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【社会 公民】ポスト資本主義を探して ー「アフターバブル 近代資本主義は延命できるか」(小幡績)を読んでー

教育

トランプ大統領が、相互関税を発表し、2025年4月4日から株価が急落しています。

米相互関税の凄まじい威力、S&P500種約730兆円を失う トランプ氏、国民に「踏ん張れ」(ロイター) - Yahoo!ニュース
米国への全ての輸入品に一律10%の基本関税を課す措置が5日発効した。5日から関税が徴収されるようになったのは一部の国が対象。第2次大戦後に築かれた相互合意に基づく関税制度を、全面的に否定する姿勢を明

アメリカが世界の警察であることをやめ、大統領がトランプ大統領の2期目に入り、世界に「deal(取引)」を迫る形がいっそう強くなってきています。

中国は力を伸ばしてきていて、世界の覇権を握ろうと躍起になっています。

そんななか、日本はどっちつかずな政治をしています。

石破政権になり、中国迎合するような政策が多くなっています。

中国人向け10年観光ビザを新設 岩屋毅外相、北京で表明 - 日本経済新聞
【北京=馬場加奈】岩屋毅外相は25日、訪問先の北京で中国人向けの査証(ビザ)発給に関する緩和措置を表明した。富裕層向けに10年間有効な観光ビザを新設し、団体旅行で取得するビザは滞在可能な日数を30日に延長する。日中間の経済・人的交流を拡大す...

かたやトランプ大統領の強引な政策に右往左往している様子も見て取れます。

石破首相 トランプ大統領と電話会談 担当閣僚が関税協議継続へ | NHK
【NHK】アメリカの関税措置をめぐり、石破総理大臣は7日夜、トランプ大統領と電話で会談し、担当閣僚を指名して協議を続けることで一致…

これからの日本社会はどうなってしまうのか心配です。

かたや、最近では、資本主義も限界ではないか?ということも考えてしまいます。

コロナ禍で、政府はお金をばらまきました。

その反動あ、コロナの終息宣言が出され2年ほどたった今、政府はどんどん税金を増やしています。

このままで本当に大丈夫なのか?不安になってしまいます。

資本主義に続く新しい社会制度が必要なのではないかと感じて、図書館に行ったところ、こんな本を見つけました。

発刊は2020年9月。ちょうど、コロナの緊急事態宣言が終わったころに発売されました。

ここでは、その後の日本政府の動きはこうではないか?という予想がたくさん書かれていました。

この記事を書いている2025年の4月、本に書かれていることが、そのとおりになったのか見てみましょう。

「アフターバブル 近代資本主義は延命できるか」の未来予測

10万円給付は大間違い

この本では、10万円を全国民に配るということを痛烈に批判をしていた。

安倍内閣はなぜ「一律10万円」を受け入れたのか
――「減収世帯に30万円」が一転して「一律10万円」に変わりました。閣議決定までされた補正予算案が組み替えられるのは初めてのことで、異例の事態と言えます。実は、もともと自民党内には条件をつけずに一律に給…

10万円配られる対象は、貧しい人はもちろんだが、生活に困っていない人にも配るということを批判している。

コロナで経済が回らなくなった原因は、いままでの天災によるものとは大きく違うからである。

例えば、東日本大震災。

大地震と大津波によって、工場、店などのモノを作る、売る場所がなくなってしまった。

もちろん、多くの人命もなくなり、需要が喪失してしまったのである。

物を作る・売る場所も、買う人もなくなってしまったのだから、経済がうまくいかなくなるのは当然である。

逆にコロナの場合を見てみよう。

これは、国や、地方自治体が「自粛を要請」し、その結果、店が休業する。

店が開いていないので、モノが回らない。よって工場の休業する。

経済がまわらなくなるのである。

けれど、震災のときとは大きな違いがある。それは、店を開こうと思えば、今日にでも開けるし、工場も再開できるのである。

人間の命も、インフルエンザの流行と比べれば、死亡者は少ないのである。

つまり、作る・売る場所もあり、買う人もいる。政府は自身で、自粛を要請し、経済を立ち行かなくした。

そしてその保障として、10万円を配ったということである。(本では、地方自治体の首長が自身の選挙のために自粛要請した。その保証を政府に丸投げしようといたが、政府はお金を配ることをしなかった。ただ、世論に押されて最後は配ったと紹介していた。)

生活の困っていない人に配ったお金は、使う場所もなく、株に流れた。

それが株高につながったというわけである。余裕のあるものは、更に富み、貧しいものを助けるという名目はどこ吹く風?という結果になってしまったのである。

保障は、企業の大切な雇用者に向けて

企業が倒産することも話題になったが、そもそも、コロナで倒産するなら、今後の成長が見込めない企業である。

例えば「Gotoキャンペーン」と銘打って、観光産業を救うため政府はたくさんの金を投入した。

けれど、観光は基本的には1回行って終わりである。

ここに成長要素はないと本では語られていた。

確かに自分もよっぽど気に入った場所ではない限り、そう何度も観光に行ったりはしない。

自分も(コロナ関係なしに)沖縄や北海道に家族旅行で行くとしても、子どもが大きくなるまでに1回行けばいいかなという感覚である。

コロナショックで、中小企業がたくさん潰れたが、その半分以上は社長が高齢でいつ会社を畳もうかと思っていた。そこで、コロナが来たので、会社を畳んだのである。

コロナ直接のが原因で企業が潰れたという事例が実は少ない。2割にも満たないとのこと。

もっとお金を導入するべきは、コロナを乗り越え、さらに強くなった会社を支援することだ。

そんな成長力のある会社に力を入れるべきだし、乗り越えられそうな企業が、社員をリストラをするなら、それに対して保障をし大事な人的資源の流出を防ぐのが大切というのが、この本での主張だ。

