割合について、中学校の視点から書いてほしいとリクエストいただきました。
自分がいつも指導で迷うところを今回書いてみようと思います。
みなさん、ぜひご意見ください。
問題提起
中一 「比例の利用」の問題で、次のようなものがありました(適当に創作してあります)
あるリサイクルセンターで古紙回収をしています。
回収した古紙は、トイレットペーパーに生まれ変わります。
各地区の古紙の重量と、古紙からできたトイレットペーパーは以下の通りです。
- A地区 古紙 1200キロ トイレットペーパー 6000個
- B地区 古紙 1800キロ トイレットペーパー 9000個
- C地区 古紙 2000キロ トイレットペーパー ??個
C地区から回収した古紙からできるトイレットペーパーの個数を求めなさい。
みなさんだったらどう解きますか?(中一の比例の基礎知識までは学習済みとします)
子どもはどう考えるのかな
教科書の解答はこんな感じです。
A地区とB地区の関係を見ると、比例関係になっている(古紙を1.5倍すると、トイレットペーパーも1.5倍になっている)
古紙を$x$キログラム、トイレットペーパーを$y$個とした時に、
$y=5x$
の比例関係があるといえる。
従って$x=2000$を代入して
$y=10000$
よって、1万個。
ただ、問題だけ提示して、自力解決させたところ、1人もこの解き方をした子はいませんでした。
4割の子が手が付かない。
3割の数学が得意な子が以下のように解いています。
$6000÷1200=5$
$5×2000=10000$
この時は机間巡視しながら、「$6000÷1200$って何を表しているの?」と尋ねて
「1キロの古紙からできるトイレットペーパーの個数」という言葉を引き出して、周りの子にヒントを広げていきました。
残りの3割は
A地区もB地区も古紙の5倍がトイレットペーパーの個数になっている。
だからC地区も同様の関係になっている。
よって$2000×5=10000$
または、
A地区もB地区も
(トイレットペーパーの個数)÷5=(古紙の重量)
になっている
よってC地区は
$??÷5=2000$
だから、$10000個$
と解いています。
この解答を書いた子に、考えを尋ねると「表から何となく」という根拠が、やや薄い答えが返ってきました。
1人だけ
$1200:6000=2000:??$
の比例式で解いている生徒
もう1人は$1200÷6000=0.2$
$2000÷??=0.2$
よって、??は$10000$と答えた子がいました。この子に
「$0.2$って何?」と尋ねると、はっきりと言えませんでした。
「トイレットペーパーひとつ作るのに必要な古紙の重量」なのですが、小数で出てくるため、イメージ、言語化がしづらいですね。
分析
皆さんはどの解答をしますか?
子どもが解いたように「1キロの古紙からできるトイレットペーパー」が素朴な気がします。
ただ、7割近くの子が、解答の根拠をはっきり言えません。
しかも、比例の問題を前時までに徹底してやったにも関わらず、それを使おうなんて思う子どもが1人もいないのも、不思議です(そうすれば割合なんて言葉を使わなくてもいいのに)
ここで2つの課題が浮き彫りになりました。
比例はグラフ上の話であって、身の回りの比例関係が子どもの中にないこと。
比例定数の部分は、割合の話と大きく関わっているということに気づいていないこと。
問題自体は小学校5年生の問題です。(単位量あたりの単元)
しかも、中学1年生の比例の学習は、負の数に拡張して、一般化を図るだけですが、今回の問題は、小学校でもやっている(第1象限上のみの話)のです。
負の数に拡張して一般化するので、比例が割合のイメージから離れるのは、子どもの立場で考えると、よく分かります。
だからこそ、小学校で
比例と、割合の関係。
単位量あたりの意味。
中学校では、
負の数に拡張しても小学校で習った割合や単位量の話はそのまま使えること
を意識してリンクさせながら授業を組み立てる必要性を感じました。
課題
せっかくなので負の数まで拡張した、比例の利用の問題も解きたいです。
そうすればさらに割合の感覚も豊かになると思います。
そんな教材を作れたらいいなと思っています。
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