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【働き方改革】もし学校の先生が「もしも高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」を読んだらその2 「ついに教師がポイコットをした」

働き方改革

さて、その1では、学校という組織を定義した。

顧客とは何かを考えることで、学校という組織の定義が明確になるからだった。

顧客は、「児童生徒」はもちろん、「保護者、地域、また学校に従事する教員すべてが顧客である」と考えた。

そこから学校という組織は「児童生徒の成長を促す」組織であると定義をすることで、学校という組織が多方面にわたって良い影響を行き渡らせることができるのではないかということを述べた。

ただ負の側面として、現在学校に対する社会の要請が多く多面化しており、手が足りていない、ブラックな職場になっているいうことも書いた。

文科省では、教員の働き方改革という御旗の下、教員の魅力発信などが行われている。

本当にこれは効果的なのだろうか?

今回もドラッカーの「マネジメント」を引き合いに出して、考えてみたいと思う。

学校という組織には魅力がない?消費者運動という切り口から見てみよう。

企業の第一の機能としてもマーケティングは、今日あまりにも多くの企業で行われていない。言葉だけに終わっている。

消費者運動がこのことを示している。消費者運動が企業に要求しているものこそ、まさにマーケティングである。それは企業に対し、顧客の欲求、現実、価値からスタートせよと要求する。企業の目的は欲求の満足であると定義せよと要求する。収入の基盤を顧客への貢献に置けと要求する。マーケティングが長い間説かれてきたにもかかわらず、消費者運動が強大な大衆運動として出てきたということは、結局のところ、マーケティングが実践されてこなかったということである。消費者運動はマーケティングにとっての恥である。

ードラッカー「マネジメント エッセンシャル版」P16~P17

消費者運動とは、製品やサービスの改良を求めて、消費者が企業に働きかける運動のことである。代表的なものには、不買運動やポイコットなどがある。

さて、前回の記事で「学校」の顧客は、児童生徒・保護者・教員・地域と定義した。

それぞれが学校に要求していることを考えてみる。

児童生徒・・・学力向上、運動体力向上→進路を増やす
       楽しい学校生活(人間関係)

保護者 ・・・児童生徒の要求に加えて、「子どもの面倒をみてもらいたい(保護者の仕事など)」、「保護者同士の人間関係の調整」など。
https://www.sankei.com/article/20240922-YCIQ7IYCNJL2JNQBULLNI72AYQ/

地域  ・・・(文科省の提言によると)学校が地域のハブとなってほしい
       社会教育の核となって、地域人材の活用、生徒の安全対策を地域と連携して行う
       など多岐にわたる
https://www.mext.go.jp/component/b_menu/shingi/giji/__icsFiles/afieldfile/2015/12/21/1365116_009.pdf

教員  ・・・上記の要求に応えようと頑張っているが、人員、時間的側面から無理が出てきている。(例:勤務時間外の部活動 地域の行事の見回りなど)

つまり、学校という組織を見た上で、児童生徒・保護者・地域にとっては、消費者運動をすればするほど、さまざまなことを学校に担わせることが今まできた。

最近も、朝7時から小学校で子どもの面倒を見ている学校も出てきたくらいである。

学校開門は7時 豊中市が始めた「小1の壁」対策、多くの利用に驚き:朝日新聞デジタル
大阪府豊中市の市立小学校の校門を午前7時に開けて、児童を体育館などで見守る事業について、長内繁樹市長は5日の記者会見で、1学期の利用者が延べ約5900人だったと明らかにした。「こんなにもニーズがある…

そこで、無理が出てきた。学校という組織に魅力に感じなくなった、「教師」が現れ始めた。

児童生徒・保護者・地域の消費者運動に対して、限りなく学校は答えてきた。

よく教師はそれぞれの要求に応えてきたと思うし、今現在も応え続けているようにおもう。

ただ、ついにパンクしてしまったのだ。

教師の消費者運動として「ポイコット・成り手不足」という形でついに顕在化したのである。

教師はどれだけ残業をしても、残業代が出ることはない。

給特法の「超勤4項目」とは?教員の時間外業務と法制度の問題点│寺子屋朝日 for Teachers
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それなのに、地域の活動、部活動、その他諸々の要請に応えてきた結果、ついに誰もがなりたくないと思う、現職の教員も辞めたいと思うような職業になってしまったのである。

実際に、現職の先生の離職もどんどん増えてきている(下リンク参照)

教員離職率1%未満の危機:10年で退職1.8倍、若手は3.8倍増 - 変わる日本の教育現場
日本の教員離職率は0.93%と驚異的な低さを維持し、一般企業の15%と比べ際立つ安定性を示しています。しかし、この10年間で普通退職者数は1.8倍、25歳未満の若手教員の退職は3.8倍に急増。初任者の早期離職が教育現場に及ぼす影響と、低離職...

