職場体験を1月末に終えて、もう1回くらい「働くこと」について考えてみようと思って、「やっちゃんのなやみ」の授業をしました。
ただ、卒業生を送る会や卒業式の準備に追われ、2月末に久しぶりに道徳を行えました。
もう少し早くやりたかったのですが、しょうがないですね。
授業をやってみて、前やった勤労の項目と視点が違うな―と思って授業をしました。
後述する授業の記録でも、その違和感が問い返しとして出てきています。
一緒に考えてみましょう。
主題名
働くことの喜びとは C(13)勤労
教材のあらすじ
「やっちゃん」は子どもたちの居場所を作ろうと67歳で駄菓子屋を開き、地域に愛されるお店にした。新型コロナウイルス感染症の影響により、お店を一時閉店するが、再開するかどうか悩んでいた。感染予防対策をしながら営業している駄菓子屋を見学したり、詰め合わせたお菓子を屋外で販売したりするなど、何とかお店を再開できないか模索する。
出典:NHK for School「SEED なやみのタネ」やっちゃんのなやみ

ねらい
村山保子さん(やっちゃん)が駄菓子屋を再開するか悩みながらも、お店を続けられるように行動する姿やそれを支える心情を考えることを通して、勤労の意義を理解し、勤労を通じて社会に貢献しようとする心情を育てる。
授業の実際

導入「資料を読んでの感想を教えて下さい」
T:今日は「働くことの喜び」をテーマに「やっちゃんの悩み」を考えていきます。
職場体験を終えて1カ月。仕事の苦労や楽しさを知りました。
ちょっとそのときのことを思い出して、読んでみましょう。
(資料を範読する)
では、資料を読んでの感想を教えてください。
S1:やっちゃんは子ども思いのいい人だと思いました。
S2:子どものことを大切にしていて、自分の開いている駄菓子屋が大好きなんだと思いました。
S3:高齢でも駄菓子屋をしていることがすごい
主発問「やっちゃんが悩みながらも、お店を続けられるように行動しているのは、どのような思いからだろう?」
T:確かに、やっちゃんは子ども思い出、お店が好きって言うの伝わってくるよね。高齢でも頑張っているのはすごいと思います。
ただ、店を閉めるきっかけになった出来事がありましたね。そうです。コロナです。
良かれと思って、マスクを店先に出したら、「マスクを出すな。子供を集めるな。店を閉めろ」って脅迫文のようなものが店先に貼られてしまいました。
それで、やっちゃんは怖くなって店をしめてしまったんだよね。
それでもやっちゃんはお店を再開しました。
「やっちゃんが悩みながらも、お店を続けられるように行動しているのは、どのような思いからだと思いますか?」
S4:お店が生きがいになっているからだと思います。
S5:子どもたちに喜んでもらうために頑張っていると思います。
S3:理想の駄菓子屋にしたいとやっちゃんは思っているからだと思います。
問い返し発問「これってぜいたくな悩みじゃない?」
T:なるほど、皆さんの言っていることはとてもよくわかります。
ただ、ちょっとみなさんの意見を聞いて、ん?と思いました。
「宇宙人」を読んだときと働く意味がやっちゃんは違うなと思ったんです。
「宇宙人」の時は、生きるためにお金を稼がなければいけない。だから働くといった意見や、今はフリーターとかで働く意味を探しているということを資料で言っていました。
その時の授業の振り返りにも、「いろんな働き方があるな」と皆さん書いていました。
今回、やっちゃんってどうしても駄菓子屋を続けなければいけないの?
息子や娘も独り立ちして、旦那さんにも先立たれている。
一人は寂しいけれど、自分の生活費だけあればいいじゃない。
年金ももらえる年齢だし、へたしたら、駄菓子屋は赤字だよ?
無理に続けなくてもいいんじゃない?なんて思いました。
やっちゃんの働き方は「ぜいたくな悩み」だと思ったんだけれど、みんなはどう?
S4:趣味の感覚で、やっちゃんは駄菓子屋をやっている。やっちゃんは駄菓子屋を続けたいのは当然じゃないのかな?と僕は思う
【ワークシートの記述】
- 自分のやりたいことをやっているだけ。ぜいたくとは思わない。
- 確かに贅沢。でも生きがいだから店を閉めない。仕事としてじゃない。
- 悩みなんか人それぞれ違うから、ぜいたくとか人によってとらえ方は違うと思う。
- 楽しい場所をつくって、生きがいを取り戻したいというのはぜいたくではあるけれど、駄菓子屋さんを大切に思っている人はたくさんいるから、そのためにも店を続けるのは良いことだと思う。
- 「仕事」とかただ働きたいんじゃなくて、やっちゃんは来てくれる人が喜ぶ姿が見たい。
- 定年退職しているなら、その後の人生は好きにすればいいと思った。
(なかなか意見が出てこない)
T:なるほど、でも駄菓子屋を続けるって、大変だと思うの。
売上をあげれば消費税を納めないといけないし、そのための計算をしなければいけない。税理士を雇ったりもします。
そんな風に社会的責任を果たしていくから、カラオケとか、ランニングの趣味とは、一段責任感が違う気がするし、廃業しちゃえば楽じゃないのかなぁなんて思うんだけれど、みんなはどうかな?
時間になってしまいました。では振り返りを書いて終わりにしましょう。
【生徒の振り返り】
- 働くことはただお金を稼いで生きるためという印象だった。人のことを思って働くのは私は無理だと思うから、すごいなと思った。
- 年をとっても好きなことを仕事にしてできるのがとってもいいなと思った。
- 働くは理想だけでなく、責任もあるからすごく大変だなと思った。
- お客さんを喜ばせるという生きがいを持って働く人もいるんだなと思った。
- このおばあちゃんみたいに自分の好きなことを仕事にしたい。経営者にはなれそうにないから、こんな前無為には働けないと思う。
授業を終えて

