「なぜ角度は1周360度なのでしょうか?」
100度のほうがキリが良い気もしますよね?
個人的には、「360度だったら、約数が色々あるので、便利なんじゃないの?」ぐらいにしか思っていませんでした。
教科書に説明はありません。(定義は書いてありますが)
最近、趣味で哲学の入門書を読んでいたら、そこに理由が書いてありました。
数学と哲学って密接に関係あるんだな~と思って、これ授業の小話で紹介するといいなと思いました。
メモとして残しておこうと思います。
なんで1周の角度は360度?

古代バビロニア人の観測から
今から約4000年前、古代バビロニア(今のイラクあたり)の人たちは、天体の動きをとてもよく観察していました。
バビロニア人の天文学者は日頃の観測から、「1年は365日」であることを知っていました。
1年の長さを基に「1周を360度」で表すようにしたのです。
使いにくいと思うかもしれませんが、バビロニア人は60進数を採用していたと言われています。
60進数って何?と思うかもしれませんが、皆さんは普段の生活で使っていますよ。
そうです。時計です。
60秒=1分、60分=1時間と、60に到達すると次の桁にいきますよね。
古代バビロニア文明が滅んだ以後も、この60進数を用いた表し方が便利だと現代に至るまで採用され続けているのです。
360のどこが便利なの?
360は24の約数を持ちます。(1, 2, 3, 4, 5, 6, 8, 9, 12, 15, 18, 20, 24, 30, 36, 40, 45, 60, 72, 90, 120, 180, 360)
もし、100だとしたら約数は、9つしかありません。(1, 2, 4, 5, 10, 20, 25, 50, 100)
ということは、1周の何分の1と表すには、360のほうが都合がいいのです。
計算が非常に簡略になります。これが1番の理由でしょう。
幾何学の祖 タレス

さて、これでは話のボリュームが少ないので、もう少し話をします。
幾何学を体系的にまとめたのはユークリッドの『原論(ストイケイア)(Στοιχεῖα)』と言われています。

啓林館の教科書には、コラムとして載っているくらいです。
この人が、初等幾何学を、5つの公理から初めて、種々の命題を証明していきました。
ただ、その前から、幾何学の起こりはありました。
幾何学の最初として、タレスが「幾何学の五定理」を見つけています。

タレスの「幾何学の五定理」
- 円は直径により2等分される。
- 二等辺三角形の両角は相等しい。
- 相交わる二直線の対頂角は相等しい。
- 底辺と両底角で三角形は決定する。
- 半円に内接する角は直角である。
1は、直径の定義ですよね。
2は、二等辺三角形の性質として、小学校で習います。
3は対頂角の定理、4は三角形の合同条件の一部として、中学校2年生で学習します。
5については、中学校3年生の「円周角の定理(直角)」を示していますね。
特に5の発見はロマンチックですよ。
タレスが、南天を見たときに、オリオン座がきれいに写っていた。その下にシリウスが輝いていました。
この夜空全体の半円とシリウスで三角形を作ってみる。すると、シリウスのところで直角ができた。
続けて、北斗七星を探して、その傍らにある北極星で同じ作図を試みると、やはり同じように北極星のところに、直角ができたそうです。
タレスはこのの発見をしたとき、天の神々に感謝の気持として牡牛の一頭を捧げたといいます。
それだけ感動をしたということでしょう。
最後に
今回は、数学の小話的な話を紹介しました。
けれど、数学史にも触れることで、子どもはまた面白いと勉強をしたくなるのではないかなと思います。
たまには、数学の歴史について触れて、子どもたちの頭に新しい情報を入れてみてはいかがでしょうか?

図形分野の指導案をいくつも公開しています。合わせてご覧ください。
参考文献・参考HP
参考文献
参考HP

タレスのイラスト

ユークリッドのイラスト

コメント