということを言っています。
タイムマネジメントでベストセラーの「限りある時間の使い方」にも似た考えが根底に流れていると思います。(詳しくは、下記記事参照)
どこまでも求め続けるのではなくて、どこかで、満足するのが幸せに生きるコツなのかも知れません。
皆さんの意見はどうでしょうか?ぜひコメントで教えてください。

最近働くことについて、哲学という切り口からいろいろ考えています。ぜひこちらの記事を合わせてご覧ください。
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