「蛍雪の功(けいせつのこう)」
苦労して学問に励むこと、またはその成果を意味する故事成語です。
これは、中国の晋(しん)の時代に活躍した車胤(しゃいん)と孫康(そんこう)のエピソードに由来しています。
2人は官吏を志望していましたが、家が貧しく灯油を買うこともできませんでした。
そこで車胤は夏に蛍を集めて、孫康は冬に窓辺の雪の明かりで勉強し続けました。
この努力が報われ、のちに高級官僚に出世しました。
とにかく、休まず勉強することが、学力アップのコツと思われがちですが、今はそんなことはありません。
近年は「パワーナップ(効果的な昼寝)」という言葉もあり、生産性アップのテクニックとして広く知られるようになってきました。
Googleやナイキといった企業も昼寝を推奨していますし、学校でもお昼寝タイムが設定されて話題になったこともありました。
今日は、昼寝と学習の関係性と、成果のあげかたを紹介します。
昼寝の長さと脳の休まり方
研究によると昼寝の長さで効果が変わってくるようです。
10~20分の昼寝:認知機能の向上に役立ち、集中力や生産性がアップする。
30分の昼寝:浅い眠りの状態の入るため、疲労の回復などにも効果が出る。
40~60分の昼寝:データ不足の段階だが、全身がリフレッシュし、一旦下がった脳機能が元の状態に戻る。
まだまだ、追加の検証は必要ですが、昼寝することで、「下がった集中力や体力を戻す。」「ボーっとして集中できない状態を回復する」効果は間違いありません。
だらだらと眠い中勉強して頭に入らないなら、思い切って「昼寝」することは効果的なのdす。
昼寝を組み合わせた勉強法
昼寝+ご褒美でさらに学習定着率アップ!
昼寝をするだけで、脳の機能が回復することがわかりました。
さらに、自分へのご褒美を組み合わせることで、さらに学習が定着しやすくなる方法を紹介します。
やり方は3ステップ
- 勉強したあとに昼寝する
- 起きたら、昼寝前に学んだ内容をテストする
- テストの目標点を決めておいて、達成できたら自分にご褒美をあげる
たったこれだけで、格段に勉強の成果が出やすくなります。
これはジュネーブ大学が効果を確かめた手法で、「記憶力のテストに正解すれば賞品がもらえる。」と言われた被験者グループは、「成績が良くても何ももらえない。」と言われた被験者のグループより正解率が高くなっていました。
さらに3ヶ月後にすべての被験者へ抜き打ちテストを行ったところ、やっぱり「記憶力のテストに正解すれば賞品がもらえる。」と言われた被験者グループのほうが高得点を出したのです。
昼寝に報酬を組み合わせれば、その場の物覚えが良くなるだけでなく、長期の記憶として浸透しやすくなるわけです。
ご褒美は、「お菓子や漫画を買って食べる」、「ゲームで遊ぶ」など、ささやかだけどワクワクするようなものをおすすめします。
実験では90分の昼寝を指示していますが、5~10分の昼寝でも効果があったことを別の実験でも示されています。
自分の疲労度などを考えて、昼寝時間を設定するとよいでしょう。
「やる気の出るご褒美」については、こちらの記事で詳しく書きました。合わせてご覧ください。
ポモドーロ的時間管理+報酬付き昼寝でさらに効率アップ!!
「ポモドーロ」とは、集中力アップの効果が高い定番の時間管理テクニックです。
「25分だけ集中勉強→5分休憩」のサイクルを繰り返していくのです。
ポモドーロにメリットは、集中力アップに効くだけでなく、「意識して物事に集中する能力」と「何も考えない能力」の2つを高めてくれるところです。
さらに、ここで昼寝を加えます。
25分じゃなくても、集中が続くなら、40分でも90分でも構いません。
個人的には、自分の通っている学校の1時間の授業と休み時間に合わせるの慣れているのでが良いと思っています。
私の学校は「40分授業→10分休憩」なので、このサイクルで以下のような学習サイクルを組み立てます。
- 40分だけ勉強し、その間に学んだことを後でテストできるようにクイズ化しておく
- 10分の昼寝をする
- 目が覚めたら、先程作ったテストを解いて、高得点がでたら、ご褒美を自分に与える
大事なのは、しっかり集中したあと、脳を休ませることです。
この基本さえ押さえていれば、どんな勉強法と昼寝を組み合わせても効果が出るでしょう。
こちらの記事では、「ポモドーロ勉強法」を支えるグッズを紹介しています。合わせて御覧ください。
何もしないでボーっとするだけでOK(ウェイクフルレスト)
中には昼寝が苦手な方もいるでしょう。
ベッドに入ってもなかなか寝付けないという人もいます。
ただ、完全に眠りに落ちなくてみ、目を閉じただけで十分に効果は出ます。
ある実験では、被験者は短い小説を2本ずつ読んだあと、2つのパターンで休憩を取りました。
- 何もしないでボーっとする
- 本の内容とは関係ないゲームで遊ぶ
この何もしないでボーっとするのが「ウェイクフルレスト」です。
この実験では、被験者は暗い部屋で10分だけ目をつぶるように言われましや。
その間は何を考えても問題なく、「ゆっくりすることだけ」を指示されました。
その後、被験者に「できるだけ細かくほんのストーリーを思い出してください。」と指示をしたところ、「ウェイクフルレスト」を行ったグループは記憶の定着率が10%も高い傾向がありました。
暗い中でゆっくりすることは、新しい情報を脳にいれる必要がありません。
つまり、脳の処理が「覚えることだけに集中できる」のです。
こうして、ウェイクフルレストが脳の記憶を手助けしてくれることになるのです。
「目を閉じて休む」のは一見して無駄な時間と思われがちですが、休憩中でもしっかり脳は働いています。
それどころか、他のことをしているよりも豊かな精神活動を続けているのです。
目まぐるしく情報が飛び込む現代において、あえて「休む」ことは、記憶するうえでとても大切なのです。
最後に
今回は、昼寝の有効性と、昼寝を組み合わせた「ポモドーロ勉強法」について記事にしました。
- 昼寝をすることで、落ちた集中力や疲労感を回復。
10分~30分までが効果的 - 「40分集中して勉強→10分昼寝→ご褒美付きのテスト」で効果バツグン
- 寝れなくても、目をつぶっているだけで効果あり!
この3つを押さえて、バリバリ勉強をしていきましょう。
参考文献
Kinga Igloi et ai.(2015)A nap to recap or how reward regulates hippocampal-prefrontal memory networks during daytime sleep in humans:Neuroscience
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