指導をすると、固まってしまう(フリーズ)する子への対応を考えてみたいと思います。
話しかけても動かなくなって、どうしようとなった経験はみなさんありませんか?
自分の経験から
その子は賢く、勉強はトップクラスの子でした。
特に困っていることもなかったのですが、咳が出てその場から動けなくなってしまいました。
そんなことが何日も続くようになってしまいました。
病院に行っても、風邪や肺炎など、体に異常があるわけではないとの診断でした。
だんだん、朝登校をした時から、咳が出だしてそのままうずくまってしまうというふうになってきました。
生徒の行動記録を付けたり、その子に聞き取って見るなかで、「思い通りにならなかったことがある時や、苦手なことがある。」と不適応行動が現れるのではないかと見立てが経ちました。
先ほど言ったように、その子は頭がいいです。運動も得意ではありませんが、すごく不器用というわけではありません。
けれども、解けない問題があったり、少しでも運動中にミス(バスケのパスを受けられない)をしたりすると動けなくなってしまうということが多いことに気づきました。
完璧主義のような所があるのかもしれません。
少しのミスで、カッとなり、それが咳となって現れてしまうのではないかと考えました。
対応策
そこで「思い通りにならなかったこと」を自分の中でコントロールできるようにすることが大切だと考えました。
イライラがどれくらいのものかを表現できるようにしよう
「できない」ことに対してのイライラが0か10しかないのではないかと考えました。
つまり、正常か、爆発させるかの2択しかないのです。
例えば、バスケで、パスを受け取れないなんて日常茶飯事で、大したことないように思えます。
でも、その子にとっては「うまくいかなかった。」ことがイライラするポイントで、その対処のしかたがわからない。
だから咳を出してフリーズするとなるわけです。
そこで、0か10じゃなくて、その間、イライラも1〜9のグラデーションがあることを教えるというのが良いのではと考えました。
動けなくなった時に、「今、どれくらいしんどい?嫌な感じがした?」とレベルを聞くと良いです。
すると「8、9くらい。」と答えが返ってきます。
そうしたら、「そんなに嫌だったんだ。でもね、パスを受けられないのはよくあること、実は1くらいの出来事なんだよ。」と教えます。
そしてその対応方法も伝えます。
「1の時は、深呼吸したりとか、ボールを取れなかったーって言ったりして、言葉にして心を落ち着かせるんだよ。そうするとスッキリするよ。今日みたいなことは1ぐらいのイライラだから、そういった対応ができるといいね。」と伝えました。
さらに、「もう、どうにも何かに当たらないとやっていけないような出来事。稀にしか起こらないこと」のように、イライラが10の事例を教えておくことも大切です。
こうやって、イライラした時の対応方法を教えてあげることも大切です。
代替行動を考えよう
イライラが8から10だった時に取る行動を教えることもあります。
例えば、ノートに嫌なことをとにかく書く。紙をビリビリに破るなどです。
これなら誰にも迷惑をかけずにすみますよね。
自閉症傾向を持つ生徒の中には、赤ちゃんのときに使う歯固めのようなものを噛んで落ち着くことを代替手段としていた子もいました。
教師間で子どもの様子を共有しよう
同僚か管理職からも様々なアドバイスを受けることもあるでしょう。
自分の指導方針と違っている場合もあると思います。
逆のベクトルの指導を複数の先生ですると困ってしまうのは子どもです。
子どもの様子と指導方針を教師間で共有し、対応が同じになるようにしましょう。
報告する時には、
- どんな時にフリーズを起こすのか
- 週に何回フリーズするのか
- どれくらいの時間フリーズするのか
そのうえで、「フリーズの時間が◯分に減らせるといい」と目標(ゴール)を共有できるよいいと思います。
フリーズへの具体的対応
基本的には、「愛のある無視」で見守りました。
声をかけても反応がないですし、本人も動けないので、基本的には見守りました。
時折、「こっちに戻っておいで」と伝えて、遠くから見守るようにしました。
フリーズする時間が少しでも短くなっていけばよいといったスタンスで見ていきました。
もちろん、これは一例ですので、子どもの様子をみて、別の原因もないかさぐっていきましょう。
子どもの様子から原因を探る方法はこちらで詳しく記事にしました。
まとめ
今回は、フリーズしてしまう子どもについての対応を書きました。
教師間で大切にしたいこと
- その子の現状と、今後どうなるとよいか(ゴール)の共有
- フリーズしたときの対応の仕方の共有
子どもには
- イライラには、0か10だけではなくその間があることを教える
- イライラしたときの対処方法を教えたり、一緒に考える
もし、フリーズの時間が減っていって、目標時間で動けるようになったら、盛大に褒めましょう。
これをすると、子どもも、これからも頑張ろうという気持ちになります。
クラスの子にも現状を伝えて、みんなで応援しようという空気を作ると更に良いです。
少しでも問題行動が改善したら一緒に喜んで、強化していくという方法を取ってみるのが大切です。
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