https://www.mext.go.jp/content/20240321-mxt_chousa01-000030586_1.pdf

ちなみに、私の卒業した教員養成系の大学の偏差値も、10年たった今、5ポイント下がっていた。

残念ながら、それだけ先生になりたいという人が減ってきているということがわかる。

教師のにポイコットに応えるために

教師の消費者運動に応えるには、次のような対策が考えられる。

  • 賃金の上昇
  • 職業範囲の明確化
  • 分業制(教科と担任業の分割 部活動の切り離し・専門家)の導入

賃金の上昇

賃金の上昇については、令和5年度の閣議決定で、段階的に引き上げられることが決まった。

ただ、2025年度からは教員調整額を1%上昇させ、5%に。2030年度までに段階的に教員調整額を10%にするという指針が出た。ただ、残業時間に比べれば雀の涙である。

教職調整額を約50年ぶりに引き上げ、中学校は35人学級を実施
2024年12月24日、阿部俊子文部科学相は臨時記者会見を行い、加藤勝信財務相との予算折衝で正式合意した「教員の処遇改善と教育環境の改革に関する施策」を発表した。主な内容として、給特法の改正による教職調整額の引き上げや中学校での35人学級の...

さらには、残業の規制がないので、給料が上がった分、さらに仕事をやらされるという事態が起きるかもしれない。

給料を上げるのは大切だが、それよりも地域や保護者に担わされてきた様々な仕事を厳選できるようにする整備が必要である。

職業範囲の明確化

何度も述べるが、学校には地域や保護者からの消費者運動という形で、さまざまな仕事がふりかかってきた。

もちろん地域の付き合い、保護者の付き合いは大切である。ただ、限界にきてしまったのだ。

今こそ「学校」は何をするべき組織なのかを線引きしなければならない。

ドラッカーの「マネジメント」に、まさにそれそれ!という一説があった。

実は、規模についての最大の問題は組織の内部にあるのではない。マネジメントの限界にあるのでもない。最大の問題は、地域社会に比較して大きすぎることにある。

地域社会との関係において行動の自由が制約されるために、事業上あるいはマネジメント上必要な意思決定が行えなくなった時には、規模が大きすぎると見るべきである。地域社会に対する懸念から、自らその事業に害を与えることが明白なことを行わなければならなくなった時には、規模が大きすぎると見るべきである。

ードラッカー「マネジメント エッセンシャル版」P243~P244

地域社会との付き合いによって、学校の必要な意思決定がまさにできなくなってきてるいる。

具体的に言えば、部活動をやめられない、地域のお祭りの見回りをやめられないなどである。

学校もついに、限界に来てしまったのだ。今こそ、「職業範囲の明確化」が迫られているだろうと考える。

たとえば、私の家の前にはある中規模の工場がある。

その従業員たちは、地域の資源回収に参加しているだろうか。していない。

その工場は、地域のスポーツクラブの顧問を業務として引き受けただろうか?していない。

お祭りの見回りをしただろうか?していない。

工場だから、製品を作って、売って、利益を出す。工場の定義は明確である。

地域の付き合いは、地域のお祭りとかのスポンサーになってくれるくらいである(もちろんありがたいが)。

市役所職員だって同じである。同じ公務員なのに、別地区の資源回収などに動員されることはない(あったら教えて)

学校という組織は、とにかくいろんなところに足を突っ込んで、ついに必要な意思決定ができなくなってしまった。

児童生徒の成長のために学校のできることは何か?線引きをしなけれならない。

分業制の導入

働いてみるとよくわかるのだが、授業を教えて子どもを見ること、担任として子どもを見ることは、似て非なる技術が必要である。

詳しくは、こちらの記事をご覧いただきたい。

工事中

担任と教科教育を同時に担っているからこそ、教師の仕事を難しくさせている。

それに、地域や保護者の担うべき仕事まで引き受けてきたのだがらパンクして当然である。

理想の学校の組織編成は、担任として、学級活動・総合的な学習・道徳・行事・生徒指導など児童生徒を見る「担任専門の先生」と、教科教育を中心にして行事などのバックアップする「学習指導専門の先生」と分けて学校の業務を分業化することではないかと考えている。

そうすれば、多様で有能な人材を取り込める組織になるのではないかと考えている。

最後に

今回は、ついに学校という組織は「教師」のポイコットにより、にっちもさっちも行かなくなっている状態になっているのではないかと話した。

その対策として、

  • 賃金の上昇
  • 職業範囲の明確化
  • 分業制(教科と担任業の分割 部活動の切り離し・専門家)の導入

が必要ではないかと述べた。

一部は進展したが、まだまだ改善まで至っていないのが現状である。

さて、次の記事では、イノベーションを切り口に、これからの学校という組織に求めることを述べる。

今一度「児童生徒を成長させる組織」として何が必要かを考えなければならない。

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