「やる気がおきなーい。」
「やればできるから、今はやらない!」
担任している子どもでそんなことを言う子がちょくちょくいます。
「じゃあさっさと結果を出しなさいよ!」
と言いたくなるのですが、気持ちはすごくよくわかります。
やる気を作る仕組みってないのかなと調べたら、こんな本に出会いました。
やる気ってどうしたら起こるのかなと調べるうちに、やる気を引き出す方法は、学校現場でも(無意識に)使っていなと感じました。
今日はやる気の引き出し方の説明と、学校現場での生かし方を紹介します。
脳の性質から考える「やる気」
やる気がでれば、宿題だって、家の手伝いだってどんどんできます。
逆にやる気が出ないと、始めることさえできない。
そもそも「やる気」って一体どんなもの考えたことありますか?
「やる気があれば何でもできる!(by アントニオ猪木)」
とは言うけれど、やる気を起こすのが1番難しいのです。
脳の特徴からやる気の引き出し方を科学的にみていきましょう。
「三日坊主」と、「馴化」
やる気について考えるうえで、避けては通れないワードが「三日坊主」と「馴化」です。
日記を書くとか、毎日ランニングする!と決めて、最初3日くらいはできるけれど、1週間立つ頃にはやめてしまう。
そんな経験はありませんか?
三日坊主になってしまうのは、脳の性質です。
脳は、新しいことはワクワクするけれど、時間がたつとだんだん慣れてしまうという性質があります。
これを「馴化」といいます。
じゃあ、馴化ってダメな性質じゃないかと思う人もいるかもしれませんが、いろいろなことに慣れるのは、人間の脳を守るために大切なことです。
何事もいつまでも楽しいと思っていたら、脳がへとへとになっちゃいます。
また、ある程度やったら慣れていかないと、次の高いレベルの活動にレベルアップもできません。
三日坊主でやらなくなる自分が駄目じゃなくて、三日坊主になってから、頑張るにはどうするか対策を立てるのが大切になってきます。
また、「馴化」には、もう一ついいことがあります。
それは、「めんどくさいことでも、やっているうちに慣れる」ということです。
うちの娘の話をしようと思います。
うちの娘は2歳の時は歯磨きをしたがりませんでした。
毎日、大人2人がかりで羽交い締めにして、嫌だと泣き叫ぶ娘の歯磨きをしていました。
そんな悪戦苦闘の毎日を過ごしていたある日、3歳になってからでしょうか?
あの娘が自分で洗面台に立って、歯磨きをしているではないですか。
これは、「最初はめんどくさかったけれど、毎日やるうちに慣れて、やるのが当たり前になった。」という状態という状態になったのです。
今では、ご飯を食べたら必ず歯磨きをして、仕上げ磨きをしてほしいと自分で頼んで来るようになりました。
よく、ビジネス書には「習慣化するべし!」なんてことが書いてあります。
「大変だな」「めんどくさいな」と思っても、少し頑張って習慣にすることで、苦にならずに活動を始めることができます。
ちなみに、新しい習慣を作るには、平均66日必要と言われています。
約2ヶ月。
大切なのは、とにかく続けることなのです。
やる気はどこから生まれるの?どうやって生み出せばいいの?
では、やる気はどこから生まれるのでしょうか?
それは、脳の真ん中にある「側坐核」が動き出すとやる気が生まれてくるのです。
ただ、側坐核は脳の中にあるので、手や足と違って自由に動かすことはできません。
心臓なんかと同じで、自分の思いとは関係なく、勝手に動く物なんです。
では、どうすればこの側坐核を動かすことができるのでしょうか?
実は4つ、人間には側坐核を動かすやる気スイッチが備わっています。
やる気スイッチその1 スイッチB(Body)
体を動かすことで、やる気を生み出す「スイッチB」というものがあります。
4つのスイッチの中で、1番やる気を生み出すパワーが強いです。
体を動かすと、脳の「運動野」というところが刺激を受けます。
この刺激が側坐核に伝わって、やる気が生まれます。
例えば、授業中、ペン回しをしている時と、していな時では、ペン回しをしている時の方が脳が活性化しているという話は聞いたことないでしょうか?
授業中にそんなことばかりやっていると怒られますがど、実はペン回しをしながら物事を考えるというのは、理にかなっているのです。
「ペン回しをする」という動きを取り入れることで、側坐核が刺激されているんですね。
他にも、授業中、立って友達と話してみましょうってするだけでも、やる気スイッチが入ります。
また、「やる気がなくても、とにかく勉強机の前に座って、問題1問解いてみなさい!」と言われたことはないでしょうか?
