中学校1年生では、統計的確率を取り扱い、中学校2年生で、数学的確率を取り扱います。
数学的確率を定義するときに必ず出てくるのが「同様に確からしい」という言葉です。
数学的確率を問題として考える上で、「同様に確からしい」を保障していないと、問題としてはなりたちません。
サラッと流してしまいがちですが、ちょっとこだわって、こんな話をしてみました。
「同様に確からしい」とは
chatGPTさんに「同様に確からしい」の意味を教えてもらいました。
とのことです。
逆に歪なサイコロで、1ばかり出るサイコロを使っている場合は同様に確からしいということはいえないのですね。
授業での話
用意するもの
- 玉2つ(異なる大きさ・色の物)
- 外から中が見えない袋
今回は、ちょっと物が揃わなかったので、20面サイコロと、玉を用意しました。
そして、事前に1名生徒に手伝いを頼んでおきます。
物を見せて、「授業で、赤色の玉が出る確率は?と聞くから、実際に玉を取り出してほしい。絶対赤色の玉を出してくれる?」
と頼んでおきます。
頼まれた生徒は「イカサマじゃん」と言いながら、引き受けてくれることでしょう。
授業では
授業では、実際に玉を取り出すだけです。
子どもに「赤と白の玉が袋に入っています。赤の玉を取り出す確率は?」と発問します。
子どもは$1/2$と答えるでしょう。
「じゃぁ、実際にやってみるよ。やってくれる人?」
と仕込んでおいた生徒Aを指名します。
生徒Aは必ず赤の玉を出し続けるので、他の生徒はおかしいと感じるでしょう。
「おかしい、中を見せてくれ!」という声が出てきたところで、生徒に袋の中身を見せます。
そうすると、イカサマがされていることに気づくでしょう。
そこで、「何がいけないの?」と問い返します。
「大きさが違う、そもそも形も違う。そりゃ、赤色の玉ばかり取り出せるよ、イカサマだ。」
と子どもたちは言うでしょう。
そこで「じゃぁ、どう直さないといけないの?」と聞けば、
「同じ大きさや質感で玉の色だけ違う状態にしなければならない。」と生徒は答えます。
この状態が「『同様に確からしい』といいます。数学で確率を考える場合は、問題に断り書きがなくても、『同様に確からしい』ということが保証されている中で問題を考えていきます。」
と話します。
まとめ
なんでこんな話をしたかと言うと、前時の授業中、
サイコロを投げます。
- 1の目が出る確率を求めなさい→$1/6$
- 偶数の目が出る確率を求めなさい。→$1/2$
- 7の目が出る確率を求めなさい。→????
と問題をだしました。3問目を出したときにある生徒が、「2つサイコロを投げて、和を取るんじゃないの?」と拡大解釈を勝手にしていました。
問題はサイコロを”1個”投げるとは書いていないので、生徒の拡大解釈も否定できません。
教師の意図としては、「7は絶対にでないから確率は0」と言いたかったのですが、急いで問題を修正しました。
子どもの中には、「実は、ボールの出方やサイコロの出方も実は偏りがあるんじゃないのか?」と考えている生徒もいるかもしれません。
だから、今回のような話をして、数学的確率では、複数の事象が起こる確率が等しいことが保証されていることを分からせたかったのでこんな話をしました。
いかがでしょうか?
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