教師にとって一番気をつけなければならないことの一つが、
「声のかけたか」
です。
声のかけ方次第で、子どもとの関係づくり、授業の流れ、全てが変わってきます。
今回は学級経営という視点で、コーチングの技法を使って、声の掛け方について考えてみようと思います。
「きく」大切さ
トラブルが起こった時、話を聞くことはもちろんです。
日常でも子どもの話をきくことは大切です。
話をきいてもらえると我々も嬉しいですよね。
さて、「きく」という感じを変換すると、
聞く
訊く
聴く
と出てきます。我々が教師として身につけなればならない「きく」はどれでしょうか。
「聞く」
英語で言うと”hear”
音や声が聞こえてくる。耳に入ってくると言う意味です。
子どもの声が聞こえる。
パトカーのサイレンを聞いた。
と言うふうに使います。
「訊く」
英語で言うと”ask”
名前を訊かれる
名簿番号を訊かれる
こんな使いたかをします。尋ねるが一般的に使われますね。
「聴く」
英語で言うと”listen”です
相手が伝えたい事、表現したい事、耳を傾けて能動的に聴く、と言う意味です。
子どもの作文を聴く。
合唱を聴く。
などのように使います。
きっと先生の皆さんなら「訊く」はできるでしょう。
授業・生徒指導さまざまな場面で適切に「訊かなければ」学級経営が成り立たないからです。
けれど、小学校から中学校に上がるにつれて、子どもの心は複雑になっていきます。
訊いて、指導しても通らないことが増えてきます。
なぜなら、子どもはトラブルを起こした時に、自分の思いを受け取って欲しいと思っているからです。
その思いを受け取る事なしに指導をして行っても反発を招くことのほうが多くなってきます。
「聴く」を大切にした傾聴法
そこで「聴く」事を大切にするのはどうでしょうか。
「傾聴法」と言うそうです。
自分が知りたいことではなく、相手が伝えたいことを受け取る、その姿勢を「傾聴法」といいます。
子どもも友達と喧嘩してしまった時、牛乳瓶を落としてしまった時。
友達と仲直りしたい
しまった、給食を運んでいるときに遊んではいけなかった
こんな風に思いをめぐらせます。
そんな時に、感情的に叱っては子どもも嫌です。
まずは、子どもの思っていることを全て聞き、そしてどうすれば良いか、どうしたいかをを引き出します。
子どもは聴いてもらえたと、ひとまず満足します。
また、聴いてもらえたことで、心の整理がつきます。
その後に、担任として思ったことを伝えれば、きっと子どもの心に届きます。
ただ、さまざまな記事で書いていますが、
・命を危険に晒す行為
・悪意を持って友達を傷つける行為(いじめ・犯罪行為)
は毅然とした態度で指導します。
取り返しのつかないことは、絶対直さなければ行けないのです。
自分の経験から
ある子ども(Aとします)が、「学校の居心地が悪い」とアンケートに書いてきました。
話を聞くと、
「今まで友達と同じくらいのテストの点数だった。その友達が、最近勉強を頑張っていて、点数が上げて携帯を買ってもらった。通学中にその話をみんなしていて、気になる。学校が楽しくない。」
という相談でした。
皆さんなら、どう指導しますか?
僕はこの話を聞いて、Aは、友達のことをちょっと嫉妬しているんじゃないかな。
友達の成績が上がってきたので焦りみたいなものを感じているのではないのかなと感じました。
そこで、
・それは嫉妬だよ。
・あなたの方が悪いよ。わがままだよ。
なんて言ってもAの心にはきっと意味はないでしょう。
「なるほど、嫌なんだね。確かに、友だちの点数が上がっているのが聞こえて、自慢みたいに聞こえるのもわかる。Aはどうしたい?」
と聞きました。
そうしたら、
「まぁ、点数上がって嬉しいのもわかるし、携帯を買ってもらって嬉しいのもわかる。自分も頑張らないといけないなって思った。頑張る。」
と言いました。
その後の人間関係のフォローはしましたが、Aが勉強を頑張って友達に追いつくという思いがもてなければ、教師がどれだけ指導しても改善はされなかったでしょう。
今回、しっかりAの話を聞いてよかったなと思いました。
まとめ
ついつい先生という生き物は、子どもは「指導する」ものだと思いがちです。
間違っていません。
子どものためにも、間違ったことは指導して直さなければいけません。
ただ、子どもだって思いを持って行動しています。
その思いを引き出すことで、より子どもに寄り添った指導ができるはずです。
時間がかかり遠回りな作業ですが、きっと1年間続けることができれば、学級が変わるはずです。
参考文献
田嶋英子(2022).『引きずらない! でもあきらめない! 親の「聴き方」ひとつで失敗に負けない子が育つ』.青春出版社
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