先日、弁護士の方の講演を聞く機会がありました。
今回話を聞いた弁護士さんは、少年事件も積極的に入っているようです。
その中で、非行に走ってしまった少年(家庭裁判所では、女子でも少年といいます)は、どんな傾向があるのか話を聞けました。
こちらもみなさんの参考になるかもと思いますので、記事として残しておきたいと思います。
非行少年の傾向

とりあえず、ChatGPT君に現在の傾向を語ってもらいました。
社会で「非行少年」と呼ばれる若者たちがなぜ非行に走るのかを考えると、そこには多くの場合、心の揺らぎや環境の歪み、そして安心できる居場所の喪失が絡み合っていることが見えてきます。
さらに統計を見ると、一度非行に関わった少年の中には再び非行に及ぶ割合が一定数存在しており、非行は「その場限りの過ち」で終わらない場合も少なくありません。
この現実を踏まえると、「なぜ起きるのか」「なぜ繰り返されてしまうのか」を社会全体で理解し、支援を考えていく必要があると感じます。
多くの非行少年には、いくつか共通する心理や行動の傾向がみられます。
例えば「自分には価値がない」「どうせ理解されない」といった自己肯定感の低さや、「仲間や大人から認められたい」「必要とされたい」という強い承認欲求・帰属欲求が背景にあることが少なくありません。
また、将来の結果を深く考えるよりも感情が優先してしまう衝動性や短絡的な判断も目立ちます。
小さなルール違反から始まり、それがだんだんエスカレートしてしまうケースもあります。
さらに、家庭や学校、地域のどこにも安心できる居場所がないと感じていたり、逆に仲間とのつながりに過度に依存していたりすることも珍しくありません。
こうした心理状態や環境が重なると、いわゆる「非行の入口」になりやすい行動が現れやすくなります。
例えば、授業の欠席や遅刻・早退が増えたり、授業中の離席や暴言など教師不信につながる行動が見られたりします。
さらに、夜間の徘徊やたまり場への出入り、喫煙や飲酒、軽微な万引きや窃盗、SNSトラブル、仲間同士の排他的なグループ化、繁華街やゲームセンターへの頻繁な出入りなどもよくある入り口行動とされています。
これらの行動は「注目されたい」「刺激がほしい」「自分の居場所を感じたい」といった思いから出てくることがあり、最初から大きな犯罪を目的としているケースは多くありません。
では、どれほどの少年が「一度だけ」ではなく「再び」非行に至っているのかという点について、近年の日本の統計を見ると、刑法犯で検挙された少年のうち、以前にも補導・検挙歴のある再非行少年の割合は令和4年時点で約31.7%とされています。
つまり、少年の約3人に1人は再び非行行為を起こしたことになります。
また、少年院を出院した少年の再入院率を見ると、出院後2年以内で約10.1%、5年以内で約14.2%とされています。
これらの数字から、出院後の生活環境や支援体制によっては、再び非行に戻ってしまう可能性が一定程度あることがうかがえます。
こうした再犯・再非行の背景には、本人の性格や資質だけではなく、家庭や学校、地域、社会のさまざまな要因が関係しているとされています。
例えば、家庭の機能不全や保護者の養育態度の問題、学校での居場所の喪失、友人関係のトラブル、就労や生活の不安定さ、社会復帰後の支援の不足などが複雑に絡み合い、子どもの再非行につながりやすい環境が形成されてしまうことがあります。
さらに、初めて非行に関わった年齢が若いほど、再非行の可能性が高まるという研究結果もあります。
こうした現実を踏まえると、罰を与えることだけでは非行や再犯を防ぐことはできません。
むしろ大切なのは、信頼できる大人との継続的な関わりや、本人が役割や居場所を感じられる機会を提供すること、小さな成功体験を積み重ねられる場をつくること、そして本人の考えや思いを否定せず丁寧に受け止める対話だと感じます。
また、学校・家庭・地域・福祉・司法などが連携し、それぞれの視点から子どもを支える仕組みを整えることも必要です。
安心できる環境や人間関係を持てるかどうかは、その後の日常と人生に大きな影響を与えるはずです。
非行少年の背後には、目には見えにくい不安や孤独、寂しさ、苦しさがあることが少なくありません。
そして、「再非行率」や「再犯率」という数字の裏側には、もう一度やり直そうとしても受け入れてもらえず、生きづらさを抱えた若者の存在があることを忘れてはいけないと思います。
社会や大人たちに求められているのは、叱責や断罪ではなく「見守り」「受け入れ」「信じて関わり続ける姿勢」ではないでしょうか。
もし教育現場で非行防止や支援に取り組む立場であるならば、生徒一人ひとりの背景や悩みに想像を向け、彼らにとっての「安心できる居場所」をどうつくりどう守っていけるかを考えていくことが、最初の一歩になると感じます。
弁護士からみる、非行少年の特徴

