「点は大きさがない」「直線には太さがない」
そういうふうに、点や直線は定義されます。
点や直線に大きさや太さを定義したら、数学を進めるうえでいろいろ困ったことが出てくるわけです。
でも、このような定義には実は、哲学と深い関係があります。
哲学と数学の関係を読み解きながら、今日は、考えてみましょう。
哲学はなんのためにある学問?

数学は、「数に関する学問」
理科は、「自然現象に関する学問」というのはすぐ想像がつくと思います。
では、哲学は何をする学問なのでしょうか?
ひとことで言えば「問い」の学問。
世界の見方を変える視点をもつこと!
ー青木滋之.「知識ゼロでも楽しく読める!哲学」.P10
と書いてありました。
哲学的な問いは個別的な問いではなく、「全体的」、「概念的」、「形式的」といった特徴があります。たとえば、自分の父親が死んだときに「なぜ父が死んだ?」と問うのではなく、「死とはなにか?」とすべての人に当てはまる答えを見出そうとするのです。
ー青木滋之.「知識ゼロでも楽しく読める!哲学」.P10
これを読めば、すべての学問は「哲学」から始まったということもわかるでしょう。
例えば、有名な三平方の定理。これは、すべての人に当てはまるし、どんなときでも成り立ちますよね。
科学で解明されていることも、再現性があります。
つまり、どんな人でも、正しく理解や手順をふめば同じ結果になる。
このような考えのもとになっているのが哲学なのです。
哲学で考えていったことを、自然科学分野や数学の分野に応用していったのが、現在の学問になっているわけです。
イデア論と数学の幾何

自分が今勉強していて、哲学と数学が一番結びついているのが、幾何の分野だと思っています。
例えば、幾何(ユークリッド幾何)の分野でこんな定義があります。
ユークリッド幾何学における点は大きさ、方向など位置以外のあらゆる特徴を持たない。 ユークリッドの公理や仮定では、一部の場合には点の存在が明らかだとする。 つまり例えば、1平面上の2直線が平行でなければ、その両線上に位置する1点が確実に存在する。
-wikipedia:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%82%B9_(%E6%95%B0%E5%AD%A6)
数学において、点というのは、大きさがないのです。
でも、みなさんが、ノートに点を取るときは、絶対大きさができてしまいますよね。
なのに、点はない物として、2点間の距離を測っています。
直線についても同様です。
直線(ちょくせん、line)は、太さを持たない幾何学的な対象である曲線の一種で、その上にある点について一様に横たわる面である。まっすぐ無限に伸びて端点を持たない。
-wikipedia:https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E7%9B%B4%E7%B7%9A
直線も太さを持たないと定義されます。
それでも、直線をかくと、ペンや鉛筆の線の太さが出てしまいます。
他にも、フリーハンドで、円をかくと、完璧な円はかけませんよね。
でも、それを我々は完璧な円として認識して、問題を解いているわけです。
これは、直線や、点、円には理想像があり、その理想像はあるから認識できると考えられます。
プラトンの考える「イデア界」
先ほど書いた「理想像」をプラトンという哲学者は、「イデア」と呼びました。
イデアとは「あらゆる物事には完全で理想的な姿がある」と考え、「イデア」と読んでいます。
「点のイデア」は、「直線のイデア」は先ほどの引用した文の通りになります。
プラトンは、永遠で完全なイデア界が本当の世界のあり方であり、多種多様な人や物が存在し、時間と共に変化してやがて消えていく現実世界(現象界)はイデア界(本当の世界)の影のような物だと考えたのです。
このようなプラトンの考えを引き継ぎつつ、ギリシャでは幾何学が発展しました。それが今日に残るユークリッドの原論につながるわけです。
最後に

今回は、哲学と数学の関係をプラトンの「イデア」の話から持ってきました。
この学習をするのは、1年生の幾何の分野です。
点や直線の定義をここでしま。
よく、生徒から、「点に大きさがないのなんで?」という質問がされます。
「点に大きさがあると、いろんなところを通れて、直線を一つに定義できなくなる」という実用的な話もしてもいいのですが、「こういう理想像から、図形をアプローチしていくのが数学」という説明も神秘的でいいのかなと思ってます。
哲学と数学、うまく掛け合わせながら、授業で話すというのはいかがでしょうか?
皆さんはどんな話をしていますか?ぜひ教えてください。

中1の平面図形の授業記録をいくつも書いています。合わせてご覧ください!
哲学者は、数学についてもいろいろ考えています。こんな記事も合わせていかがでしょうか?
参考文献・参考HP
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