1問解いたら、2問、3問・・・気づいたらドリル1ページ終わってしまったという経験をしたことがある人も多いと思います。
こんなふうに体を動かしてやる気が高まることを、「作業興奮」といいます。
このまましばらく作業をやり続けると、スピードも集中力もグンとパワーアップしていきます。
やる気を出すには、「とりあえずやってみる」ことが大切です。
作業興奮については、こんなふうに授業に取り入れられるのではないかと、記事にしました。
2つめのスイッチ スイッチE(Experience)
新しい経験をすることで、やる気が出てくるのが2つ目のやる気スイッチ、「スイッチE」です。
いつもと違う新鮮な経験をすると、脳の「海馬」が動き出します。
それが、側坐核を刺激して、やる気を生みます。
やる気が起こらない時は、ちょっといつもと違うことをやってみましょう。
いつも宿題を漢字ドリルからスタートするなら、あえて音読からやってみる。
丸つけのペンを青ペンにしてみる。
そんな「新しいこと」や「新しいもの」を取り入れて新鮮味を感じることで、やる気が出てきます。
3つ目のスイッチ スイッチR(Reword)
スイッチRは、脳にご褒美をあげることで入るスイッチです。
脳の1番のご褒美は、「できた」という達成感。
頑張った時や、目標を達成できた時に「嬉しい!」「気持ちいい!」と感じられることが大切です。
「〇〇ができて嬉しい!」「〇〇を乗り越えて気持ちいい!」と感じると、脳の中の「テグメンタル」という場所が刺激を受けます。
それが、側坐核に伝わって、やる気が生まれます。
ご褒美の力はとても強く、脳が達成感というご褒美を一度受け取ると、「もっとご褒美が欲しいから頑張ろう!」という気持ちになり、どんどんやる気を出してくれるのです。
これを利用したのが、このブログでもよく紹介しているトークンエコノミー法です。
「〇〇できたら、1ポイント。10ポイント貯まったら、お菓子を買う」と決めて、コツコツやっていく方法です。
ポイントを貯めるのは嬉しいし、10ポイント貯まれば、さらにお菓子というご褒美が得られる。
そうやって、たとえば苦手なことも、習慣化していくように脳を騙すのです。
詳しくは、リンクの記事をご覧ください。
ご褒美で釣ったら人間ダメになるのでは?という方もいるかもしれませんが、答えはNOです。
仕事に置き換えてみるとわかりやすいと思います。
やりがいは大切ですが、お給料などをもらえるから頑張れるのです。
子どもだって一緒です。
頑張ったら、ご褒美もらえた方が嬉しいに決まっています。
ただ気をつけなければならないのは、活動に見合った報酬かどうか?です。
ちょっとしたことで、ゲーム機を買うようなご褒美を与えていたら、逆効果です。
「勉強できたら、一緒に遊ぼう、おやつを買いに行こう」と小さな楽しみを積み重ねていくのが大切です。
ご褒美の是非については、こちらの記事にまとめました。合わせてご覧ください。
4つ目のスイッチ スイッチI(Ideomater)
スイッチIは、なりきることで、やる気を生み出すスイッチです。
「東大合格!」と張り紙して、勉強をする。
「私は医者になる。」と周りの人に言い続けて、夢を叶える。
こうやって、自分はこうなりたいと強く思い込み、なりきることで、やる気を出すのです。
引き寄せの法則のような感じですが、理論はこうです。
「こうなる!」と思い込むと、脳の中の「前頭葉」が働き始めます。
この刺激が側坐核に伝わってやる気を生み出してくれるのです。
「〇〇選手みたいになる!」となりきったり、「必ず〇〇になれる」と思い込んだりすることで、やる気が生まれ、夢を叶えるまで頑張れるということになるのです。
まとめ
今日は、やる気を引き出すメカニズムについて書きました。
- 脳は「馴化」する特性を持っている。飽きるのはそのせい。
- 逆にどんな嫌いな作業でも「馴化」できれば、人間は習慣化することができる。
4つのスイッチを使って、やる気を出して、習慣化しよう!
- スイッチB
体を動かして作業興奮状態になればやる気アップ - スイッチE
新しいことをやって、新鮮な気持ちで物事に取り組めばやる気アップ - スイッチR
「できる」課題を作って「できた」達成感を脳に味わせることでやる気アップ - スイッチI
強くそうなりたいと願うことでやる気アップ
こうやって脳の性質をうまく使いながら自分を高めていきたいですね。
学校でも子どもに伝えてみるのはどうでしょうか?
では生活の中で、実際にどう取り入れていけばいいかは、こちらの記事に書きました。ご覧ください。
参考文献・参考HP
「引き寄せの法則」について
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