指導案に「学習支援」という項目を書くことがあります。
学校生活のなかでも「支援が必要な子」とか、「特別支援学級」と、「支援」という単語がよく出てきます。
ニュースをみていると、「生徒指導部」を「生徒支援部」と名前を変えた学校があるとも聞きました。
言葉の是非はさておき、「支援」ということを大切にしていることが覗えます。
そもそも「支援」とはどんなことをするのでしょうか。
教師として考えなければならないことはどんなことなのでしょうか。
「支援」について、まとめてみます。
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「支援」とは
支援とは、”力を貸し、助けること”
教育の世界に当てはめると、
1人1人のことを知った上で、その人のできることを増やせるように工夫したり、手助けするということ
だと考えます。
その人はできないからと言って、支援者が代わりにやってあげるということではありません。
支援はなぜ必要なのか
支援は、”普通”、”みんなと同じように”ということを目指すために必要なのではありません。
その人が少しでも暮らしやすくなるために、穏やかに暮らすことができるようにするために必要なのです。
皆さんが子どもや送り出すときに、
「今日も1日楽しかった。」
「うまくいかないこともあったけれど、充実した日だった。」
と思えるように、教師として支援をすることが必要なのです。
オーダーメイドの支援を心がける
大切なのは一人一人を知ることです。
家庭環境や、疾患、障害、性格などは皆それぞれです。
そういった背景を知ること、個々の子どもの強みを生かしていくことが大切です。
それぞれの姿を知った上で、状況に合わせたサポートをしていくことが重要です。
だからこそ、支援に正解はありません。
こうすればOKというものではなく、一人一人のことを知り、よりよい支援になるように日々アップデートしていくことが大切です。
子どもとの関わりで大切にすること
得意・不得意を把握する
好きなこと・できること(強み)を把握する
好きなことを知ることは、人との関係づくりのきっかけになります。
できること(強み)は、その子を褒める、認めることにつながります。
子どもとの関係づくり、支援の方法を考える上で、一番最初に見つけたいことです。
苦手なこと・不得意なこと
逆に苦手なこと・不得意なことは環境も含め、支援が必要になることが多い場面です。
また、今後できるようになる可能性がある部分でもあります。
子どもの得意・不得意を知っておくことで、目的をもって子どもと関わる機会が増えることになります。
関わる場面を整理する
支援が必要な子どもであっても、一人でできることや、集団活動の中でできることはあります。
子どもの得意・不得意をヒントにして、関わる場面を決めていくことが大切になります。
好きな遊びや活動で、じっくり関わり関係づくりをする。
苦手なことは手助けするなど、教師の関わりにより、子どもは様々な経験をすることができます。
状況によっては、見守ることも支援になります。
自信がつくような支援を心がける
コツは
- 目標設定は低めに。確実にできるものから
- 小さなできた!を積み重ねていく(できたことはみんなと同じでなくても、小さなことでよい)
- ○がたくさん付くような課題を設定する
子どもができないことではなく、できていることに目を向けること。
できた!を経験できるような工夫をすることが大切です。
褒める関わりを意識する
人は褒められると嬉しい気持ちになります。
褒めること=「あなたをみているよ」というサインです。
褒められると「次も頑張ろう」と思います。
その結果良い行動が増えていきます。
そして、褒められて自分自身のよい所に気づくことで、子どもの自信にも繋がります。
好循環の関わりを!
危険なこと、どうしても逃せないこと以外は、よくない行動を注意するよりもできている場面を見つける、そこで褒めることでよい行動を増やすことが大切です。
子どもを褒める→子供ができたと感じる→やる気が上がる→良い行動が増える(困った行動が減る)ことにつながります。
これが「褒める好循環」です。
逆に叱ってばかりだと「悪循環」に陥ります。
子どもが叱られる→子供はだめだと感じる(無力感)→やる気が下がる→困った行動はなくならない。
だからこそ、できているところをどんどん褒めて、その子の自信をつけたいですね。
褒め方のポイント
- できるだけその場で褒める
- 子どもに分かる方法で褒める
- 完成や達成などの成果ではなく、途中経過や努力していることに着目する
- できて当たり前のことを褒める
褒め方
- 「すごいね」、「できたね」、「ありがとう」という言葉
- 行動に注意をむける、実況中継する
「今、いい感じにできてるよ!」など - 励ます
「それでいいよ。」「がんばって!」 - ジェスチャーや表情、スキンシップで褒める
- 活動や遊びを使ってほめる
- 好きなこと、もので褒める
⇓褒めることについて、学校・家庭で気をつけたいことをこちらにもまとめました⇓
教師として大切にしたいこと
みんな違うことを前提に
子どもも、一緒に働く同僚、保護者、同じ人間はだれもいません。
大切なのは自分の考えにこだわりすぎないことです。
性格や経験、職歴など、子どもによって価値観も、視点も違います。
どんな意見も素直に聞き入れ、いいかも!と思ったものはどんどん取り入れていきましょう。
自分の引き出しを増やしていくことにつながります。
感じ方はひとそれぞれ
人によって感じ方や捉え方が違うことがたくさんあります。
自分基準で物事を考えすぎないように意識をしましょう。
例えば、においや音、痛みなどの感じ方については言語化することはできないし、共有することも難しいです。
中には、少し触られただけで、痛いと感じる人もいます。
「私」を基準にするのではなく、相手に寄り添う関わりができると良いですね。
また、自分の考えと違ったとしても、批判せずに「そういう考え方もあるんだな。」と思うようにすると自分の心も軽くなります。
相談しやすい環境づくりをしましょう
大切なのは、一人で抱え込まないこと。
困ったときに相談しやすい関係を構築できるように心がけましょう。
そのために大切なのは、日ごろのコミュニケーションです。
教師同士、教師と子ども、教師と保護者。
関係がよいからこそ、どんな困難が出てきても対応することができます。
コミュニケーションの取りやすい環境を整えましょう。
どんな自分もOKな気持ちをもとう
人は苦手なこともあるけれど、必ず好きなことや得意なことがあります。
全部ひっくるめて、「私は私でいいんだ」と思えることが大切です。
子どもはもちろん、教師、保護者にとっても大切にしたい思いです。
- 自分自身も完璧であろうとしない
- できていることに目を向ける
- ネガティブな気持ちも「そんなときもある」と受け入れる
- 苦手なことは、人に頼ってもよいと考える
そうやって、うまく心を整えましょう。
自分を大切にしよう
誰かを支えるには、まずは自分が元気でなければいけません。
自分を認め、自分を大切にしましょう。
趣味を楽しんだり、好きなことをしたりする時間も必要です。
もちろん、忙しいです。
けれど、その中でも上手く時間をやりくりして、自分の心に栄養を上げられる時間をぜひ作りましょう。
良い支援をするためには、気持ちのゆとり、体や心の安定が必要です。
終わりに
誰かを支えていくためには、心身共にたくさんのエネルギーが必要です。
そして、真剣に支援を考えれば考えるほど、疲れたり、落ち込んだりすることも多くあります。
そんな時は、仲間と話し合い、褒め合ってほしいです。
息抜き、ストレス発散もとても大切です。
誰かを想うまえに、まずは自分を大切にしましょう。
色々ポイントを書きましたが、自分自身を大切にすることが、支援の第一歩です。
参考
今回の記事は、特別支援の研修会に参加した時の講演を基にまとめました。
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