ちょっと生成AIに最近ハマっていまして、何冊か本を読んでいます。
そこで橋爪大三郎先生が生成AIに関しての本を出しているのが目に止まったので、早速読んでみました。
橋爪先生のことを初めて知ったのは、こちらのPodcastからでした。
履歴についてはこちら。
しっかり考えを持っている方なので、もう少し、橋爪先生の著書を読んで勉強したいところです。
さて、この本をベースに、これからの社会について考えてみましょう。
生成AIは産業革命以後の大転換 中間管理職はいなくなる。
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人類の大きな転換は産業革命である。
イギリスで起きた産業革命は、仕事を機械化し、生産効率を大きく上げた。
いわゆる労働者の仕事はどんどん機械に取って代わられ、ブルーカラーの仕事は低賃金になってしまっている。
そして、現在は第一次・第二次産業の就労人数の割合は減り、第三次産業の就労人数の割合が大きく高まった。
それは、人へコミュニケーションをとりながら行うサービスというのは、なかなか機械にとって変わることができなかったからだ。(ただ最近は、配膳ロボなどもよく見かけるようになった)
また、マネジメントを司る管理職と言われるものもなくならなかった。
会社の経営方針を考えるのも、人事や経理を司る仕事も機械はできなかった。
だから、管理職は労働者と比べると、数倍から数十倍の給与を得ていた。日産の元社長のカルロス・ゴーンのようにその傾向はさらに顕著である。
しかし、生成AIに管理職の仕事が取って代わられる可能性があるというのが、本書の主張であった。
生成AIに人格はない、方針もないと言われる。それが管理職はできないのでは、と思うのは当然だろう。
そこで、社長や取締役は人間が行う。最終決定は人間が行い、決定に対して責任を持つ必要があるからである。
社長と労働者の間。つまり、課長や部長のような中間管理職が生成AIになるのはどうか?というのが提案だった。
生成AIは、膨大な文章を読み込み、質問に対して、妥当そうな回答を出すのが基本的なシステムである。
これを大規模言語モデル(LLM)という。
今までは、ネットにある記事を大量に読み込ませていたが、会社で使っていた文章を全て生成AIに読み込ませたらどうか。
そうすれば、その会社の全てを知っている(まさに、新卒から定年まで一つの会社に勤めたサラリーマンよりもはるかに知っている)会社員の誕生である。
そして、そのAIに3つの人格(慎重な性格・新規開拓などを積極的に進める性格・今までの傾向を大切にする性格)を与えて、あるテーマについて議論をさせる。
例えば、新規営業案件の条件整理だったり、来年度に向けての経営方針戦略など。
社長や、取締役は、生成AIの議論を叩き台に最終調整をして、会議の決定を下す。
AIは議論をいつでも休みなく行なってくれるので、社長の会議の前には、あらかた意見は出揃っている。それを調整・判断すれば良い。
つまり、これからは現場と社長という2つの構造になり、組織がシンプルになるという主張であった。
これは、学校の世界に似ている。
いわゆる担任や授業を教える「現場の先生」を教頭・校長の「管理職」がまとめる。
ただ、現場と管理職の間に生成AIが入り、適宜、生成AIがパイプ役になり、業務を整頓してくれるようになるのではないかという主張だった。
さて、ここから私見である。
もしそうなったら、会社や社会の構造は大きく変わる。
たとえばシステムエンジニア。彼らは、現場は35歳までと言われている。
35歳になったら、管理職に回され、システムを管理・構築するのではなく、人間を管理しなくてはならない。
それを苦に感じる人も少なくない。管理職は罰ゲームなんて言われるくらいな時代である。
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生成AIは仕事を自由に選ぶためのツールになるのかもしれない。
管理職の仕事は、人間の管理だけではなく、日々のルーチンワークも多い(書類作成など)。
少なくともそれを軽減してくれるツールには絶対なると思う。(私も、日々のメール作成・行事のお知らせのような定型分の文書作成は生成AIに任している。時候の挨拶もきっちり入れてくれて、重宝している)
ここまでは、自分も会社員として勤めたことがないので、なんとなくそうなるだろうなという程度である。
次は、自分の働いている学校について考えてみよう
学校は生成AIが入るとどう変わるか
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橋爪先生は、学校教育の特徴を以下のようにまとめていた。
