COTEN RADIOの「【番外編#115】新しい朝がきた!老舗ベンチャー 中川政七商店の事業継承」を聞きました。
この会社は300年続く超老舗の会社です。
代々一族経営をしてきましたが、14代目の社長に一族ではない人を選出して、社長に就任した会社です。
さて、この社長の交代劇があった時に、(電撃交代だったそうですが)社員は全く動じなかったそうです。
引退した社長は、「社員は、社長に仕えていたのではなく、会社のビジョンに仕えていた。だから社長交代にも混乱しなかったと思う。」と言っていました。(詳しい内容は本編をぜひ聞いてください。)
この言葉を聞いて思い出したことがありました。今日はこの一言を借りて記事にします。
先生こそ「学校のビジョンに仕えるべき」

自分は10年先生やってきて、勤務した学校は5校。7人の校長先生と一緒に働いてきました。
どの校長先生も魅力的で、時に厳しく、時に優しく、指導を受けてきました。
ある校長先生が飲み会のおりに「すーさん先生、今まで色々な校長に仕えてきてどうだった!?今の学校は楽しいか?」と聞かれたことがありました。
この時、「校長に仕える」という感覚はなかったのですが、確かに校長先生の方針に従って、言われた仕事を一生懸命やっていました。
これは、確かに校長に仕えているのか?と思いつつ「楽しく仕事してますー」と答えた気がします。
さて、冒頭に紹介したポッドキャストを聴いて、今、同じ質問をされたら、どんな返事をするのかなとふと頭によぎりました。
校長は数年単位で変わります。でも、それで学校は潰れることはありません。何が違うのでしょうか?
校長が変わって、行事の内容が変わっても、学校が破綻しないのは、教員が「目の前の児童生徒のため、今できることを精一杯やるべきことをやる」を共通理解しているからではないでしょうか。
だから現場の先生が頑張って指導をしています。
自分は、3年後、5年後を見据えて、学校の運営をするようにするようにしています。
3年・5年を見据えた学校の運営
例えば、行事です。今年初めて生徒指導の分掌を担当しています。
毎年「薬物乱用防止教室」を生徒指導担当の主催で企画をしています。
そこで、警察の方をお招きして、講演をしてもらうのですが、少し困ったことがありました。
それは、私の勤務する学校は小規模なので、全員「薬物乱用防止教室」を聴講するのです。
大きな学校は、2年生だけという場合もあるでしょう。
本校は全員で話を聞くので、警察の人も「去年と同じ話になっちゃうな」と困っていました。
もちろん3年間、警察の方から話を聞くのは意味はあると思います。
けれど、薬物について警察以外の薬物乱用防止に関わる様々な人から話を聞けたら、より子どものためになるのではないかと考えました。
そこで、
- 警察の方の話(麻薬・覚醒剤の話を中心に)
- 学校薬剤師の方の話(市販の薬のオーバードーズについて)
- 薬物を実際に使用してしまった人の更生団体による講演
のように1年毎にローテーションして、3団体から話を聞くことで、多角的に薬物の知識を知れるようにするのはどうかと計画をして、実施をしました。
生徒からは好評で、去年の警察の話と絡めながら、学校薬剤師の方の話の感想を書いてきた生徒もいました。
こうやって、子どもの学びが深まるように、内容をアップデートするようにしています。
他にも、情報モラル教室を変えました。
年に1回しか開催しなかったところを、年に3回するようにしました。
生徒同士のトラブルで良く出てくるのが、LINEを使ってやり取りして、関係が悪くなった。
見知らぬ人とやりとりをして、トラブルに巻き込まれそうになった。
そういったことが多くなりました。つまり、学校の教室ではなく、スマホ上で起きたトラブルを学校に持ち込んで、学校生活に支障が出てきてしまっているのです。
学校は警察ではないので、直接的な介入ができることは少ないです。
だから、予防的にスマホ教室を年に複数回実施し、注意喚起するようにしました。
スマホ教室をやるので、もし学校にトラブルがあっても、「スマホ教室で勉強したじゃないか」と指導ができるようになったのです。
また、スマホ教室は保護者の方も一緒に受けられるように、保護者会の日に合わせて行うようにしました。
保護者は安易にスマホを持たせていることが多いです。
スマホに潜む落とし穴を知ってもらうために、保護者の方にも足を運んでもらいやすい日にスマホ教室を開催するように年間計画を見直しました。
今では、学校にたくさんのスマホ教室のチラシが来るので、頼むのも困らない状況になりました。
自分の力量向上を見据えて
また、自分の力量向上が、児童生徒のためにつながると思っています。
だからこそ、教材研究や学会に所属し、より子どもたちのためになるような授業ができるように研鑽を積んでいます。
また、学会で、研究結果の発表・論文の提出をすることで、日本全体の教育の進歩につながると思っています。
よく、学者先生の論文は参考にならないということを聞きますし、自分もそう思っていました。
けれど、今の教育も、いきなり生まれてきたわけではありません。
先に理論があり、それを現場レベルに落とし込んで、どんな先生でもできるように磨かれたものが今の教科書です。
また、「心理的安全性」や「個別最適な学び」も、元々学術分野で研究がされてきました。
1人一台端末の配付、技術の進展などにより、現場で広く取り扱えるようになってきたのです。
自分は、現場と学術分野の橋渡しができればと思っています。
それが、日本の教育を盛り上げる一助になるのかなと考えています。
最後に

今回は、中川政七商店さんの出演されたポッドキャストの一言から、自分の働き方について考えてしまいました。
企業と学校の組織のあり方は違うかもしれません。
けれど、勉強すれば、気づきはあるなと思っています。
皆さんは、どんなビジョンをもちながら仕事をしていますか?教えてください。

教員のキャリアについてこんなことも考えています。合わせてご覧ください。
参考HP


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