不登校の生徒が増え続けています。
文部科学省の方でも、大きな問題と見て、各種調査が公表されています。
https://www.mext.go.jp/content/20241031-mxt_jidou02-100002753_2_2.pdf
いじめなどで学校に来れなくなったという問題はとても大きな問題です。
もしそのようなことがあった場合は、教師として、被害生徒が学校に来られるように様々な手を尽くして、守らなければいけません。
さて、今回トピックとして上げたいのは、「不登校や教室に入れなくなった理由がこれといってない、子供に聞いても理由がはっきりとしない」場合を考えてみたいと思います。
なんとなく学校や教室に行けないというのは、こちらとしても手の出しようがなくて、手をこまねいている場合が多いのではないでしょうか?
今回はこんな、なんとなく学校や教室にいけなくなってしまった子についての対応を考えてみたいと思います。
私の体験談から
もしかしたら、教室や学校と普段過ごしている保健室や家庭などとの環境の落差に戸惑っているのかもしれません。
例えば、私が担任した子で、ある日突然来なくなった子について考えてみます。
その子は、クラスでも友達との仲もよく、勉強は苦手な部分はありましたが、そこまで点数も悪いというわけでなく普通に過ごしていました。
ある日、1日体調悪いと言って休み、学校に来たと思ったら、次は2日、3日…と休みがつづきがちになり、とうとう学校に来なくなってしまいました。
学校では、問題ないようだったし、なんで学校に来れなくなったのかな。私がなにか接し方を間違えていたかなと振り返りましたが、思い当たることはありませんでした。
じゃぁ原因はなんだったのでしょうか?
家庭の様子を聞いてみると
保護者に連絡を取って、家の様子を聞いてみると、昼はお家の人が仕事でいないので一人で過ごしている。
おそらくその時間は寝ているだろう。
逆に、夜の時間は、親は寝ているが、子どもは起きてお菓子を食べたり、ゲームをしたりしているということでした。
つまり、家にいれば楽しいことがやりたい放題。
そして、昼は眠くて寝ている。
学校と家庭での生活を天秤にかけたとき、家庭での生活が楽しすぎるので、学校に行きたくないのではと考えました。
これでは、学校がどれだけ手を打っても来ないわけです。
家庭の生活が楽しいので、学校に目が向かないのです。
もちろん、これは一例ですので、子どもの様子をしっかりみてくださいね。
子どもの様子から原因を探る方法はこちらで詳しく記事にしました。
対応策
今回の事例では以下ように対応を実際にしたり、検討をしたりしました。
環境調整
先程のように、家庭での生活が楽しくて、学校に来たくないといった場合は、家庭での楽しみを減らし、学校での生活を楽しくようにしていく必要があります。
まずは、家庭に協力してもらって、家庭の楽しみを減らしました。
具体的には、生活リズムを整えて、学校に行く時間のうちは、ゲームや漫画をみない。お菓子を食べずにいるようにするといったことで、家庭にいるメリットを少なくするようにしていきます。
仕事で日中はお家の方がいないことが多いので、授業の様子をZOOMなどで映してオンライン授業を受けられるようにしました。
学校での楽しい様子をその子に伝わるようにしたのです。
朝の会は、一緒に出る。
1時間は授業を一緒に受けようと少しずつ生活リズムを整え、学校生活の楽しさを伝わるようにしました。
これが「環境調整」という手法です。
トークンエコノミー法
次の手として「トークンエコノミー法」を考えました(実際には行っていません)
この方法は、学校に行くこと自体が面白くなくとも、学校に行くことでメリットを出すといった工夫です。
たとえば、学校に行ってあいさつできたら、1ポイント。
1時間クラスの中に入れたら、さらに1ポイント。
1日学校にいれたらさらに3ポイント。
6ポイントたまったら、1冊漫画を買う。
というようにします。
このように、学校に来ることでメリット(ご褒美)が得られるようにすることを「トークンエコノミー法」といいます。
場合によっては、ポイントカードを作るのも良いでしょう。
トークンエコノミー法を行う上でポイントがあります。
1つ目が、「ちょっと頑張ったら、ご褒美に手が届くレベルで調整する」です。
今回の事例だと、最初は、学校に挨拶できたらいいな。
そして1週間続いたらいいなと考え、「学校に来て挨拶できたら1ポイント」としました。
1週間学校にこれば5ポイント。次の週、もう1回顔を出せばご褒美がもらえるという難易度です。
もし、1日来れるようになれば、それだけで、ご褒美がもらえるというポイント設定にしています。
ポイントのため方や、ご褒美までの難易度は子どもの様子や関係の中で調整をしていきましょう。
2つ目が「目先をかえる」ことです。
その子は学校に来てしまえば、あいさつもするし、授業も受けることができます。
だから、その1歩目を後押しできるような課題設定をしました。
ストレートな行動改善ではなく、その周辺のきっかけとなるような行動にポイントを与えるようにすることをおすすめします。
まとめ
今回は、学校や学級に行き渋る子や不登校になってしまった子について対応を考えました。
- 家庭での様子を聞いて、家庭が楽しすぎる環境になっていないか確かめよう
- 学校に目が向くように、家庭の環境を調整することも大切(環境調整)
- 学校に来ることがメリットになるようなご褒美を考えよう(トークンエコノミー法)
もし、ふとしたことで、学校に来れなくなってしまった子がいたら、こちらを試してみてください。
もちろん、スクールカウンセラー、養護の先生、保護者の方と連携を密に取りつつ、慎重に子どもとか関わっていきましょう。
保護者目線での、不登校の子との向き合い方も記事にしました。ぜひご覧ください。
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