- 子供達を、年齢ごとに、学年にまとめる。
- 子どもたちを、数十人ごとに学級にまとめる。
- 子どもたちに、学年ごと、科目ごとの教科書を与える。
- 教員は、教科書に従って、学級の全員に同じ進度で授業を進める。
- 子どもたち、一人ひとりが十分に理解したかは、考慮されない。
ー橋爪大三郎(2024).『上司がAIになりました』.P148
そして、これは、西洋式で極めて歪であるということも述べている。
日本では江戸時代に寺子屋がある、各生徒の現在の能力や習得率に応じて個別に学習をしていた。
ただ、明治時代の文明開花のおりに、西洋式の学校をそのままシステムとして日本に入れてしまったため、こんな形になった。
その反動か、今の教育のトレンドは『個別最適な学び』である。
こちらの記事で詳しく述べたので、まずはそちらを読んでほしい。
上記の記事で紹介した本も、今回の本も生成AIを用いることで、個に応じた学習を生徒自身が取り組むことができるようになるということ述べていた。
本書はさらに「ただし、プレゼンや討論、校外学習、実験など集団で行なった方が良いものは積極的に行うべき」ということが述べられていた。
ここからわかるのは、座学は、生成AIにまかせて、実験や、行事などの体験的活動を学校が担っていくべきということである。
今すぐ学校としてできることであり、可能性があるのは、家庭学習で生成AIを使えるようにしていくことだと私は考えている。
それは、生成AIをもう少し学習に特化したアプリを用意すること(これは、ぜひ文科省にやっていただきたい)。
それと、その使い方を学校で指導することだ。
以前生成AIの得意なこと・苦手なこと、そして、実際に命令文を組み、色々調べ物をしてみた。
ここから学んだことは、高校レベルまでの教科書レベルのことなら基本的には生成AIが教えてくれる。
しかも、小学生でもわかるようにと指示をすれば、上手に捨象して教えてくれるということである。
たとえば、Copilotにこんな指示を出してみよう
小学生にもわかるように、三平方の定理を説明して
三平方の定理
三平方の定理(ピタゴラスの定理ともいいます)は、直角三角形(1つの角が90度の三角形)に関するルールです。この三角形には3つの辺があります:
- 直角をはさむ2つの辺(「隣り合う辺」)
- 一番長い辺(「斜辺」)
この定理によれば、隣り合う2つの辺の長さをそれぞれ二乗(長さを自分自身で掛け算)して、その和(足し算)をとると、その和は斜辺の長さの二乗と等しい、ということです。
例
簡単な例で説明しますね。
- 直角三角形を考えます。
- 直角をはさむ2つの辺の長さが3cmと4cmとします。
- この辺の長さを二乗すると、
- 3cmの二乗: 3 × 3 = 9
- 4cmの二乗: 4 × 4 = 16
- 二乗の和を足すと、9 + 16 = 25
- これが斜辺の二乗の長さと等しいということです。
- 斜辺の長さは、√25 = 5cmです。
式で表すと、a2 + b2 = c2
aとbは直角をはさむ辺の長さ、cは斜辺の長さです。
この定理を使えば、直角三角形の辺の長さを求めることができてとても便利です。興味があれば、他の例でも試してみてくださいね!
2乗って何?
6.に出てくる記号(ルート)もわからない
と追加で質問して、二つの答えが返ってきた。
わかりました!小学生向けにもう少しやさしく説明しますね。
先ほどの説明で出てきた「25の前の記号」は、「平方根(へいほうこん)」と呼ばれる記号です。この記号は、「ある数を掛け算して、その結果になる数を求める」という意味があります。
ここで、二乗の説明をやさしくしますね。
二乗とは?
二乗は、同じ数を2回掛け算することです。たとえば、
- 3の二乗は、3 × 3 = 9
- 4の二乗は、4 × 4 = 16
平方根とは?
平方根は、ある数を二乗して、その結果になる数を見つけることです。先ほどの例でいうと、
- 9の平方根は、3(3 × 3 = 9)
- 16の平方根は、4(4 × 4 = 16)
三平方の定理の例(やさしく説明)
- 直角三角形を考えます。
- 直角をはさむ2つの辺の長さが3cmと4cmとします。
- この2つの辺の長さを二乗すると、
- 3cmの二乗: 3 × 3 = 9
- 4cmの二乗: 4 × 4 = 16
- 二乗の和(9 + 16 = 25)を足します。
- ここで「平方根」を使います。25の平方根は5(5 × 5 = 25)なので、斜辺の長さは5cmです。
これで、よりわかりやすくなったでしょうか?何か他にもわからないことがあれば教えてくださいね! 😊
平方根をわかりやすく説明しますね!
