子どもをみていると、気になる子いますよね。
さらに細かくみると、気になる子の気になる行動が気になりますよね。
気になる行動が少なくなると、クラスのみんなが幸せになります。
教師としてどう対応していくと良いのでしょうか。
⇓前回の記事⇓
気になる行動とは
例えば…
- かんしゃくやパニック
- 自傷
- 他害
- 離席して立ち歩く
- 友達との距離が近すぎる
- 友達とトラブルになる
- 切り替えが苦手
- 集中力が続かない
- 身の回りの整理が苦手
- その場に合わない発言をする など
いわゆる問題行動そのものではなく、支援が必要な場面や子どもの気になる姿を含めて「気になる行動」とまとめてみました。
気になる行動についての基本的な考え方
気になる行動がある場合に、危険なことや人に迷惑をかけてしまうことはその場で静止することが必要になります。
しかし、静止してその場はいったん収まっても、似たような状況になれば再びその行動が起こります。
それ以外の行動であっても、環境や状況が変わらないと、同じような場面で同じような行動が現れます。
教師が関わり方を変えたり、環境を調整したりするなど、支援の手だてを考えていく必要があります。
行動の背景に着目する
気になる行動をみせる子どもを目の前にしたときに、教師は(その子の発達段階や性格や障害特性などを知っていることが前提で)「なんでこのような姿なのかな…」「どうしてこんな行動をするのだろう?」と考えていく(=行動の背景に着目する)ことが大切です。
実際に目に見えている行動だけでなく、本人の性格や特性、今までの経験や気持ち、そして環境などを総合的に考えていくことで、支援の手だてが考えやすくなります。
氷山モデル
子どもの特性や理解をするために、氷山モデルというものがあります。
行動として、表に出るのは氷山の一角である。
その行動の背景には、海の下にある氷の部分、つまり目に見えない本人の特性や、環境や経験などから問題行動が現れるという考え方です。
詳しい理論については、こちらの記事がとても参考になりましたので、ご覧ください。
氷山モデルで考えるためのワークシートもあるので、おすすめです。
問題行動を度々起こす場合、そこには2つの要因が考えられます。
一つ目が本人の特性や理解です。
- 障害特性
- 発達段階
- 理解していること、できていること
- 物事の認識のしかた
- 好きなこと、得意なこと、苦手な子と
- 人とのかかわりの状況
がどうなっているかが一つキーワードになります。
2つ目が、環境や状況です。
対象となる行動の起こりやすさに影響があると考えられる周囲の環境や状況ができて上がっているかもしれません。
- 部屋やスペースなど、空間的なこと
- 物に関すること、人に関すること
- スケジュールなど、時間に関すること
この2つが相互作用で問題行動が起こると考えられます。
氷山モデルを使い方
- 気になる(問題となる)行動を決める
- 本人の特性や理解について考える
ー 環境(空間、もの、人、時間など)について考える - 仮説を立てる
ー 2の行動の背景を手掛かりに、なぜ1の行動になるか仮説をたてる - 仮説に基づく、具体的な支援を考える
ー 3で考えた仮説を基に支援を考える
ー 場当り的な解決策に飛びつかない
氷山モデルを使用した一例(スーさんの娘の体験をもとに)
事例
2歳の女の子
気になる行動:気に入らないことがあると、相手をたたいたり、かみついたりしてしまう
具体的な場面:他の子が使っているおもちゃを取ってしまい、取り返される。その後、泣きながら相手をたたいた。
この問題について考えてみましょう。
状況の整理
上記のステップ2、本人の特性や理解と、環境や状況について整理してみます。
<本人の特性や理解>
- 言葉で自分の気持ちを伝えるのが難しい(年齢)
- 状況や他社の気持ちや糸をくみ取るのは難しい(年齢)
- ふれあい遊びが好き
- 大人数で遊ぶことに慣れていない
<環境や状況>
- 教室内は、園児20人と担任保育士が1人いる
- 遊びの種類別に場所が区切られている。
(おままごとコーナー、ブロックコーナーなど) - 外遊びの後の自由時間に起こった。
自分が、娘の担任だったら、どう対応するのでしょうか。
仮説を立てる
自分の気持ちを認識したり、言葉で使えるのが難しい。
本人ができる行動(噛みつく)で、嫌というきもちを 伝えようとしていたかもしれない。
また、友達におもちゃを取られたという状況が理解できず混乱や不安になっていたのかもしれない。
大人数で遊ぶことが(保育園入園までなかったから)経験が少なく、おもちゃが自由に使えないという状況になれていないのかもしれない。
仮説に基づく支援を考える
- 娘の気持ちを保育士が代弁して使えるようにする
- 言葉以外でも本人が気持ちを伝えられる手段を考える(絵の描いたカードを用意など)
- 混乱しやすい場面では、支援者がそばに就て、状況を説明するなど、状況を理解しやすくなる工夫をする
- 本人がどんな遊びが好きかを把握し、他の遊びに誘うことで、興味の幅を広げられるようにする
こんな感じで、トライしていきます。
上手くいかなかったら、仮説の立て直しです。
周りの先生と協力して、子どもを見ていくことで、状況を整理し直し、仮説をもう一度立てます。
トライ&エラーのなかでベターな方法を探っていきます。
このトライ&エラーの中で、われわれの教師力が磨かれていきます。
うちの場合、先生と何回も話し合いながら、上記のような手だてを作っていきました。
だんだん友達にかむことは少なくなりました。
家庭では、私をかみまくりましたが…
環境が違うと、手だてを変えなければならないと改めて感じました。
きっと、親だと甘えもあってかんでしまうんでしょうね。
気になる行動を考えるときに大切なこと
それは、「良い行動に目を向け、褒めていくこと」です。
そうすることで、子どもは自信をもち、どんどん良い姿になっていきます。
くわしくは、こちらの記事に書きましたので、ごらんください。
まとめ
今回は気になる行動への対応の仕方について考えてみました。
- その子の特性の理解と、環境について把握をする
- 仮説を立てる
- 仮説を基に支援を講じる
- 良い行動を褒めると、問題行動は減っていきます。
どんな学級でも大切にしていきたいことですね。
時折、見直していきたいですね。
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