実際に観光産業は、今では、インバウンドに力を入れることで延命を図っている。

最近、浅草に観光で行ったが、日本人よりも、外国人観光客の方が明らかに多かった。

東京のドラッグストアは、中国人でごった返していて、レジを打ってもらうのにも一苦労だった。

なぜ政府はインバウンドに力をいれるかを考えると、国内の観光需要は「Gotoキャンペーン」で出し尽くしたので、今度は外国人を使って、資本を注入しているのだろう。

けれど、日本人でさえ「Gotoキャンペーン」が終われば観光需要は落ち着いたのだ。外国人によるインバウンド観光バブルも10年と持たないのではないかと思っている。

なぜ、政府は間違いをおこすのか

さて、紆余曲折したが、核心である。

なぜ政府はこんな陳腐な策ばかり取るのだろうか。(おかげで、私達は税金が上がり、物価も上がり、ヒーヒー言っている。給料は上がらない)

それは、資本主義のシステムに問題がある。

バブルが弾けると、大量のお金(前回だったら、Gotoキャンペーンや、10万円給付)を投入し、新たなバブルを起こす。

投入するお金は、国債を使って、将来へのツケへと回す。

新しいバブルが弾ければ、さらにお金を投入して、新しいバブルを作る。

ただ、お金を投入するのも限界がある。今は小手先の技(例えば日銀の量的緩和など)を使ってなんとか延命を図っているのである。

政府が財政破綻をするのも間近ではないかと本では語っている。

アメリカが良い例だろう。結局は、アメリカ社会を存続させるために、世界の警察であることをやめ、自国第一主義に走っている。

ヨーロッパでは、イギリスがEUから抜けてしまった。

結局は、自国の経済がうまくいかなくなり、他の国にまで気を回せなくなってしまったからである。

例えば、イギリスは図書館や公民館など、公共施設を維持できなくなりバンバンに閉鎖している。

それだけ、政府に余裕がないのだ。その空気は、ブレイディみかこの「ぼくは、イエローでホワイトでちょっとブルー」という本で垣間見れる。

資本主義や、政治の形が限界に来ていると言える。

「ポスト資本主義をさがせ」資本主義に変わる社会構造の導入を

さて、このように経済が立ち行かなくなってきたときに、「経済学」の出番である。

しかし、本書にはこんな記述しかなかった。

経済学の現在の体型では、生産力が上昇すれば良く、それは長期の供給サイドの理論とされ、景気に関しては、短期の需要が増えればGDPが増えるという短期の理論で処理され、成長と景気は統一的に理論化されていない(それに成功したというコンセンサスのある理論がない)。

そして、結論を見いだせないていない経済学者たちよりも不誠実な有識者たちは、問題に目をつむって、イノベーションという言葉で、現在の経済問題を処理してしまっている。

-小幡績.「アフターバブル」.P237

ようは、「経済学」による、現在の経済問題の処方箋はまだなく、イノベーションという言葉で煙に巻いているのだ。

さて、このイノベーションとは何かというと、最近ではESG債がそれに当たると考える。

簡単に言えば、「今まで、経済指標に、環境負荷を軽減させる指標も入れよう」ということだ。

環境の負荷が減れば、地球に優しい。これは、昨今の地球環境を考えればとても価値のあることである。

これを指標として加えることで、さらに経済発展できる!という論法である。

もちろん、環境を指標に入れるというのは、とても意味のあることである。

けれど、それと経済は関連性はない。

環境対策では、政府の財政破綻から逃れることができない。

どうすればいいのか。我々は考えなければいけないときに来ているのだ。

資本主義の次の社会「ポスト資本主義」と呼ばれている。

ポスト資本主義の形を我々みんなで見つけていかなければならない。

アメリカの政治について、こんなことをまとめています。合わせてご覧ください。

最後に

全然教育と関係ないではないか!と言われるかもしれないが、人類みんなで考えていかなければならないテーマである。

例えば、授業で「トランプ関税」について取り上げ、日本の社会はこれからどうなるのかと朝の会で話題にしてもいいのかもしれない。

「豊かな社会とは何か」考えてもいいと思う。

日本の将来を決めるのは、今、生きている私達であり、子どもたちである。

そんな視点を教師としてぜひ持たせていきたい。

今回は、少し難しい本を読んだが、自分はとても楽しかった。

教科書の教材研究も大切である。だけれど、たまには専門書を読んで自分の教育観はもちろん、日本社会の行く末に思いを馳せることで、新しい視点を手に入れていくことも教師としては大切だと思っている。

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