平方根は、ある数を掛け合わせてその数になるときの元の数のことです。たとえば、9の平方根は3です。なぜなら、3を2回掛け合わせると9になるからです(3 × 3 = 9)。
もう少し例を挙げてみます:
- 16の平方根は4です。4 × 4 = 16です。
- 25の平方根は5です。5 × 5 = 25です。
平方根を示す記号は√です。たとえば、9の平方根は「√9 = 3」と表します。√の記号の読み方は「ルート」といいます。
簡単に言うと、平方根は「ある数を2回掛けたら元の数になる数」のことです。
これで理解しやすくなったでしょうか?もし他にも質問があれば教えてくださいね! 😊
学校で先生から学ぶ。わからなかったら、忘れてしまったら生成AIを使って質問する。
教科書でわからないところを調べるよりも、聞けば答えてくれるので、楽ちんである。
わからなかったら、何度も付き合って例示をして教えてくれる。
嫌な顔もしない。わかるまで教えてくれる。
今まで家庭教師で週1だったことが、タブレットひとつあれば、いつでもただでできる。
これで経験を積んで、学校に持ってくれば、学校の学習でも変わってくる。
変わらざるを得なくなる。
今は1人一台タブレットが開放されている。また、先に進みたいという子どもは、生成AIとともにどんどん勉強をしていくと良い。
学習アプリの開発を待たなくても、ChatGPTなりCopilotを入れれば、それで明日からでもできる。
文科省は、生成AIの利用に慎重だ。
ただ、学習は誰のためにやっているかをよく考えよう。
計算を生成AIにやらせて、テストで点が取れるだろうか?
作文を生成AIにやらせて、試験の小論文や面接を突破できるだけの語彙力がつくのだろうか?
学習は学習者のためのものである。
学習者がこれから生きていく上で身につけるために必要な力を養うために、学習をするのである。
だから、生成AIの使い方や、なぜ使うのかを指導をすればいい。
それでも生成AIをズルに使うようだったら、本人がどこかで困るだけである。
進級試験制度を取り入れる
どうしても心配だったら、義務教育にも、進級試験を取り入れ、留年制度を取り入れればいいと思っている。
学習内容をわからず進級するよりも、ずっとその子のためではなかろうか(もちろん日本社会は簡単に受け入れないだろうが。)
ちなみにその点を聞いたところ、生成AIに聞いたところこんな回答だった。
留年が学力向上に寄与するかどうかについては、国や地域によって異なる結果が見られます。いくつかの研究では、留年が短期的には学力向上に寄与することが示されていますが、長期的な効果については議論の余地があります。
例えば、OECDの調査によると、留年制度を採用している国々では、留年した生徒が一時的に学力を向上させることがある一方で、長期的には社会経済的に恵まれない生徒が留年しやすく、学力向上の効果が限定的であることが示されています A。
また、留年制度の効果は、教育システム全体の質やサポート体制にも依存します。例えば、留年後に適切な学習支援が提供される場合、学力向上の効果が期待できる一方で、支援が不十分な場合は逆効果となることもあります。
したがって、留年が学力向上に寄与するかどうかは、個々の教育環境や支援体制によるところが大きいと言えます。
他に気になる点や、具体的な国の事例について知りたいことがあれば教えてください。
学力と貧困は相関関係があるらしい。
貧困をうちやぶるために、生成AIがあれば、ここはカバーできる。
さらに留年へのサポートこそ学校のカバーするべきところだろう。
今は不登校生徒が過去最多である。生成AIで勉強ができたら、助かる人も増えてくるだろう。
少なくとも、学力が低いからと学習塾に入れられて、学校と塾の2重の苦しみにいるなら、学校でもう1年勉強するくらいの方が今後のためになるのではないだろうか?
最後に
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前回までは、AIの使い方や、学習に革命が起こるという本を読んできた。
この二つは、「企業」や「学習法」についてどう変化をもたらすかが述べれていたが、社会がどう変革されるかまでの予想は書かれていなかった。
少なくとも、人口減少・人手不足が叫ばれる日本では、生成AIをうまく活用することで新しい地平が見えそうである。
生成AIのすごいところは、今までのAIよりも万能なところだ。
文書作成はもちろん、タスクの整理から、学習相談までなんでもアドバイスをくれる。
今後さらにプラグインなどが充実し、今持っているスマホのOSは基本生成AIをベースになり、そこにアプリを追加して、生成AIベースのスマホが出る時代も来るのではないかとも予想する。
実際に、生成AIと疑似恋愛できるサービスも出てきているくらいだ。
生成AIがスマホと同じように隣にある。ポケットにある存在になるのは、もう直ぐかもしれない。
その中で、教育者としてどうこの社会の変化に対応し、より良い教育を目指すべきか、よく考えなければならない。
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参考文献・参考HP
参考文献
参考HP
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