今回の指導要領改定により、統計分野の学習が色濃く入ってきました。
自分はゆとり世代なので、統計とか代表値とか全くやらなかったので、苦労しました。
今年は「面白い」と言ってくれたので、内容を紹介したいと思います。
転校生はクラスの中で賢い?(代表値の導入)
生徒に次の発問をします。
「あるクラスで数学のテストをしました。100点満点のテストです。クラスの皆さん、順番にあるクラスの生徒がとった点数を想像して言ってください。」
20人に言わせました。
「次の日に転校生が来て、同じ数学のテストをしました。転校生は○○点(平均値より少し下)を取りました。この子はクラスの中で賢いと言えますか?」
と発問しました(今回は平均52点、中央値51点でした。私は転校生の点数は50点で出しました。)
子どもからは、
・50点だから賢くない(テストとして半分しか取れていないから)
という意見がまずでました。
それはそれでいいのですが、それでは主観的な結論であり、統計的な見方をしてません。
なので、「クラスの中で賢いか」、もう一度問い返したところ、
小学校で習った代表値を使って考え始めました。
そうして、統計の見方を働かせるようにして、平均値や中央値を使って、「真ん中より少し良くない」と結論付けていました。
ヒストグラムや、度数分布多角形、階級値の取り扱い
こちらについては、書き方、見方を徹底的に指導しました。
代表値はともかく、この見方はなかなか生徒からでるものではありません。
こちらは、1のテストの点数を使って書き方を指導しました。
階級値については、
「一人一人の点数が分かればいいけど、社会の授業とかでは、度数分布表で与えられるのが普通でしょ?度数分布表だけで、どうやって平均値を求めればよいのかな?」
と少し考えさせました。
「階級の真ん中を使いそう」という意見が出たので、
「その考えで正解だよ。」
と伝えて階級値を導入しました。
統計的見方を働かせて
統計的見方を覚えたら、実際に使ってみなければいけません。
今回は平成24年度の全校学力学習状況調査のスキージャンプの問題を提示し、
「みなさんだったら、長野五輪の正選手としてどちらを出しますか?」
と発問しました。
平成24年度全国学力・学習状況調査 中学校 数学B
付け加えとして、
「インターネットで、原田選手・船木選手の情報を取ってきて、判断してもよいものとする。」
としました。
子どもたちは、代表値を使ったり、度数分布表にまとめ直したりして(これはあまりいいとは思いませんでしたがヒストグラムより、見やすいのでしょうね)、どちらが良いかを決めていました。
面白いのはネットで情報を付け加えた子どもです。
次のような記録を見つけ、発言しました。
- 選手の顔写真で決めた
- 1996~引退するまでの、取ったメダル数で比べたよ
- 当時の新聞記事「原田選手は大スランプ」を読んで、原田選手はよくないと判断した
選手の顔写真で決めた意見については、子どもたちからそれは記録と関係ないという意見が出ました。しかし、残りのふたつは、普通に信用して異論は出ませんでした。
そこで、
「メダルの数っていつからいつまでなの?」と発言した子に尋ねました。
記録の出典を聞いて生徒はびっくり。
長野五輪あとのメダルの数も入っているではありませんか。
そのことから、メダル数も長野五輪までの記録で比べなければ意味が無いという気づきを生徒は得ました。
新聞記事についても、
「これって、新聞記者が好きに言ってるんじゃない?五輪の代表は新聞記事で、決めるの?」
と尋ねるとウーンと悩んでました。
ヒストグラムを見るとわかるように、原田選手の方が大ジャンプはしてるのです。
新聞記事だけに引っ張られて良いものか、生徒は悩んでました。
ここで、私が話したのは、
「統計で大事なのは、客観的かということ(新聞記事がまさに客観的ではない)データは信頼して良いものか確認すること(メダル数の話)をちゃんと押さえないと、比べるなんて出来ないよ。」
ということを押さえました。
まとめ
いかがだったでしょうか。
テストを使って、生徒の生活に近い場面の教材を提示したこと
テストの点数が良いか判断させる中で、指導事項は徹底的に使えるようにした事
最後には生徒に統計的見方を使って自由に考えさせたこと
で、確実に統計的見方で必要なことがおさえられました。
みなさんも1度試して見てください!
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