問い返しについて
指導書の問い返しは「お店の再開を心待ちにしている子供たちの声を聴いて、やっちゃんはどのように感じただろう」でした。
これなら、確かにねらいにせまれるのですが、そもそも勤労って何だっけ?と思い辞書で調べてみました。
1心身を労して仕事にはげむこと。
「共に王事に―せよ」〈藤村・夜明け前〉
2賃金をもらって一定の仕事に従事すること。「勤労学生」ーデジタル大辞泉より
勤労って、2のイメージが自分は強かったです。
生徒もきっとそうでしょう。
確かに、前回やった「宇宙人」は2の意味で「勤労」を取り扱っています。
ただ、今回の「やっちゃん」は、息子たちの手が離れ、わざわざ仕事をする必要はありません。
となると、1の意味で迫っていかなければいけないだろうと思いました。
その時に、指導書の問い返しでは、「子どもたちの声が聴けてうれしい」といった意見で深まりは出ないだろうなと思いました。
そこで「これってぜいたくな悩みじゃない?」と問い返してみました。
- 確かに贅沢。でも生きがいだから店を閉めない。仕事としてじゃない。
- 楽しい場所をつくって、生きがいを取り戻したいというのはぜいたくではあるけれど、駄菓子屋さんを大切に思っている人はたくさんいるから、そのためにも店を続けるのは良いことだと思う。
やっちゃんの働き方は「生きがい」と出てきました。
これが今回迫らなければならない勤労の意味なのではないでしょうか?
生きがいになっているから、「心身を労して仕事にはげむ」ことができているのです。
この発問を受けて、振り返りには、
- 働くことはただお金を稼いで生きるためという印象だった。人のことを思って働くのは私は無理だと思うから、すごいなと思った。
- このおばあちゃんみたいに自分の好きなことを仕事にしたい。経営者にはなれそうにないから、こんな風には働けないと思う。
このように、好きなことを仕事にするという価値観が芽生えています。
さらに、好きなことをしていても苦しいことはあるみたいな話し合いの深まりが出ればさらに面白かっただろうなと思います。
問い返しとしてはいい問い返しだったんじゃないのかなと思います。
最後に

問い返しをしたときに、「『宇宙人』を見直してみて考えよう。」と言いました。
道徳で、わざわざ過去の教材を参照しようと生徒にフったのが初めてでした。
こんなふうに、単元横断(と道徳で言うかはわかりませんが)に道徳授業をしたのが初めてで、新鮮な授業になりました。
皆さんは、この授業、どう構成しますか?ぜひコメントで教えてください!

同じ道徳価値項目の「C(13) 勤労」の授業の様子も、こちらに記載しました。
今までの道徳の授業記録はこちらをご覧ください。
参考HP








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