ChatGPTが言うように、非行少年の再犯率は31%。
3人に1人は再犯をするので、結構高い割合だと感じるでしょう。
なぜ、これだけ高いのでしょうか?
親の見方はまちがっているのでは?
非行少年の保護者に、その子の話を聞くと、決まって以下のように答えるそうです。
初犯の場合は「流されやすい子」「友達思いの優しい子」
再犯の少年の場合、「前のことでもう懲りたと思っていた」「もうしないと思っていた」「あれだけ反省していたのに何で?」
弁護士から見れば、少年の一面として、「やさしい」「友達思い」なのかもしれないが、裏を返せば「断れない性格」だから「周囲に流される」
「孤独が嫌」、「友達に嫌われたくない」から「流される」「友達思い」に見える。
目の前のことしか考えていないから、犯罪を起こしてしまうといっていました。
少年院に入院したら、どの少年も反省の弁を述べるといっています。
でも、それは早く出所したいからであり、本当に反省をしているわけではないことのほうがほとんどだそうです。
やっぱり目の前のことしか考えられていないのでは?と言っています。
実際にChatGPT君の言っている部分が当てはまります。
発達障害も抱えている少年が多い
弁護士さんは、「発達障害の専門家ではないし、実際に発達障害の診断を受けている子も多くはないので、断定はできませんが」という前置きの元、それでも、犯罪を起こす少年は、特性のある子が多いと言っていました。
非行少年の部屋の様子を見ると、床に物が散乱している。
そして、物をしょっちゅうなくして困っている。
このように、自分が困るだけだったらいいのですが、
親の財布からお金を抜く。
周囲の人に暴力をふるう。
このように他害に走っていくと、非行に走る傾向が格段に上がるそうです。
その裏には、親の財布からお金を抜くとどうなるか、暴力をふるうとどうなるか(学校で謹慎、退学、警察沙汰になる)のような考えに至らず、目の前の不満やストレスを安易に暴力で解決しようとしてしまうからです。
やっぱり、目の前のことしか考えられないのですね。
学校現場のみなさんなら、ピンとくることでしょう。
教育界でも、コグトレで一躍有名になりましたが、宮口幸治さんの「ケーキの切れない非行少年たち」でも、似たようなことが書かれています。
どうしても、先を見通す力が弱い部分もあるようです。
孤独から非行のループに
さて、暴力をふるった少年について、その後の生活を考えてみましょう。
「暴力をふるう」→「周囲の友達や家族が離れる」→「孤独になる」→「家にいられなくなり、深夜徘徊」→「不良集団とつるむようになる」→「非行を働く」→「非行を称賛される」→「不良集団が居場所になる」→「さらに非行にはしる」→・・・・
という悪いスパイラルに入っていきます。
ここでわかるのは、結局、非行少年は孤独なのです。
自分を見てもらいたいのに、周りからは相手にされない。
相手をしてくれるのは、不良集団となり、そこが居場所になるのです。
逆に、少年院に入って「自分が変われた」という少年もいるそうです。
それは、少年院の職員にしっかり自分をみてもらい、励まされたという少年です。
結局、安心していられる居場所を作ることが、大事になってくる面があるのです。
学校としてできること(最後に変えて)

学校としてできることは2つだと思っています。
一つ目は教師として、少年と対峙し、見ることだと思います。
マザー・テレサも言いました。「好きの反対は無関心」なのです。
結局、少年を見てあげる人がいないと、いつの間にか目の前から消えてしまうのです。
以前、「嫌われる勇気」の感想でも書きましたが、「問題行動を起こす子どもは、悪目立ちして大人の興味をひこう」とします。(下記記事参照)
大人がしっかり見てあげることが大切です。
2つ目は関係諸機関と連携を取ることです。
学校は、少年を一番見ることができますが、家庭に介入することはなかなかできません。
家庭に介入するには、児童相談所や警察の協力が必要です。
そうやって、それぞれのできるところで、できることを行い、少年を見てあげるようにすることが必要です。
一人で対峙するのは大変です。様々な人とかかわりながら、少年が変わっていけるように、力を合わせていきましょう。
Podcastの「あいだのハナシ #54 少年院を出た子の居場所をつくる。帯広のNPO法人スマイルリングに行って」では、少年院を出た後の居場所づくりの話が出ていました。
なかなか、犯罪を犯した少年への風当たりが強いなと感じています。
学校がすぐどうこうできる問題ではありませんが、頭の片隅にはおいておきたいトピックです。

参考文献
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